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企業の生産性を上げる為に! 労働生産性と人時生産性の解説

1時間あたりの労働生産性を表す人時生産性は、働き方改革について考える上で重要なキーワードとなっています。生産性を向上する施策を始める前に、労働生産性や人時生産性の意味や計算方法を学びましょう。今回は、2つの生産性の意味と計算方法の違い、両者を向上させるために必要な要素について解説していきます。

労働生産性の意味

労働生産性は、労働を効率面から評価する際に用いられる指標で、「投入した労働量に対してどれくらいの生産量をあげられたか」ということを示します。その計算方法は以下の通りです。

  • 労働生産性 = 生産量 ÷ 労働量

このように計算式自体は単純ですが、生産量と労働量にどういった指標を使うかによって、労働生産性の細かい意味が変わります。例えば、生産量にある期間における企業の利潤、労働量に当該期間において投入された労働者数を当てはめるとしましょう。その場合の労働生産性は、「当該期間において労働者ひとり当たりがもたらした利潤額」を意味することになります。この他にも、生産量に付加価値額や生産量などを、労働量には日数や時間数などを入れることができます。

労働生産性の計算

実際に労働生産性の計算をしてみましょう。ここでは次の2つのケースを想定します。

  • 企業Aは1ヶ月間に20人の労働者を投入して500万円の利潤を計上した。
  • 企業Bは同じ1ヶ月間に30人の労働者を投入して600万円の利潤を計上した。

労働量を労働者数として上記の計算式に当てはめると、企業Aの労働生産性は25万円/人、企業Bの労働生産性は20万円/人と算出されます。

労働生産性のメリット

企業Aと企業Bを、労働生産性を考慮せずに利潤額で単純比較すると、企業Bの方が優れているように思えます。しかし、労働生産性を比較すると企業Aの方がその値が大きく、企業Bよりも効率よく業務を回せていると評価できます。
以上の例からもわかるように、労働生産性には、企業を評価する際により企業の実態に近い情報を与えてくれるというメリットがあります。異なる人数または時間を投入した結果として異なる利潤額が得られた労働同士を比較することが可能となるため、複数の企業を比較、評価する際には欠かせません。

 

人時生産性の意味

一方の人時生産性は、労働生産性と非常に似た考え方から生まれていますが、意味するものがより限定されています。人時生産性は、「労働者ひとりが1時間当たりどれくらいの生産量をあげられたか」ということを示します。その計算方法は以下の通りです。
人時生産性 = 生産量 ÷ 労働者全員の総労働時間
ここでの生産量には、企業の利潤や付加価値額といった、労働生産性と同様のものが用いられますが、計算式の分母には、その生産に関わったすべての労働者の労働時間を合計したもののみが使われます。

人時生産性の計算

先ほどと同じ例を使って計算してみましょう。単純化のため、ここでは企業A、企業Bともに、労働者全員が法定労働時間相当の週40時間を4週にわたって働いたものとします。すると、労働者全員の総労働時間は、企業Aが3,200時間、企業Bが4,800時間となります。したがって、それぞれの生産量をこの数字で割ると、企業Aの人時生産性は1,562.5円/人/時間、企業Bの人時生産性は1,250円/人/時間と算出されます。労働生産性と同様に、やはり企業Aの方が労働の効率性が高いという結果が見てとれます。

人時生産性のメリット

人時生産性を算出するメリットとして、期間も投入した人数も、そしてその結果産出した利潤額すら異なる労働同士を一度に比較することができるということが挙げられます。
例えば、上記の例を以下のように少し変更してみましょう。

  • 企業Aは4週間に20人の労働者を投入して500万円の利潤を計上した。
  • 企業Bは3週間に30人の労働者を投入して600万円の利潤を計上した。

法定労働時間を勘案してそれぞれの企業の労働者全員の総労働時間が3,200時間、3,600時間と想定すると、人時生産性は、企業Aが1562.5円/人/時間、企業Bが約1666.7円/人/時間と算出されます。したがって、この場合は企業Bの方がより効率の良い労働をしていたことがわかりました。なお、この例で労働生産性を調べてみると、労働期間を労働量にあてた場合は企業Bの評価が高く、労働人数を労働量にあてた場合は企業Aの評価が高いという結果になってしまいます。
労働生産性では、注目する対象ごとに特化した効率性を調べることができるのに対し、人時生産性では、かかった期間や人数、そしてその結果あげた利潤額が異なる労働を一度に比較し、評価できるということがお分かりいただけたでしょう。

 

生産性向上に必要な要素

さて、ここまで労働生産性と人時生産性の違いに注目しながら、その意味や計算方法について説明してきました。労働の効率の良さを示すという点で両者の本質に相違はありません。では、実際に生産性を向上させるにはどういった施策が必要なのでしょうか。ここで、もう一度これらの指標の計算式をみてみましょう。計算式は単純な割り算ですので、分子と分母にわかれています。ということは、分子を増やす、または、分母を減らすことが生産性の向上に直結します。

設備投資

分子を増やすには、労働投入量を増やす、設備をグレードアップさせる、より生産力のある生産方式に変えるといった施策を行わなくてはなりません。しかし、こうした施策は確実に成果が見込める訳では必ずしもないため、容易に生産性を向上させられるとは限りません。

労働環境の改善

分母を減らすには、労働環境の改善や労働投入量を減らすといった施策が考えられます。あまり必要のない労働を見つけることができれば、その労働をカットすることで生産量を落とすことなく生産性を向上させられます。例えば、会議ひとつをとってみても、ほとんど言葉を発することなくただ座っている人がいた場合、その人が会議に出席することに必要性はありませんので、わざわざ無駄な労働量を増やしていることになります。ルーティン化した業務の中で、このような時間的コストの浪費がないかを洗い出すだけでも生産性の向上に資することができるでしょう。
労働時間や労働に必要な人数に関しては、労働環境を改善することで減らすことができるかもしれません。労働者一人ひとりのパフォーマンスを管理し可視化することで、個々の労働者がメリハリのある生活を送ることができ、その結果、仕事へのモチベーションを維持・向上させることができます。

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まとめ

労働生産性と人時生産性の意味と計算方法、さらにはそれらの向上につながる具体策について説明してきました。生産性向上にあたって、まずは労働時間や労働必要人数を削減するための労働環境の改善や、無駄な部分を削減するための業務の見直しから取りかかってみてはいかがでしょうか。

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