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インフレ手当とは?インフレ手当の平均支給額や重要性・注意点について解説

インフレ手当とは、物価高騰が進む中で、従業員の生活を支援するために企業が従業員に対して支払う特別手当のことを指します。インフレ手当は「一時金」と「月額手当」に分けられます。一時金としての平均支給額は約5万円、月額手当としての平均支給額は約6,500円となっています。インフレ手当を支給することによって、従業員満足度が向上します。それにより、企業の労働生産性が上がり業績の向上につながります。また、従業員の不安に寄り添うインフレ手当を支給していることが世間に知られれば、企業のイメージアップにつながります。しかし、インフレ手当を支給する場合、人件費は増加するため注意が必要です。

   

インフレ手当を支給する企業が増えている

インフレ手当とは

インフレ手当とは急激に進む物価高騰(インフレーション)に対応するために、従業員の生活支援を目的として企業が支給する特別手当を指す言葉です。インフレーションが続くと食費や光熱費なども値上がりするので、家計が圧迫されて生活が苦しくなるケースが増加しかねません。インフレ手当はそうしたインフレーションによる実質的な賃金の減少を防いで、従業員の生活を支えるために支給されているのです。なお、インフレ手当以外にもインフレ特別手当や物価上昇手当など、企業によってさまざまな名称が付けられています。

インフレ手当の支給方法

インフレ手当の支給方法には一時金や月額手当として支給する方法があります。まず、一時金として賞与に上乗せしてのインフレ手当を支払う場合は、企業側の作業負担が少ない方法です。事務処理としては既存の賞与の手続きと変わらないため、大きな手間は生じません。一方、月額手当として支給する場合には就業規則を改定する必要があります。もちろん、所得税・雇用保険料・残業代などの計算にも影響するため注意しましょう。

インフレ手当の平均支給額

インフレ手当の平均支給額は、帝国データバンクによるインフレ手当についての2022年のアンケート結果を見てみると次のようになっています。まず、インフレ手当のうち一時金の支給額の内訳をみると、「1万円〜3万円未満」が27.9%で最も多く、平均支給額は約5万3,700円でした。次に、月額手当は「3千円〜5千円未満」と「5千円〜1万円未満」が30.3%で最も多く、平均支給額は約6,500円という結果が出ています。インフレ手当の支給額は企業によってばらつきがありますが、目安として平均支給額を認識しておきましょう。

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インフレ手当の重要性

従業員満足度が向上する

インフレ手当が支給されると従業員満足度が向上します。インフレーションは従業員にとって大きな影響のある社会の変化です。生活に関わる物やサービスの値段の上昇が継続すれば、収入に不満を感じる方も増えてきます。そうした際にすぐにインフレ手当を支給できれば、従業員の不安に寄り添うことが可能です。従業員の収入が不足するかもしれないという不安を軽減できるので、企業からの待遇への満足度がアップします。

企業のイメージアップにつながる

従業員の生活を第一に考える企業の姿勢は、ポジティブなイメージを広められます。例えば、求職者に対しても好印象を与えるので、優秀な人材が集まりやすくなるなど採用においても有利です。さらに、投資家や取引先などにも人材を大切にする企業として好意的に受け止めてもらえます。

離職率が軽減する

インフレ手当は離職率の軽減も期待できる取り組みです。インフレーションの影響が大きくなると家計は苦しくなるので、状況によっては現状の給与で今後の生活を送ることに不安を感じる従業員も出てきます。転職をして収入の不安を解消しようと考える方も増えてきてしまうかもしれません。そうした際に企業がインフレ手当を支給すれば、従業員の助けとなり生活を安定させることが可能です。加えて、困難な状況でも助けてくれる企業であるという信頼を得られれば、継続して働き続けようと考える従業員を増やせます。

   

インフレ手当の注意点

人件費は増加する

インフレ手当を新たに支給すれば賃金額が増えるので、企業の人件費は増加します。具体的には、月額賃金・割増賃金・社会保険料・労働保険料などへの影響も考えなくてはなりません。また、パート労働者などの非正規労働者にもインフレ手当を支給する場合には、人件費の増加額も大きくなります。月額手当として継続的に支払うのか、一時金として支給するのかなど、企業にとって最適な方法を検討しましょう。

就業規則の変更が必要になるケースがある

一時金としてインフレ手当を支給する場合には、臨時の措置に該当するため就業規則の改定は必要ありません。しかし、月額手当として当面の期間において継続してインフレ手当を支給するケースでは、就業規則の改定が必要です。賃金に関する規定は就業規則における「絶対的記載事項」のひとつであり、支給する手当の名称・金額・支給基準などを明記しなくてはなりません。また、就業規則の改定後には忘れずに労働基準監督長へ届出を行いましょう。

継続的な支給の必要性も考慮する

インフレ手当の支給額や支給方法を検討する際には、継続的な支援の必要性についても考慮しましょう。もし、インフレーションが長期化した場合、一時的なインフレ手当では十分に従業員の不安に対処できないことも考えられます。追加で収入面へのサポートが求められるケースも想定されるのです。一度支給を決めたインフレ手当を止めるのは従業員からの不信感にもつながるので、さまざまな状況に対応できるように施策を考えましょう。

   

まとめ

原料高による電気代や食品の値上げなどに起因する物価高を受けて、インフレ手当の支給を決定する企業が増えています。従業員にとしては収入面でサポートを受けられ、企業にとってもイメージアップや離職率を軽減できる施策です。ただし、人件費が増加するだけでなく就業規則の変更が必要になる場合もあるなど、企業としては計画的に準備を進めなければなりません。インフレ手当の継続的な支給の必要性も考慮して、支給額や支給方法を決定するようにしましょう。

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