新型コロナウイルス関連の政策まとめ【助成金・補助金 編】

新型コロナウイルスの猛威は続き、ウイルスそのものの脅威はさることながら、経済への打撃も問題視され始めました。そうした中、政府は経営不振に陥った企業や収入が減ってしまう労働者を救うべく、いくつかの助成金で特別措置を打ち出しています。今回は、雇用調整・有給休暇取得促進・時間外労働改善・IT導入など特例の助成金や補助金に関する助成内容や要件について解説していきます。

雇用調整助成金の特例措置

雇用調整助成金は、労働者の雇用維持のために厚生労働省が行っている助成金制度です。現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの事業主が事業の規模を縮小せざるを得ない状況になっています。このため厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業主を対象とした雇用調整助成金の特例措置(以下「特例措置」)を行っています。
2020年4月10日に厚生労働省が「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置を追加実施するとともに、申請書類の大幅な簡素化を行います」と発表し、2020年4月1日から6月30日の期間が緊急対応期間に指定されました。緊急対応期間中は、3月末まで適用されていた特別措置の内容が大幅に変更されます。

特例措置の対象

雇用調整助成金は、事業主が労働者に支払う休業手当や賃金の一部を助成するものです。今回の特例措置では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主が助成の対象になります。事業の業種は問いません。

特例措置の内容

今回の特例措置では、助成対象の拡大や助成率の変更、申請手続きの簡素化などが行われています。大きな変更点は次のとおりです。

  • 対象者を、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける全業種の事業主に拡大
  • 緊急対応期間中に生産指標を提出した場合、提出した月の前月と前年同月を比較し5%以上の減少が確認できれば、助成金の対象になる(2020年3月31日までに生産指標を提出した場合は条件が異なる)
  • 雇用保険被保険者ではない労働者(パート・アルバイトなど)の休業も、助成金の対象になる
  • 過去に雇用調整助成金を受給した事業主でも申請可能
  • 過去の受給日数は特例措置の支給限度日数から差し引かない
  • 事業所の設置が1年未満の事業主も助成対象にする
  • 直近3ヶ月間の雇用量が対前年比で増加していても助成の対象になる
  • 計画届の事後提出が可能(2020年1月24日から6月30日まで)
  • 部門や店舗など、施設ごとの休業も特別措置の対象になる
  • 申請書類の記載事項を減らし、添付資料の大幅な削減を行う

支給される金額

助成金の支給額は、「事業を休止した際の休業手当、または教育訓練などを行った場合の賃金相当額」×助成率で計算することができます。助成率は中小企業と大企業で異なります。緊急対応期間中に助成金申請手続きをした場合、中小企業の助成率は4/5、大企業の場合は2/3です。
事業主が労働者を解雇していないなど、助成率の上乗せの要件を満たしている場合は、中小企業の助成率が9/10に、大企業の助成率が3/4になります。
このほかにも、教育訓練の実施をした場合に助成金の加算があったり、支給限度日数が普段の雇用調整助成金とは異なったりします。詳しい内容は厚生労働省のホームページで確認してください。

申請の期限

4月10日に発表された雇用調整助成金の特例措置の拡大・拡充により、計画届の事後提出期限がそれまでの5月31日から6月30日へと延長されました。ただし、1月24日から3月31日までの休業には緊急対応期間の助成内容は適用されません。

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新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金(以下「助成金」)の対象は、2020年2月27日から6月30日の間に、新型コロナウイルス感染症の影響で臨時休業になった、小学校や特別支援学校(すべての部)、放課後デイなどの一時的に子供を預かる事業に通う子供と、新型コロナウイルスに感染した、もしくは感染した恐れがある子供の世話をする必要がある労働者に対して、「有給休暇を取得させた事業主」です。雇用保険を適用していない事業所の事業主は対象になりません。また、労働基準法で定められた年次有給休暇を取得させた場合は、助成金の対象にはなりません。

助成の内容

対象労働者1人につき、対象労働者の日額換算賃金額×有給日数の合計額を助成金として支給します。対象労働者の日額換算賃金額とは、通常の労働で発生する賃金のことを指します。日額換算賃金額は1人あたり8,330円の上限があります。上限を超える場合は、賃金額を8,330円として計算します。

申請の期限

申請期間は、2020年3月18日から6月30日までです。申請は事業所単位ではなく、法人で一括して行います。数回に分けて申請するのではなく、1度にまとめて申請を行いましょう。申請書類の書式は、雇用保険被保険者と雇用保険被保険者以外の2種類に分かれています。詳しい内容は厚生労働省のホームページで確認してください。

 

働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金(旧「時間外労働等改善助成金」)には、一般向けの職場意識改善コースのほかに、新型コロナウイルス感染症対策として新たに創設された「テレワークコース」と「職場意識改善特例コース」があります。

テレワークコース

テレワークコースの対象者は、新型コロナウイルス感染症の対策として、新規でテレワークを導入する中小企業事業主です。2020年2月17日から5月31日の間に、テレワークの新規導入を行うことと、実際にテレワークを行った労働者が1人以上いることが支給要件となります。
助成金の対象になるのは、「テレワークに必要な通信機器の導入と運用にかかる費用」、「就業規則や労使協定書などの作成・変更に必要な雑費など」、「テレワーク導入のための研修開催費用」「外部専門家にコンサルティングを頼んだ場合の謝礼、旅費」などのテレワークを導入するために必要な経費です。支給される助成金は、経費の総額の1/2で、1企業あたり100万円を上限とします。パソコンやタブレット等の購入費用は必要経費には含まれません。

職場意識改善特例コース

職場意識改善特例コースの対象者は、労働者災害補償保険の提供事業主で、特別休暇の規定の整備を行う中小企業の事業主です。
職場意識改善特例コースでは、新型コロナウイルス感染症対策として、新たに特別休暇の規定と整備を行うことを助成金の支給要件としています。中小企業事業主の定義は、厚生労働省の時間外労働等改善助成金(職場意識改善特例コース)のページに掲載されています。 補助金の受給は、「特別休暇の整備」か「支給対象の取組の実施」のどちらかを行うことが条件です。

  • 特別休暇の整備
    事業実施期間中に必要な手続きを行い、就業規則が施工されていること。
  • 支給対象の取組の実施
    支給対象になる取組の中から1つ以上を実施すること。
    事業実施期間中であれば補助金の交付が決定する前でも対象になる。

支給対象の取組は就労規制等の作成・変更、外部専門家によるコンサルティング、研修の実施など10項目(取組内容は厚生労働省のホームページで確認してください)。
事業の実施期間は2020年2月17日から3月25日の期間となっており、申請期限は2020年3月13日に締め切られています。しかし、2020年2月17日から5月31日までの取組は、2020年4月以降に受付が開始される「働き方改革推進支援助成金」で助成される予定です。

 

IT導入補助金2020(令和元年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業)

1次公募(臨時対応)の概要

IT導入補助金2020 1次公募(臨時対応)は、新型コロナウイルス感染症による中小企業や小規模事業者への経済的な影響を緩和するために行われた特別措置です。2020年3月13日から3月31日の17:00までが申請の期間だったため、現在は受付を終了しています。
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者などが対象の補助金制度です。制度の運用は中小企業庁が行っています。働き方改革や賃上げなど、今後行われる制度変更への対応と生産性の向上のため、中小企業や小規模事業者のITツール導入経費の一部を補助しています。

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まとめ

新型コロナウイルス感染症による日本経済への影響は、日に日に大きくなっています。いつ収束するのかもわからない状態で、有効な対応策がないのが現状です。今回ご紹介した助成制度や補助制度をうまく活用し、みんなで新型コロナウイルス感染症を乗り切りましょう。 なお、本記事は2020年4月13日現在の情報を元に作成しています。

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