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【SmartHR × MFクラウド給与 × AKASHI特別対談】業務効率化で、会社を動かす「総務」になる

労働人口が減少していく社会において、業務効率化は喫緊の課題となっています。煩雑な作業を効率化し、よりよい組織づくりへの提案に注力していく……。理想的な環境を実現するために、どのような変革が求められるのか。業務効率化ツールを提供する各社のプロフェッショナルに、効率化のヒントを伺いました。

 

副島 智子氏 株式会社 SmartHR  (執行役員・プロダクトマネージャー)

20人未満のIT系ベンチャー企業や数千人規模の製薬会社など、さまざまな規模・業種の企業で給与計算・社会保険手続きの経験を持つ。

APIを利用した労務系サービスの立ち上げに興味を持っていたなかSmartHRの存在を知り、現在はプロダクトマネージャーとして活躍中。

 

山田 一也氏 株式会社マネーフォワード (執行役員 MFクラウドサービス開発本部 本部長)

監査法人トーマツを経てIT系ベンチャー企業のCFOとして、実際に企業における会計・税務の業務を経験した後に、税理士法人をバックグラウンドに持つコンサルティング会社にてベンチャー企業の会計・税務を専門家の立場で支援。現在は実務の経験をもとに、MFクラウド給与の開発に携わる。

 

勝山 竜矢氏 AKASHI アドバイザー/社会保険労務 (代表取締役)

2003年に社会保険労務士試験に合格し、2005年に個人事務所を開業。

現在は新宿を中心に企業の人事労務に関する課題解決に取り組むかたわら、立ち上げ間もない企業の人事・賃金制度の構築を多数手がけ、AKASHIの監修にも参画している。

誰もが共感!バックオフィスの非効率

―バックオフィスではどのような非効率が存在するのか。現場の“あるある話”を教えてください。

 

勝山

社労士の立場から話すと、いまだにタイムカードをFAXで送ってくる企業が多いのですが、文字がつぶれて解読できないことなんて日常茶飯事。「これは何て書いてあるんですか?」なんて問い合わせで時間をとられてしまうんです。また、Excelでデータを送ってくる会社も多いですが、関数が削除されているケースもあるので、計算が合っているかをいちいち確かめなくているんです。こうした無駄なコミュニケーションって、総務の現場でも大きな課題だと思いますよ。

副島

私もバックオフィス経験が長かったので、よくわかります。それが毎月のように起きて、わからない人は、何度見てもわからないことがよくありました(笑)。ちなみに、バックオフィス勤務でとくに苦労するのが、年末調整。社員数が多く、拠点がたくさんあったりすると、作業だけで1日が終わってしまうなんてことも。何千枚という書類を用意して、郵送して、チェックして、紙の情報をデータ化して……。誰にでもできる作業に時間を取られるって、本当にもったいないなと思っていました。

山田

仕事の性質上、どうしても作業は必要ですが、「二度手間が多い」ことは問題ですよね。たとえば、給与計算の時に、一度別のシステムに入力した勤怠のデータを打ち直さなくてはいけないなんてこともあります。先ほど、話に出た従業員への確認もそうですが、「それってバックオフィス本来の仕事なの?」と言いたくなる時もありますね。

キーワードは、単純作業からの解放とシームレス

―では、業務効率化のポイントはどこにあるのでしょう。それぞれのツールの特長と合わせて教えてください。

 

副島

「二度手間から開放してあげること」ですね。紙の情報をデータ化する

勝山

勤怠管理においては、出勤簿などアナログな部分がいまだに多いですから、「デジタルとの間で生じる面倒な作業や集計の手間を省くこと」がポイントだと言えます。「AKASHI」のおかげで、私も電卓を打つ回数が劇的に減りましたから、社労士にとってもありがたいシステムなんです(笑)。また、企業によって独自の勤怠ルールが存在しますが、それらに柔軟に対応していけることも、「AKASHI」の強み。導入の際には、プロの社労士がコンサルティングを行い、顧客ごとに最適なかたちで利用していただけるんです。四半期ごと、1年ごとにデータを集計し、それらを評価・検証したいなんて要望は、とくに多いですからね。

山田

私は、ベンチャー企業向けにバックオフィス業務のコンサルティングをしていたことがあるのですが、業務効率が悪い組織って、「業務にシームレスさがない」という傾向が見られるんです。だから、二度手間も生じるし、確認の手間やミスも多くなってしまいます。そこで当社では、「ConnectedHR」というコンセプトを掲げ、さまざまなツールとの連携が可能なソリューションを提供しているんです。実際に、「MFクラウド給与」では、銀行のAPIと連携し、給与計算から振り込みまでを一気通貫で行うことまでできるようになっています。ここに集まっている各社さんのシステムとも、データ連携を可能にすることで、シームレスで無駄のない環境をつくれるようになっていますよ。

バックオフィスは、閉鎖的な世界?

―多くの人が、バックオフィス業務に煩雑さを感じていると思いますが、それらを解決する術はいくらでもあるのですね。

 

山田

そうですね。ただ、アーリーベンチャーにおいては、「バックオフィス業務をどのような流れで行うべきか、何が必要か」が理解されていない状況にあるんです。実際にプロフェッショナルを雇って、初めて間違いに気づくといった企業も多い。各企業のバックオフィス業務に対する取り組みって、オープンになることがほとんどないじゃないですか。

勝山

とくにベンチャーって、自分の得意分野からスタートするから、バックオフィス業務の知識が皆無であるケースが多いんですよね。知っている人が入ってこないと、問題があるのかどうかもわからないという……。

副島

担当者が複数存在する大企業なら情報交換もできるけれど、1人で切り盛りしているような中小企業では、それができません。「資産運用どうしてる?」なんて、他社の人と情報交換する機会なんて全くありませんよね?

山田勝山

ないですね(笑)。

副島

そうした交流の場があるだけで、バックオフィスの仕事って大きく変われると思うんですよ。企業や業界の枠を越えて、ヒントを得られれば、新たな提案や取り組みも生まれやすい。「somu-lier」で、そうしたイベントを企画してみても面白いんじゃないですかね。

 

―確かに、他社の課題や取り組みを知りたいという方は多いように感じます。そうした場づくりをしていかなくてはいけませんね。

これからのバックオフィスに求められるもの

―「作業」から解放されることで、バックオフィスの仕事は劇的に変化していくことが予想されます。今後、バックオフィスワーカーにはどのような活躍が求められるようになるのでしょう。

 

副島

単純作業はIT化によってどんどんなくなります。なので、作業の煩雑さに追われていても、「甘え」を持っていると業務のスキルがいつまでたっても身につきません。バックオフィス業務には受け身の作業が多くありますが、そこに終始して、自らを成長させることができていない人がたくさんいる。人事から総務まで、いろいろなことを任されて、その企業では重宝されている。けれど、いざ転職する時に、確固たる専門性がなくて評価されないなんてよくある話。たとえ、受け身の業務でもそこから学び、自らの専門性を磨くことはできます。「この会社を回せる、動かしていける人材になってやる」くらいの気持ちを持って、仕事に向き合うこと。そうすれば、仕事はもっと楽しいものになり、自分自身を成長させることだってできると思います。

勝山

「作業=仕事」という誤解が蔓延していますよね。経営者の近くで仕事をしていると、そこでしか知り得ない情報があるし、会社の目指す方向性も理解しやすい。会社のビジョンを実現するための取り組みだって提案していけるはずなんです。まずは固定観念を捨てることです。そうすれば、自ずと視野は広がり、仕事の中身は劇的に変わると思います。

山田

やはり仕事に好奇心を持つことが大切なのでしょうね。当社の管理部門では、「攻めのバックオフィス」というスローガンを掲げ、作業を効率化し、積極的に社員のニーズを聞いたり、経営層の意志をかたちにしたりしています。だから、いろいろなことに積極的ですし、他の部門の社員とも積極的に意見交換していますよ。労働人口が減少する中で、優秀な人材を集め、組織を発展させるためには、よりよい企業づくりが必要不可欠です。そうした意味で、今の状況はバックオフィスワーカーにとって大きなチャンスであり、ターニングポイントだと言えるかもしれませんね。

編集後記

皆さんのお話しから、バックオフィスの煩雑かつ非効率な「作業」は、ツールを活用することで大幅な改善が可能であることが分かりました。併せて、組織の発展のために、総務担当者として必要な意識の改革についても考えさせられる内容の対談となりました。

 

【取材にご協力いただいたお店】eatable(イータブル)

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