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ハドルスペースは働き方改革促進の切り札!ソニーのワークスタイル変革事例

働き方を考えるにあたって、働く場所であるオフィスは切っても切り離せない関係にあります。例えば、会議を開きたいものの会議室の予約がなかなか取れない、といった問題は多くの会社で起こっているのではないでしょうか。

今回は、会議室不足を「ハドルスペース」の導入により、会議室予約率の4割削減を達成したソニーのオフィス変革事例について、ソニーコーポレートサービス株式会社役員室の高野昌幸様にお話を伺いました。なんと、導入後のアンケートの結果では約70%の社員が「直ぐミーティングできるようになった」と回答されたそうです。

「ハドルスペース」をご存知ですか

▲ハドルスペースでの会議の様子

そもそも「ハドル(Huddle)」とは、アメリカンフットボールの試合中にフィールド内で選手たちが集まり、円陣を組んで次のプレーの作戦を確認することを指します。

この「ハドル」の考え方をビジネスシーンにも取り入れ、業務の合間の短時間で効率よく行う「ハドルミーティング」という手法が、働き方改革のなかで注目を集めています。そのような会議を行うために設ける場所が「ハドルスペース」です。

オフィスにハドルスペースを設ける場合、業務の合間の短時間にいつでも会議を行うことができるような、使いたい時に使えるスペースであることが重要となります。そこで、通常の会議室のような予約制の大きな個室ではなく、オープンなスペースに少人数が集まれるスペースを設けます。

ハドルスペースに必要なものは基本的には数人が集まることができる机のみ。立ったまま話し合いができる高い丸テーブルのみの場合や、ファミレスの座席のようなブースを作る場合などがあります。用途に合わせ、ホワイトボードやPCの画面共有をできるモニターを設置している企業も多いようです。

このようなハドルスペースには、通常の会議室一部屋に比べて一つ一つの会議スペースの面積が小さいため小規模なオフィスにも導入できる、あるいは多くのブースを設けて会議スペース不足を解消できると同時に導入コストも低いといった利点があります。

 

総務担当者に聞く、ハドルスペース導入に至るまでの経緯

速やかに会議を行うことができるスペースとして、オフィスの大小に関わらず取り入れることでより活発にコミュニケーションを取れるハドルスペース。ソニーではハドルスペースをどういった形でオフィスに導入し、どのような成果が出たのでしょうか。ソニーコーポレートサービス株式会社役員室の高野昌幸様からお話を伺いました。

--役員室とはどのような役割を持っているのでしょうか。

社長直属のスタッフで、既存の組織や業務には当てはまらない分野やプロジェクトを担当しています。

現在は働き方改革や社員エンゲージメントを背景に、働く上での課題をオフィスのイノベーションによって解消しようということで、本社ビルのリニューアルに伴ったワークプレイス改革をリードしています。

--ワークプレイス改革のなかで、ハドルスペース導入を発案するに至った背景を教えてください。

働き方改革の一環、ワークプレイス改革を行う取り組みのなかで発案されました。

導入以前の一番の問題点は、会議室が不足しており、必要なときすぐにミーティングできないことでした。調査の結果、平均して会議の5日前に予約が入っていたのです。つまり、会議の必要が生じたので会議室の予約を入れようとすると5日後になってしまう、といった状態でした。これは業務推進において大きな弊害と言えるでしょう。

また、管理職レイヤーの社員から「部下の仕事の様子が見えない」という声があがっていました。昔は固定電話が主流なので、部下の電話の様子で仕事の状況も把握できていました。しかし、携帯電話で仕事をするようになってからは電話がかかってくると席を離れてしまうのです。すると、部下が日常的に働いている様子を把握できるよう、定例会議などの会議の必要性がますます高まってしまうということにつながってしまいます。

そこで、オープンなコミュニケーションスペースであるハドルスペースを多く設け、移動や予約といった準備の工数や期間の大幅な削減とコミュニケーション機会の向上を図りました。みんなが集まりやすいよう、導線上となるメインの通路などに設けたのもポイントです。

--具体的にはどのような規模で導入を行いましたか。

5年前、5000平米ある1フロアの半分近いスペースを改修し、社員400名を対象にトライアルを行いました。オフィススペースの30%削減しながらも、働きやすい環境を構築するというチャレンジングで大きなトライアルでした。

--初回で1フロアの半分は大きな改革ですね。反響はいかがでしたか。

まずはハドルスペースなどの新しいソリューションの効果を明確に知りたかったので大規模に実施しましたね。このトライアルは結果として成功でした。社員を対象とした働きやすさに関するアンケートでは、60%の社員が「働きやすくなった」としていて、その一番の理由にハドルスペースがあがっていました。また、70%がすぐにミーティングをできるようになったと感じていました。

会議室の数は削減したものの、会議室の予約率が4割減少したため、以前より利用しやすくなりました。従来なら平均5日前に会議室を予約する必要があったところが、直前でも問題なくミーティングができるようになりました。

このトライアル以後、最終的にはオフィスフロアの会議室を大幅に削減することになりました。これまでは組織変更や社内での引っ越し作業の際に部署ごとに会議室を作るといった工事が入っていたのですが、ハドルスペースの導入によってこれがなくなったことも経費削減に大きく貢献しています。

--コスト面でのメリットも大きいんですね。導入コストはどれくらいですか。

具体的な金額は申し上げられないのですが、会議室を一部屋作る金額の10分の1の金額で、6人程度向けのファミレスブースを作ることができます。低コストなことはもちろん、場所をとらないので、会社の大きさにかかわらず導入することができる点も魅力ですね。

--ハドルスペースを導入するにあたって、新たに用意したものはありますか。

弊社では既にペーパレス化が済んでいたので 、会議で簡単にPCの資料を共有できることが必須条件でした。

会議全体のうちの半分の会議では参加人数が4人以下と少人数であるため、大きすぎず小さすぎずの画面サイズで共有したいものの、ノートPCやデスクトップPCでは小さすぎる。そこで、自社(ソニー)の「ブラビア(BRAVIA)」を導入し、PCとつないで画面共有する環境を整えました。


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ハドルスペースを実現するための『会議用ブラビア』

--ハドルスペース導入において、数あるモニターの中からブラビアを選んだ理由はあるのでしょうか。

自社製品であるというのはもちろんですが、オフィス作りの観点で見たブラビアの利点は3つあります。

1つ目は画面が綺麗という点が大きいです。エンジニアやデザイナーを抱える企業なので、ただ映ればいいわけではなく、画面を通じて彼らが描いたイメージが明確に伝わるようにする必要があります。そこで、ブラビアを選びました。これからは、詳細な情報や色など、細部まで伝えられるプレゼン媒体として、4K解像度の高精細・高発色なブラビアの導入を増やしたいです。

2つ目はわかりやすい操作性です。リモコンいらずでHDMIケーブルを差すだけで電源が入るなどPCと接続する場合に扱いやすく、直感的に素早く使用できます。PC接続の扱いやすさは非常に大きなメリットで、使いやすさを実感しています。HDMIケーブルを差すと電源が入り、後からHDMIケーブルをもう1本差すと自動でそちらの画面に切り替わるので、リモコンが不要になりました。会議の前に「リモコンがない」「画面が映らない」と慌てることもなくスムーズに会議を始められるので、今は殆どの会議室に導入しています。もちろん、ハドルスペースにもぴったりですね。ハドルスペースはオープンスペースなので他のリモコンの操作に影響されることも心配いりません。また、リモコン要らずは、備品の管理面からもメリットが高いです。リモコンの紛失や電池切れの心配がないのですから。

3つ目は情報伝達ツールとしての機能です。会議が終わってHDMIケーブルを全て抜くと掲示板に切り替わり、ノー残業デーやイベントなどの社員への告知が表示され、その後はオートで電源オフになります。この機能は、社内コミュニケーションの手段として、活用していきたいですね。また、USBに画像を入れて挿し込むだけで更新できるので、総務の負担もそれほど重くありません。通常はケーブルを抜くと画面が真っ黒になるテレビが多く、電源の消し忘れがままあるのですが、ブラビアならオート電源オフなので特に気にしなくても省エネなので安心です。

機能面でいうと大きくはこの3つが選定理由です。

あとはハドルスペースはオープンなので背面が見える場合もあるのですが、ディスプレイと電源ケーブル、HDMIケーブルだけなのですっきり綺麗にまとめられることに加え、、43〜85インチとサイズのバリエーションが幅広いので場所に合ったものを置けるという点も良かったです。

今では多くのハドルスペース・会議室にブラビアを導入しています。85インチのブラビアはHDMIケーブルを4本まで差せるので、大きな会議室などで使いたいですね。

▲HDMIケーブルを全て抜くと掲示板が表示される

 

まとめ

--今後、ハドルスペースをさらに発展させていきたい・活用していきたいといった展望はありますか。

最近はテレワークの浸透などでリモートでのコミュニケーションが増えつつあり、WEB会議で使用するカメラ等の周辺機器を製造しているメーカーからはカメラ・スピーカー・マイク一体型のハドルスペース向け製品も発売されるようになってきていますので、先に挙げたブラビアと組み合わせて使うことも考えたいです。

ハドルスペースが当たり前に利用され、コミュニケーションが活発になってきた今、これからは多くの人がハドルスペース等で当たり前にリモートコミュニケーションをできるようになり、みんながより働きやすいと感じる職場環境をみんなで創っていきたいです。

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