「『誰でも身に付く笑いのコミュニケーション』を学ぶことで、コミュニケーション能力が劇的にUPする!」―そんなテーマのセミナーがあるらしい。
でも、ちょっと半信半疑。元・吉本芸人の研修講師が教える「笑いのスキル」は、社員のコミュニケーション能力を向上させるのか!?
笑いの伝道師・殿村政明氏による「笑伝塾」セミナーを、ライター砂崎が突撃体験&インタビューしてきました!
目次
ライター砂崎は生粋の東京人。関西人どうしの軽やかな会話を聞くたび「楽しそうだなぁ」と思っていました。でも、ボケもツッコミもイマイチわからない…。そこへ飛び込んできたのが「笑伝塾」の噂です。
「笑伝塾」とは、元・吉本芸人の殿村政明氏が主催する、ビジネスマン向けの塾。ウェブサイトを見ると、基本コンセプトに「笑いのテクニックでコミュニケーションスキルが劇的にアップする」とあり。ボケとツッコミも教えてくれるらしい! というわけで行ってまいりました、「笑伝塾」in 鎌倉!
ちなみに、「何かツッコミどころを事前に用意して行こう!」と着物コスプレしてみた砂崎です。さてはて殿村塾長、ツッコんでくれるでしょうか!?
いよいよ殿村塾長とご対面! 着物について何と言ってくれるでしょうか!?
殿村政明氏(以下、殿村):おう着物。きれいですね~。さて我が笑伝塾は…
着物には触れられましたが、初対面でツッコむポイントではなかったようです。…取りあえず、お話の内容に集中します。
殿村:笑伝塾は、芸人を育てているわけではありません。「笑いのスキル」というと、面白い喋りなどのテクニックを教えるのかと思われがちですが、大事なのは「相手が何を欲しているのかに気づく」こと。
人の気持ちに敏感になって、どういう言動をとれば相手との距離を近くできるのかを学んでもらいます。コミュニケーションスキル、って人間力なんですよ。
いきなり核心から話が始まった感じです。それにしても、殿村塾長さすがの話術! 話の要所で声が大きくなって、表情とジェスチャーでキメてくるのでスル~ッと頭に入ってきます。
殿村:例えば、初対面、会ってすぐに、突然面白いことを言われてもみなさんは、笑えますか? 雰囲気が硬いまま笑わせるのはよほどのことがない限り難しいです。まずは「面白く喋るテクニック」と言う前に、「喋りやすい雰囲気づくり」です。
では、「雰囲気」をどうやってつくるか。笑伝塾ではまず「相手の心を一発でツカむあいさつ」と「リアクション」を教えています。
殿村:企業で講義をしていると、眠そうな人や問いかけても反応のない人がいっぱいいるんです。いわば、相手の気持ちに鈍感な人。「笑いのスキル向上」以前の問題ですよね。ノーリアクションの人と話していると、気持ちがめっちゃ重くなるんですよ。それでは実際に体験してもらいましょうか。
ライター砂崎(以下、砂崎):えッ、何をやってみるんですか!?
殿村:自己紹介です。
講師の方を相手に、2回、自己紹介をやることになりました。1回目はリアクション無しで、2回目はリアクション有りで聞いてくださるとのことです。
【1回目】
「初めまして、砂(すな)に崎(みさき)と書いてサ・ザ・キ、と申します。フリーライターです」
「はぁ」
【2回目】
「初めまして」
「こちらこそ、初めまして!」
「フリーライターの砂崎と申します」
「砂崎さんですか、よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いします。わたくし、生まれも育ちも東京でして」
「東京なんですか!」
講師の方、ほぼ砂崎の言ったことを繰り返しているだけですが、明るく豊かな表情と身ぶり、抑揚のある声を見聞きすると、つい「もっともっと!」と話したくなります。ほーお、これがリアクションの効果なのですね!
殿村:ほとんどの人が、リアクションをやっているつもりなんですよ。「1対1だと喋れるんですけど、おおぜいの会話だと黙り込んでしまう」っていう人がよくいますよね。そういう人は、会話に入りたいことをリアクションで示せていない。示しているつもり、止まりなんです。だからウチでは、「つもり、は社会に出たらNGでっせ!」と教えてあげる。大人の塾ですからね。
殿村:喜んでいるとき、おいしいものを食べたとき、「嬉しい!」「うまい!」はオーバー気味に出してください。それは決してオーバーではありません。自分では100%のリアクションをしているつもりでも、70%くらいにトーンダウンしているものです。
殿村:コミュニケーションにおいて、リアクションは「あなたの話、聞いていますよ」というシグナル、つまりリアクションは親切、ノーリアクションは不親切です。リアクション無しだと相手が話す気をなくしても当たり前。気配りができていないわけですからね。表情・ジェスチャー・声のトーンがそろって初めてリアクションですよ。でも最近多いんです、リアクション無しの人が。企業へ講演に行くと特に多いです。
なるほど~。さっきの自己紹介、講師の方からのリアクションに対して感じたのは、まさに「気配り=親切さ」。体感して初めて気づかされました!
殿村:ノーリアクションの人って「そこまでせんでええわ」と思っているんですよ。これは心の扉を閉ざしているんです。リアクションするには、心の扉を思いっきり開けないと始まりません。初対面で自分をさらけ出す。カッコ悪いこともぜんぶ出す。そうすると、相手は安心して、心の扉を開いてくれます。
殿村:「心の扉を閉ざしてリアクションをしない」のは、大人として恥ずかしいこと。なんでかっていうと、相手に気を遣わせたり、緊張させたり、場をしらけさせたりしてしまうでしょう? 自分の方から心の扉を思いっきり開ける。これが大人の上質な気配り、コミュニケーションスキル向上の入り口です。
「リアクションをしないのは恥ずかしいこと」「心の扉を開けるのは大人の上質な気配り」。殿村塾長、心に刺さりまくる名言の連発です!
殿村:「そんなに意識してリアクションするなんて、疲れませんかぁ~?」とか、よく聞かれます。そりゃあ疲れるに決まってますよ。エネルギーを使って、相手の気持ちに気づいて、リアクションする。この繰り返し。めんどくさいし、疲れる。リアクションをしつづけるのは、めっちゃしんどいものなんです。そのぐらいやらないと人には伝わりません。でも相手のテンションが上がったら、めっちゃ嬉しいし楽しい。だから僕は相手を喜ばせるプライドを持って、常に「リアクションのスイッチ」を入れっぱなしにしているんです。
殿村:みなさん、あんまり気づいてないですが、心の扉を閉ざしているのも、実はけっこう疲れるんですよ。閉ざしていることのしんどさは、人のモチベーションをさげたり、ストレスになったりする種類のしんどさです。心の扉をオープンにすると気づきます。ちょっとだけでも開けてみると、相手のテンションは確実に上がりますよ。自分も楽しくなるでしょう? だから僕は企業研修で、みんなの心の扉を開けつづけさせて、それをクセにさせようとしています。つまりイケてる人になってもらうってことです。
確かに! 同じように「疲れる」なら、心の扉を思いっきり開いて疲れる方がスッキリしそうですね。
殿村:自分のモチベーションが向上したら嬉しいでしょ? 自分がムードメーカーになれたら嬉しいでしょ? 会社の同僚が全員ムードメーカーやったら、めちゃくちゃ楽しいでしょ?
うーん、この「問いかけ」が上手いんだなぁ…思わずうなずいて、次の言葉に聞き入ってしまいます。
殿村:じゃあ、それを実現するためにどうやるか。社員がみんなリアクションに慣れていない職場にまず勧めるのは「先に挨拶されたら負け!運動」です。「先に挨拶されたら負けや!」と思って、率先して挨拶をする。
ただの「おはようございます」やないですよ、心の扉を思いっきり開けて、大声で「おはようございますッ!」ですよ、目から「好き好きビーム」を放ってな(笑)。これだけリアクションしていると、一過性のオープンハートじゃなくて、心の芯の部分を鍛えることになる。そうすると、継続して職場に波及するんですよ。
なるほど、職場のムードメーカーをつくるんですね!
殿村:そう、ムードメーカーづくり。でも、ムードメーカーを1人や2人、つくりゃいいってことじゃなくて、全員のテンションがそれぞれ上向くようにしなきゃいけない。職場の全員をムードメーカーにするんです。
時はあっという間に過ぎ、笑伝塾の体験セミナー&インタビューは終了しました。本日学んだのは、
ということ。お笑いのネタを一つ二つ教えてもらえるのかな? と来てみたら、意外に「人間力講座」だった感じです。
そんなふうにお考えの総務・人事担当者さんは、きっとたくさんいらっしゃいますよね。「笑いのコミュニケーションスキル」を習得すると、会社の中で面白い化学反応が起きるかも!? 以上、砂崎の「笑伝塾」体験レポでした!
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