バックオフィス業務というのは会社の売上に直結する業務は多くなく、「果たして自分の仕事に意味はあるのかな?」「自分でなくてもよいのでは?」「会社にとって必要なのか?」と悩んでる方も多いのではないでしょうか。
そこで普段はなかなか聞けない企業のトップに、総務・バックオフィス業務というものをどう捉えているのか、期待していることはなにか?を直接聞いてみました。
今回は実際に総務部門で働かれている方にもインタビューに参加してもらいましたので、いま総務部門で働かれている方・これから総務部門で働きたいという方は是非参考にしてみてくださいね。
記念すべき第1回目は「株式会社オハコ」の菊地社長にインタビューしてきました。
―まずは自己紹介と会社について教えて下さい。
菊地:代表として会社全体の戦略策定はもちろん、UIデザインが好きで会社を立ち上げたこともあり、プロジェクトによっては現役でUX設計・UIデザインを担当していたりもします。プロジェクトを担当させていただく上では「心地よさ」を大切にしています。
UX(ユーザー体験)をダイレクトに伝えるUIや動きによるユーザーへのフィードバックを意識してデザインをすることで「心地よさ」をつくっています。
会社として掲げているのは「プロダクトの本質を磨き上げ、人とプロダクトの心地よい接点をつくる」こと。
デザインやフロントエンド開発、バックエンド開発などの職種を問わず、常に社会的なトレンドや対象となる人の行動を研究し、良い意味での新しさを取り入れる向上心がそのためには必要だと思っています。
なので、単純に働くためのハコとして存在する会社ではなく、個々のメンバーの好奇心や向上心をサポートし、一緒に働くメンバー全員がナレッジやノウハウを共有し合い、成長していく会社であり続けることを意識しています。
―では御社の総務部門の体制を教えて下さい。
菊地:現在(2016年2月時点)は1名で2015年4月から採用しました。それまでは全て自分ひとりでバックオフィス業務をやってましたね。
―すごいですね!なにかいままでご経験とかあったのでしょうか?
菊地:いえ笑 なので自分一人で行うのにも限界を感じ始めてました。
―どんなタイミングで採用をしようと考えたのですか?
菊地:そうですね~、業務時間の半分をバックオフィス業務に取られてしまって、終電を逃すまで会社に残るってことをずっとしてました。
そもそもバックオフィス業務は会社の成長にもそんなに直結するわけでもないので、正直な所、他の人にお任せしたいと考えるようになりました。
ちょうど仕事の引き合いも増えてきて、自分の業務の中で渡せるものがあるとしたらバックオフィスかなと。
―4月に採用してから引き継ぎとかあったと思うのですが、総務の方とどのように関わっていったのですか?
菊地:実は引き継ぎはしていないです笑
すごくできそうな方だったので、資料を全部、しかもごちゃごちゃなものを渡しただけです。
すると1ヶ月後くらいには整理されていてびっくりしました笑
―総務の方を採用する際に重視した点はありますか?
菊地:なんていうんですかね。業務の遂行にブレがない人、あとは話しやすいかどうかですかね。時間がないとどうしても必然的に業務を丸投げせざるを得ないのでそこを汲みとってくれる方というのを重視しました。
―引き継ぎもない中で1年間頑張って体制を整えて頑張ってきたと思うのですが、総務の方に感謝を伝えてたりしますか?
菊地:それがなかなか言えてないんです笑 いつも助かっているので感謝しているんですけどね。
―小嶺さんにお伺いします。前職で総務の経験はありましたか?
小嶺:実はやっていないんです笑
前職やその前の大手IT企業で営業事務や購買事務などはやってましたが、経理や総務の専業経験はなく未経験でした。
ただ、業務の物足りなさや決められたことしかできないという業務の幅に物足りなさを感じていて、自分で考え行動していくような仕事に就きたいと考えてました。
―未経験ということはものすごく大変だったじゃないですか?
小嶺:グループ会社の方に助けて頂いた部分もあったのですが、逆に未経験だったからこそ、全て初めてのことばかりだったので楽しい部分が多かったです。
菊地:本当に楽しいですか!?笑
小嶺:いや、楽しいですよ!楽しくなさそうに見えますか!?笑
楽しさもありますけど、まず飽きないですね。いままで経験してないことばかりなので飽きることがないです。
―経理などはなかなか専門知識がないと難しいと思うのですが、なにか独学で勉強されたんですか?
小嶺:実際に業務でやってみて勉強していくことのほうが多いですね。日々いろんなことを学べるので楽しいです。
―普段菊地さんと小嶺さんはどういうコミュニケーションを取られているのですか?
菊地:基本的に社内にいないことが多いのでチャットツールを使用して、気づいたこととかアイデアとかを送ったりしてますね。
小嶺:業務時間外には連絡が来なかったりするので気を使って頂いているなと感じます。
―福利厚生や社内イベントを考えたりするのはどなたでしょうか?
菊地:「誰が」というのはなく社内で挙がった案を小嶺さんが実現させていくような形ですね。
基本的に社内では立場関係なく会社に対しての要望が言える空気になっています。なので、社内で色々な要望が出てくるのですが、それを福利厚生とかに落とし込む際の法務チェックや処理などはすべてお任せしています。あと、第三者的に「そもそもそんな制度必要か?」といったチェックとかもですね。
―小嶺さんが総務としてやりがいや大変さを感じたところは?
小嶺:勤怠管理の打刻チェックとかは結構しんどい時がありますね。打刻してない社員に日々アラートを出して、月末の処理に向けてやっています。
あとは入社当時にバラバラだった経理の資料や法務書類などを整えていったのが一番やりがいを感じました。
―総務の仕事ぶりを評価する軸を教えて下さい。
菊地:いまの所はないですが、定性と定量である程度公平な評価手法を確立するのが今期の目標の1つです。現状は担当業務におけるスキルや改善提案力・メンバーとのコミュニケーションの雰囲気などを見ながら評価してますね。
総務の担当業務といったところで見ると、総務のメンバーって、どれだけ事務作業を効率的なフローするか、どれだけ他のメンバーが業務に集中できるようにするかだと思うんですよね。それってすぐ目には見えなくても、いずれ業績に寄与しうるはずなので、評価は自ずとあがってくるはずです。
―今後総務部門に対してどういう働き方を求めていきたいですか?
菊地:組織の体制がこれから大きく変わっていく中で、柔軟に対応してもらいですね。体制の整備や働きやすい環境にしていきたいと思うので、多様な働き方ができる制度作りを作っていくような形を求めていきたいです。
「一緒に会社を作っていく」という部分でバックオフィスの方からしっかりコミットしてほしいという思いがありますので、中長期を見据えた働き方をしてほしいです。
いまは勤怠管理にしろ給与計算にしろ便利で多様なウェブサービスが世の中に溢れているので、ただ単純に仕事をするという意味では機械でもまかなえると思ってます。
ただ業務をこなすだけの「総務のヒト」というのはこれからどんどん価値がなくなってしまうと思うので、機械でできない部分でバリューを発揮してもらうような働きを求めていきたいと感じています。
ライター後記今回取材に対応して下さったお二人が終始笑顔で会社の様子を語ってくれたのが印象的でした。いままさに会社がどんどん成長していく中で社長と総務部門のコミュニケーションはかなり重要なのだと感じました。また、決まった業務をただこなすのではなく、「自分で考え行動していく」ことがこれからの総務に求められているのかもしれません。みなさんのいまの業務を見直すきっかけになれば幸いです。
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