ニューノーマルの時代において、あらためて「エンゲージメント(人や組織をつなぐ関係性)」に注目が集まっています。「働きやすい」「この会社で働きたい」といった社員の思いとも言えるエンゲージメントを向上させるには、快適なオフィス整備が重要です。そこで、先進的なオフィス整備の取り組みである「オフィス・スタジオ」を社内に導入した株式会社NSFエンゲージメントの大島氏へ次世代のワークプレイスについてお話を伺ってきました。
目次
オフィス・スタジオとは?
オフィス・スタジオを用いてできること
オフィス・スタジオはオフィスの中にスタジオを設置して、セミナー・社内イベントなどを収録・配信する場所です。テレワーク や在宅勤務の普及により出社率が低下し「オフィス離れ」や「オフィス縮小」が進んだことで、オフィスの在り方が徐々に変わってきています。オフィス・スタジオの有効活用により、セミナーの満足度が向上したり、社員の新たな一面を発見できたりと、エンゲージメントに対して多くのメリットがあります。今後社内にオフィス・スタジオを設置することは新しいスタンダードになっていくでしょう。
--現代のワークプレイスにはどのようなものが求められていますか。
現代のワークプレイスは、オープンで流動的な空間が求められています。快適で合理的なだけでなく、創意を生み出すコミュニケーションを誘発する場でなければなりません。それは、働き方の多様化とエンゲージメントを両立させる必要のある今日でも変わりません。
--なぜ今社員にエンゲージメントの向上が求められているのでしょうか。
緊急事態宣言の発令以前より、シェアオフィスやコワーキングスペース、リモートワークなど、ワークプレイスの分散化や流動化が徐々に広がりました。現在ではさまざまなワークスタイルが普及し、働き方の選択肢が増えています。多様な働き方はメリットがある一方で、課題も出ています。例えば、コミュニケーションの不足、そこから生まれるコラボレーションや斬新な発想といった新しい付加価値の創造が起きにくいこと、社員のウェルビーイングの維持も難しいこと、などです。こういった課題は、エンゲージメントの低下につながり、ひいては生産性の低下や退職のリスクにまで影響します。半ば強引にワークプレイスの分散化が実行されましたが、今後も働き方の多様化を定着させるためには、経済合理的なワークプレイスの整理だけでなく、コミュニケーションやお互いに刺激を与えあえるような人間関係の拠点となる「場」や「仕掛け」が必要なのではないでしょうか。
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NSFエンゲージメントのオフィス・スタジオとは
計画するまでの経緯
--オフィス・スタジオを計画した経緯を教えてください。
社内のコミュニケーション不足を解消するため、仮設で機材をつなげて、全社のライブ配信を実施したことがきっかけです。当時を振り返ると、企画や準備がとても大変でした。しかし、いざ配信をやってみるとやりがいもあり、想像以上に楽しかったことを覚えています。また視聴した社員からの反応も大きくあったことから、出演した社長をはじめとした役員達もかなり手応えを感じ、よりライブ配信の効果を高めるためにオフィス・スタジオの本格活用の計画をしました。
求められる背景
昨今の社会情勢の大きな変化の影響で、ライブ配信の需要は増加傾向にあります。それまでは、会場に参加者が集まる形式のセミナーやパネルディスカッションなどが主流でしたが、巣ごもり期間などの影響を受けて、オンラインイベントが増加してきました。今後の新しい働き方の時代においても、リアルイベントとオンラインイベントは併用される形で継続していくでしょう。
導入するメリット
オフィス・スタジオを導入すると下記のようなメリットがあります。
- 社外の会場をレンタルする費用を抑えられる
- 配信・収録以外にもプレゼンテーションやイベントの拠点として利用できる
- テレワークや在宅勤務の普及でオフィスの空いたスペースを有効活用できる
- セミナー参加者の満足度が向上する
- 各PCからのWeb配信では実施が難しい対談形式の配信ができる
こだわり
--オフィス・スタジオのこだわりを教えてください。
オフィス・スタジオを計画する中で、さまざまなスタジオを参考にしました。これまでのスタジオは、作業場のような殺風景なものや雑然としたもの、あるいは閉鎖的なものが多かったのですが、こういった空間ではエンゲージメントの向上は望めません。
現代のオフィスに相応しくフレキシブルでいろいろな形に変えられるように配慮しました。オープンで自由な空間をコンセプトにスタジオをガラス張りにするだけでなく、用途に応じて様々なタイプの家具を組み合わせて利用できます。さらにスピーカーがスタジオの外にもついており、会話が外にいる人にも聞こえ、パブリックビューイングできるような仕様です。スタジオ内の出演者だけでなく、ギャラリーも一体となって、イベントに参加できるように計画されています。オンラインでも、その場にいても楽しめる、そんなコミュニケーションの拠点になっています。またこのスタジオはプロのスタジオとは違い、毎日収録して配信するわけではありません。そのため配信以外の普段の仕事でも有効に活用できるよう計画しました。普段は会議を行ったり、来客のおもてなしをしたりプレゼンテーションをしたりと多用途で利用しています。
設置して変化したこと
--オフィス・スタジオを作って何が変わりましたか。
どの部署も情報発信が活発化したことです。正直オフィス・スタジオの設計を計画しているときは「オフィス・スタジオは本当に必要?」という声が多くありました。しかし、いざオフィス・スタジオが完成するといろいろな部署から利用したいという声が上がりました。例えば、総務部からはPDFで作成していたマニュアルを動画収録して配信したいといったことや、人事部からは社員向けの研修をスライドだけではなくライブ配信で行いたい、などです。みなさん自ら新しい仕事のカタチを提案してくれるようになりました。また社員の新しい才能を発見することができたのも良かったです。具体的には司会をする人、脚本を書く人、動画を編集するなどです。当初はあまり期待していなかったのですが、実際やってみると実は得意な社員がたくさんいることがわかりました。社員の新たな一面や埋もれた才能が発掘されることで、一層社内コミュニケーションも活発になっていると思います。
--オフィス・スタジオでライブ配信を行ってよかったことを教えてください。
配信中にチャットで質問を投げられる機能です。匿名のため、参加者は気軽に質問ができました。対面で「質問ある人いる?」と投げかけてもなかなか出てきませんよね。最初は「チャットでリアクションを取る人はいるのかな」と半信半疑でしたが、実際に行ってみたところ想像以上に質問が飛んできて、オンライン配信ならではの良さだと思いました。コミュニケーションの場を切り替えただけでなく、今までできなかったことが実現できる新しいコミュニケーションだと実感しました。今後どの会社でもオンライン配信はスタンダードになっていくと思いますし、私たちはそのフォローをしていきたいです。
必要な機材
--オフィス・スタジオを導入する際に必要な機器を教えてください。
最低限必要なのはカメラとモニター、マイク。あとは、規格化されたラックなどを利用してユニット化された映像スイッチャーや音響ミキサー、ワイヤレスマイクの受信機などがあると便利です。
--カメラやモニターはどんな機器を利用していますか。
カメラはソニーのFX3を利用しています。スタジオのカメラと言っても専属のカメラマンをつけることはなくて、基本的には固定です。ソニーのFX3はオートフォーカス性能が優れているので、1回セットしたらそのままで問題ありません。フォーカスや明るさはカメラ任せにでき、使い勝手が非常に良いです。レンズは取り替えが可能で、立体感のある画作りができるところも気に入っています。オフィス・スタジオを計画するならまずカメラは高性能なものが良いでしょう。ソニーのFX3はコストパフォーマンスも良く、冷却ファンがついていて長時間の撮影ができることから非常に配信に向いているので、オススメです。
モニターはソニーのブラビアを利用しています。スタジオではプレゼンテーション資料を表示するだけでなく、自分たちがどのように見えているかを出演者自身が確認するための「返しモニター」や、オンライン参加の姿が見られるモニター、原稿モニターなど、大型モニターが複数必要です。
32~100インチまでそろっているので、再撮用から映像確認用まで、用途に合わせて幅広く選ぶことができます。また、輝度が高く、表現できる色味も豊かなので、明るい場所での利用も問題なく、資料の色がうまく表現できていないなど、困ることもありません。
>>ライブ配信やウェビナーなどのさまざまなビジネスシーンを支える法人向けカメラの詳細はこちら >>配信スタジオ、会議室にも使える業務用ディスプレイ「ブラビア」の詳細はこちら
オフィス・スタジオを用いた配信のポイント
本格的な配信をするためのポイント
--専門家でなくても本格的な配信をするためのポイントを教えてください。
コアになる機材はユニット化されているので、ユニットを中心にカメラやマイクを組み替えれば簡単に本格的な配信が可能です。配信の用途に応じて、カメラやモニターの位置を変えるだけでバリエーションが増えます。私たちも初めは素人のチームでしたが、今ではさまざまな配信方法にもミスなく対応できています。また私たちはスタジオ設置のフォローアップやマニュアル作り、チュートリアルまで行っているため、初めてのお客さまでも配信に慣れるまでにはそれほど時間はかからないでしょう。
--オフィス・スタジオの導入を考えている企業はフォローアップがあると、スタジオ導入の一歩が踏み出しやすいですね。
そうですね、やってみると難しいところは少ないですし、カメラやモニターは使いやすいので、想像以上にハードルは低いと思います。専門的な知識がなくても、私たちがフォローアップするのでまったく問題ありません。ご関心のある方はぜひ一度当社のスタジオを見学していただきたいと思います。実際に出演される方やオペレーターの方に配信を体験してもらえれば「ライブ配信ってこうやってできているんだ」と実感がわくでしょう。体験してから本格的にオフィス・スタジオの導入を検討しても良いと思います。試してみるとライブ配信の面白さや、可能性を感じることができるはずです。
--配信で臨場感を出すにはどうすればよいでしょうか。
複数のアングルがあることで、かなり視聴者の興味が引きつけられます。一般的なWeb会議だと、PowerPointの画像と参加者の顔が出てくるのみですが、それを1時間ずっと見ていると退屈に思ってしまいます。複数のアングルがあり、伝えたいことにしっかりとフォーカスがあたると、見ている人にとってはメリハリがつくので見応えを感じられます。
あとは音をつけることがポイントです。要所で効果音を入れたり、配信中にBGMを入れたり、待ち時間に演出を加えると臨場感や一体感が増します。
--配信スタジオを効果的に使うためのポイントを教えてください。
専門的な人たちだけに占有されないようにすることがポイントです。今後動画制作・ライブ配信はありとあらゆる部署でスタンダードになると思います。どの部署でも、どの目的でも使えるようにスタジオを構築する必要があります。
配信を体験した人の声
--オフィス・スタジオを利用した人からはどんな声がありましたか。
主催者側は準備から配信まで楽しいという声が多いです。「次はこんなことがやりたい」などの新しいアイデアが浮かんで、挑戦したいとよく聞きます。また、オンラインだと、アンケート機能を使って視聴者側からの声を集められることもメリットです。チャットで自分のリアクションが採用されたときはかなりテンションが上がるようですよ。他には、Web会議よりも臨場感や一体感があると言っていただけたり、対面よりもむしろ距離が近くなったと思うと言われたりときは、オフィス・スタジオを導入してよかったと実感しました。
--今まで開催したイベントで印象的だったものを教えてください。
当社の社長と若手社員によるトーク番組ですね。社内で非常に好評です。社長はこのスタジオから出演して、ゲストの若手社員は厚木や仙台、愛知などさまざまな事業所からモニター越しで出演します。1回10分ほどで、社長と若手社員がカジュアルに会話をしています。対面だったらなかなか社長と話す機会はないので、リモートならではだと思います。また若手社員からすると、いつものPCをつかったWeb会議と同じように画面に話しかけているだけなので、話しやすいでしょう。
--今後オフィス・スタジオを利用してどんなことを挑戦したいですか。
まだ準備や企画が不慣れなところはありますが、リモートをつないだ配信や動画制作が日常の生活に組み込まれるようになれば良いなと思っています。総務系の業務だと、活字のマニュアルよりも動画や配信のほうが面白くてわかりやすいというものがあるかと思います。また、離れた事業所との常時接続など、映像・配信技術を活用した新しいコミュニケーションのスタンダードを作っていきたいです。
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まとめ
組織の活力になるようなオープンでフレキシブルな空間は、社員のエンゲージメントを向上させる手段として有効です。今後、「対面」と「オンライン」のそれぞれの良いところ取りができるオフィス・スタジオは新たなオフィスの常識になっていくでしょう。新しいコミュニケーションの拠点としてぜひオフィス・スタジオの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ
●株式会社NSFエンゲージメント
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