2020年に新卒で入社した世代は「リモート元年世代」とも言われており、入社式や研修、その後の業務までもがリモートで行われることもありました。リモート入社では、周りとの差が分からないことや評価が不明瞭になること、質問や相談が気軽にできないことなど、新入社員を悩ます事柄が多くあります。
そこで本記事では、ソニービズネットワークス株式会社の採用担当者である中山さんとリモート元年世代の矢口さんへ、リモート選考や入社プロセスのサポート体制、さらにリモート入社をどのように乗り越えてきたかなどを聞いてきました。
目次
2020年初頭、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、企業の業務や学校の授業などの多くが急遽リモート化されました。この年は「リモート元年」「オンライン元年」などと呼ばれます。日本国内で最初に感染者が確認されたのが2020年1月15日、その後4月7日には最初の緊急事態宣言が発出されており、3ヶ月足らずで事態が急変しました。準備を十分にできないままリモート化が進んだことで、多くのトラブルが発生したことでしょう。特に、感染拡大直後の4月に入社した「リモート元年世代」の新入社員は、業務や人間関係に不安を覚えたことかと思われます。
入社を控えた学生は、時に「内定ブルー」と呼ばれる憂鬱な気分に陥ってしまうことがあります。内定ブルーとは、入社にあたっての企業選択の正当性や社会人生活を見据えた不安から自信をなくしてしまう現象を指します。
平常時でさえ、内定ブルーに陥る新入社員は少なくないのですが、殊にコロナ禍においてはさらに向かい風と言えます。企業はこうした新入社員のメンタルケアをするため、適宜面談を行ったり、ヒアリングをしたり、内定者同士の交流を促したりしてフォローすると良いでしょう。
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2020年初頭に突然コロナ禍となり、就活解禁を間近に控えた学生は大きな混乱に飲み込まれたことでしょう。混乱があったのは採用担当者も同じで、選考フローをオンラインに切り替えるか、スケジュールを延期するかなど様々な葛藤がありました。そうした採用の裏側について、2019年から現在まで新卒採用に携わっている、ソニービズネットワークス株式会社の中山さんへインタビューをしました。
--リモート入社が始まった2020年当初の状況について教えてください。
新型コロナウイルスの急激な拡大という状況下でしたが、採用選考から入社、配属までのフローは、結果的にスムーズに進めることができました。しかし、いきなりのテレワーク導入ということもあって、2020年入社世代については対面からどうオンラインに切り替えていくかといったゴタツキがありました。
特に、採用面でのオンラインへの切り替えはネックでした。今までオンライン面接をほぼやったことがなかったので、候補者の方にどのようにアプローチしたら良いのか判断に迷いました。
と言いつつも、コロナ禍以前にも地方採用を少ししていたため、オンライン面接の経験が全くないわけではありませんでした。しかし、すべてをオンラインで面接するにはどのように進めれば良いのか、候補者の方の不安をどのように解消していくかなどについては手探りで取り組んでいましたね。候補者の方からも、「1回もオフィスに行ったことがないので決め手に欠ける」と言われることもありました。
--リモート入社元年世代の方の、入社~研修~配属の流れはどのようだったのでしょうか。
東京の本社で行うはずだった入社式は中止になりました。また、本来であれば、地方配属の社員も本社で3ヶ月間研修を行うはずでしたが、すべてオンラインで自宅から参加するという形に変更しました。研修期間も半年間に延び、その後に配属という流れになりました。
--そうした手探りの状況で、人事・候補者からはどのような不安の声がありましたか。
採用側も候補者側も「本当に全部オンラインで大丈夫なのかな」と不安に思っていました。実際に入社してから、「雰囲気が違うな」ということがお互い発生する可能性があるため、そのようなミスマッチがないよう、オンラインで候補者の方の適性を見極められているのか、人事側は不安でした。
特にリモート入社世代2年目(2021年入社)は全てのフローがオンラインであったため、画面上でしか社員と接することができず、雰囲気が掴みづらかったようです。面接の際に、オフィスに行って実際の社員の雰囲気を感じることができないのは、候補者の方にとって相当不安だったことでしょう。
--新型コロナウイルス感染拡大を受けて、選考フローはどのように変化したのでしょうか。
まず、全てのフローをオンラインで実施と決定したので、説明会が対面でできなくなりました。そのため、候補者の方から動画を送っていただき、自己PR動画という形で選考に組み込みました。昨年からはオンライン説明会を導入しましたが、Web会議ツールにはグループ分けができたり、ライブ配信ができたりするなどの機能があったため、対面での説明会と同じような形で進められたと思います。候補者の方が説明会中に疑問を感じることがあれば、チャットを通じて質問していただき、適宜その場で回答するように進めました。
--オンラインでの採用に対する課題などはありますか。
「オンラインで候補者を正しくジャッジできるか」という課題はあります。しかし、これまでの採用を通じて、入社前後でギャップを感じたことはありませんでした。
また、オンラインなので、候補者の方は遠方の企業に簡単にエントリーできたり、オンデマンド配信型の説明会に参加できたりします。候補者の方の中で企業の比較が難しいと思いますので、他社との差別化をアピールすることが重要だと感じております。
そこで、当社の説明会ではただ資料を画面共有するのではなく、参加型のクイズ形式などを取り入れ、候補者の方にとって印象に残るような工夫をしています。
今後は、当社のことを候補者の方に忘れられないよう、社員紹介やオフィス紹介を動画で行うなど、Webコンテンツを増やしていこうとしています。
--オンラインでの採用で一番気を付けていることを教えてください。
オンラインであると対面よりも雰囲気を深く感じ取れないので、接する回数を増やしたり、質問を適宜したりするように心掛けています。例えば、当社は選考フローがかっちり決まっているので、面接の中で候補者の方から「若手社員に会いたい、マネジメント層の社員に会いたい」という要望があったら、積極的に実現させるようにしています。
また、オンライン面接では、手元にメモを用意している方がいることもあるので、深く追求して候補者の方の本質を読み取るように心掛けています。
--多くの学生さんと面接をされていますが、どのような人と働きたいと思いますか。
まずは与えられたものに対して素直に取り組める方と働きたいです。こちらは現場の社員からも言われています。また、継続して何事にもめげずに挑戦できる方と一緒に働きたいです。
当社は現在拡大期で色々な事業を広げていくフェーズですので、与えられたことを素直に実践し、「もう少しこういったことをした方がいいかな」と思考力をプラスできる方に、ぜひ入社していただきたいと思っています。
私たちも説明会の段階で「こういう人を求めています」とダイレクトに伝えたり、「このような社員がいます」と働いている社員を実際に見せて自身と重ねてもらったりしながら、マッチングを図っています。
--面接をした学生さんからはどのようなお声がありますか。
当社はテレワークを全面的に導入しているので、「リモートで仕事はできますか?」「対面の時と仕事のやり方は変わりましたか?」などのテレワークに関する質問が増えてきたように感じます。また、「社員に会いたい」という候補者の方には面談を積極的に行うようにしているので、「オンラインだけど働くイメージが湧きました」「こういう人が働いている会社なんだと選考過程で分かりました」といったお声もいただいています。
--今後就活を行うリモート入社世代の学生さんに向けて、企業を選択するポイントやアドバイスをお願いします!
迷われている候補者の方は、たくさんの企業を見過ぎてどの企業もよく見えているだろうと思います。「この企業でどんな活躍ができるだろうか」、過去の経験から「どういう環境であればイキイキと働けそうか」などのイメージができれば、就職活動の軸を決められるのではないでしょうか。最終的には面接過程で話した人と一緒に仕事ができそうか、を考えていただければ良いと思います。
就職活動がオンラインだと「本当に企業のことしっかりと知れるのかな」と不安に思うこともあるかもしれません。しかし、オンラインならではの良さとして、多くの企業を見ることができます。ぜひ受けられるだけ受けて自分に合っている企業を見つけてみてください。
当社はテレワークを導入してコミュニケーションを取りづらい状況ではありますが、チャットを駆使したり、リモートならではのコンテンツを増やしたりして対応しています。リモートが全てネガティブなわけではないので安心して入社してきてほしいです。
リモート元年世代に入社をした社員は当時どのようなことを考え、不安に感じていたのでしょうか。今回はリモート元年にソニービズネットワークス株式会社に入社した矢口さんへインタビューをし、当時の様子や感想などを聞きました。
--リモート入社で感じた不安やその解消方法について教えてください。
まず、研修が対面からオンラインに切り替わると決まったのが入社直前の3月30日で、期限なしのテレワークも同時に発表されました。当時は、そもそもリモートで仕事ができるのか、(営業配属だったため)営業活動はオンラインでも問題ないのかといった漠然とした不安がありました。また、社員と関わる機会が減り、関係構築が難しいのではないかという不安もありました。
ただ、その点は人事が「リモートでも仕事ができるように」とカリキュラムを用意してくれたり、社員と交流できるようなイベントを積極的に企画してくれたりしたので、徐々に不安は解消されていきました。
また、営業活動についても、自宅からテレアポができるツールやオンライン商談ツールを元々弊社で使用していたため、スムーズに営業活動を行うことができました。
--リモート入社の過程で感じた良い点・悪い点を教えてください。
良い点は、通勤時間や移動時間がないことで、より多くのミーティングや商談ができたことです。特に新人時代は多くの経験を積むことが重要だと思うので、商談の数を増やせた点は良かったです。また、地方に配属された同期とも場所関係なくオンラインで繋がることができたため、気軽にコミュニケーションを取ることができました。
一方で悪い点は、先輩方がリアルタイムでどのように動いているのかがわからないことです。出社していたら、忙しそうかどうか雰囲気で分かりますが、リモートだとその点がわからないため、変に気を遣ってしまって、ミーティング設定の依頼やそもそもチャットすること自体をためらってしまうこともありました。また、リモート環境だと切り替えがうまくできず、ずるずると仕事をし続けてしまうこともありました。
--オンラインコミュニケーションには問題はありませんでしたか。
当社ではチャットツールが導入されており、同期や先輩社員と気軽にコミュニケーションが取れたため、特に問題はありませんでした。また、社内でZADN(ザダーン)という座談会をするコンテンツがあり、同じ部署の人だけではなく、定期的に違う部署の方とも話せるので、色々な方とコミュニケーションを取れています。普段業務上では関わることのできない年次・部署の方と話せる良い機会となっています。
--リモート入社世代として、今後就活を控える方にアドバイスをお願いします!
様々な不安を抱えているかとは思いますが、当社に限らずどこの企業でもオンライン入社を経験した先輩社員がたくさんいるはずです。その分フォロー体制がしっかりと整っていると思いますので、安心して入社してきてください!
内定ブルーという言葉があるように、多くの新入社員が不安を抱えて入社するものです。コロナ禍においては、「リモートでの仕事は大丈夫か」「人間関係は築けるか」といった不安が付きまとうことでしょう。
しかし、リモートならではのメリットも多くあり、選考から入社、配属までのプロセスのリモート化が始まってから1年半以上が経つので、ノウハウも蓄積されているのではないでしょうか。どの企業もフォロー体制を整えているはずですので、これから入社される方も安心して入社を迎えてください。
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