ワークルールとは、労働基準法をはじめとした労働に関する法律や制度を指します。働き方に注目が集まる近年、ワークルールへの関心も高まっています。そんな中、ワークルールに関する知識を習得できるワークルール検定は、職場のトラブルの対処について学びたい事業主を中心に注目されています。今回はワークルール検定の内容や受け方、メリットについて詳しく解説します。
ワークルール検定は、適切な労働環境維持のために必要な法的知識やルールを身につけられる検定制度で、一般社団法人日本ワークルール検定協会によって実施されています。
ワークルールに関する知識は、労働者にとっては自らの権利を守るために、事業主にとっては労働トラブルを未然に防ぐために、欠かせないものです。しかし各種調査が明らかにしているように、現状ではワークルールに関する知識、特に労働者の権利についての知識が乏しいために、労働者が不利益な扱いを受けるという例が後を絶ちません。とりわけ、比較的恵まれない労働条件で働いている、あるいは将来的に低い労働条件に置かれる可能性が高い人ほど、労働者の権利を理解していない可能性が高いという指摘がなされています。
こうした危機意識のもと、日本弁護士連合会はワークルールを「職業生活において必要な労働の分野に関する実体法及び手続法等(判例を含む)」と定義した上で、「ワークルール教育推進法(仮称)の制定を求める意見書」を平成29年2月に政府に提出しています。この意見書は、ワークルール教育推進法(仮称)の制定を通じて、様々な人に対するワークルールの教育とその支援活動をより推し進めることを提言しています。
このように、近年ますますワークルール教育への関心が高まる中で、ワークルール検定も注目されるようになっています。この検定の初めての試験は、平成25年6月にNPO職場の権利教育ネットワークが中心となって行われました。その翌年には職場の権利教育ネットワークを中心に、一般社団法人日本ワークルール検定協会が設立され、厚生労働省の後押しもあり、ワークルール検定は全国展開されるようになりました。
働き方改革をはじめ、様々な点で職場の環境が変わり、人々の働き方もより多様になっています。そこで重要となってくるのが、働くことについてのルールの把握です。ワークルール検定はこのようなルールが広く試験範囲となっており、ワークルール検定を通してルールの把握をすることが職場での問題を防いだり解決したりするのに役立ちます。
この検定は、労働者と雇用主の双方に役立つものとなっています。労働者にとっては自身が働くことについての法的な知識を身につけることで、自分の身を守ることができます。会社にとっては、ワークルール検定を通して社内のコンプライアンス向上や職場環境改善につなげることができます。ほとんどの業種に関わる問題が出題されるので、業種や立場を問わず、誰が受験しても役に立つ試験であると言えるでしょう。
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ワークルール検定には初級と中級の2つのレベルがあります。初級は誰でも受検出来ますが、中級は「プレ検定」または「初級検定」の合格者のみが受検することができます。
初級と中級の間には、試験の難易度と受検資格以外にも違いがあります。初級の場合、検定の前に60分間労働法の基礎的仕組みを解説する「ワークルール講習」を必ず受けなければなりません。しかし、中級には講習自体はありますが、義務ではなく希望者のみが受けます。
労働法全般が試験範囲です。初級と中級ともに労働基準法、労働契約法、労働組合法が主な試験範囲であり、中級の場合はこれに加え労災保険法もその試験範囲となります。
より具体的には、初級の場合だと以下のような内容が出題されます。
中級の試験はこれらに加えて「雇用保険・労災保険」などの社会保険が含まれます。
基本的に難易度と出題範囲は公式テキストブックに準拠しているので、興味のある方は一度目を通してみてもいいでしょう。
マークシート方式の筆記試験のみです。初級は問題数が20問で、制限時間は45分間です。中級の問題数は30問で、制限時間は80分です。どちらも概ね7割以上の正解で合格となります。
ワークルール検定協会公式ウェブサイト、もしくはコンビニエンスストアの端末から申し込むことができます。申し込み後、レジにて検定料を支払いましょう。公式ウェブサイトからの申し込みの場合はクレジットカードで支払うこともできます。検定料の支払いが確認された後、検定日の約2週間前までに受検票が送付されます。ただし公式ウェブサイトでのクレジットカード支払いの場合、受験票は電子メールで送付されます。申込は先着順で、それぞれの受検会場で定員になり次第締め切られます。
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働き方が変化し、働き方に注目が集まる近年。ワークルールへの関心がますます高まっています。まだまだワークルール検定は有名な検定ではありませんが、社会の中で働き方への考えや姿勢が大きく変わりつつある今、特に重要性を持つ検定であると言えるでしょう。
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