働き方改革の実現に向けて、ヤフー社が本気で取り組む健康経営

ヤフー社の川邊CEOは、健康経営に全社をあげて取り組むというメッセージとして 「UPDATEコンディション」を掲げました。ヤフー社の健康経営の取り組みは、予防、就労支援、オフィス環境の3つの観点で構成されており、インターネット企業ならではの手法で進められています。今回は健康経営の事例として、ヤフー社の健康宣言の概要や健康経営の目的、その3つの観点、具体的な施策、データの活用方法を紹介していきます。

 

ヤフー社の健康宣言の概要と目的

健康宣言の概要

ヤフー社の健康宣言は、CEOの川邊氏が健康経営に向けて掲げたものであり、全ての従業員が心身ともに最高のコンディションで仕事に向き合えるような企業になると宣言されています。そのタイトルは、「UPDATE コンディション:働く人の身体の健康(安全)と心の健康(安心)をUPDATEする」となっています。

健康宣言の目的

この健康宣言の最大の目的は、「働く人の心身のコンディションを最高にすることでパフォーマンスを最大化させ、より良いサービスの提供と業績向上を実現する」ことです。ユーザーにより良いサービスを提供し、それによって業績を向上させるには、従業員やその家族の健康が第一に必要であるという考えのもと、インターネット企業ならではの情報技術や科学的手法を活用し、前例のない健康増進施策にチャレンジしていくことが目指されています。

 

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ヤフー社の健康経営の3つの観点

ヤフー社の健康経営では、「働く人のコンディションを最高にし、ユーザーの課題解決と業績向上を実現する」という目標の下、「UPDATEコンディション」を実現させるために、以下の3つの観点から取り組みを行っています。

予防

予防の側面から、従業員の健康増進のための6つの対策と、健康診断、感染症対策、海外派遣者の健康管理を実施しています。6つの対策には、次のものがあります。

  • 従業員とその家族の健康意識向上
  • 生活習慣病対策
  • メンタルヘルス対策
  • 喫煙対策
  • 過重労働対策
  • 女性のための健康支援

就労支援

傷病による休職や、治療と仕事との両立を目指す従業員に対する支援体制の整備を目指しています。

オフィス環境

ヤフー社の従業員のパフォーマンスの向上(プレゼンティーイズムの向上)を目指し、オフィス内の環境の改善を行っています。

 

3つの観点にもとづいた具体的な施策

予防に関する取り組み

  • 従業員とその家族の健康意識向上
    ヤフー社では従業員とその家族の健康意識を向上させることが明確に目指されており、2018年4月に設立された健康保険組合であるYG健康保険組合との連携で進められています。CEOの川邊氏も健康経営を強く打ち出しており、就業規則には健康経営に関する章が設けられて、会社は「働く人の最高のコンディションが、働く人の最大のパフォーマンスにつながり、働く人とその家族の幸せにつながる」という理念をもって経営を行うものと明記されています。
  • 生活習慣病対策
    産業医や保健スタッフが健康診断の結果に基づいたアドバイスを行うなどして、生活習慣病への対策が進められています。
    具体的な取り組みとして、社内レストラン&カフェ(BASE & CAMP)が挙げられます。ここでは朝食が無料にて提供されるほか、1日に必要な野菜の2分の1以上が取れるメニューや減塩・低カロリーのメニューなどが提供されています。
    また、多種多様なテーマのセミナーも社内で開催されています。テーマ例としては、食育セミナー、睡眠と健康セミナー、紫外線とスキンケアセミナー、デンタルケアセミナーなどがあります。
    この他にも、体組成計測定会の実施、脳ドック・心臓ドック費用補助制度、オフィス周辺のフィットネスクラブの優待利用などの制度もあるようです。
  • メンタルヘルス対策
    メンタルヘルス対策として、一般の従業員には、相談窓口の設置、職場担当制での細やかなサポート、社内での情報発信などの活動が行われています。一方で、役職者に対しては新任管理職研修やブラッシュアップ研修などにより、心の健康づくり活動が行われています。
  • 喫煙対策
    禁煙補助の取り組みとして、禁煙相談や個別カウンセリングが実施されています。各種禁煙支援の利用者は、2019年時点で延べ270名以上、2018年の喫煙率は5%にまで減少しているとのことです。また、世界禁煙デーに合わせて各種イベントも行なっているほか、2020年度中には全拠点で社内の喫煙所を廃止する予定です。
  • 過重労働対策
    近年の日本社会において話題になっている過重労働対策については、長時間労働を行う従業員に対して産業医・人事・上長が面談を行い、長時間労働により健康障害発生が発生するリスクの低減に努めているとのことです。
  • 女性のための健康支援
    ヤフー社では2014年4月に「女性の健康支援プロジェクト」が発足しました。それ以降、女性相談員の育成や各種セミナー等の開催など、女性特有の問題について学んだり相談したりできる制度を整えてきました。乳癌検診費用の補助や、全年齢の女性社員を対象にした婦人科検診費用の補助など、各種補助も手厚くなっています。

就労支援に関する取り組み

  • 治療と職業生活の両立支援
    病気や怪我により治療が必要になった従業員に対して、治療中や治療後に働きやすい環境を整えるための就労支援制度が用意されています。中でも癌については、癌を患った従業員への理解を深めるため、全従業員を対象として癌教育のeラーニングが行われています。
  • 傷病休職者への支援
    病気や怪我により休職している従業員に対しては、復職支援プログラムを充実させたり、こころの相談窓口を設置したりすることにより、円滑な職場復帰をサポートしています。また、業務上の配慮が必要な従業員については、情報共有システムを確立することで適切なサポート体制を敷いています。
  • ノーマライゼーション
    障害者手帳を所有している従業員に対しては、年6日の特別休暇を付与したり、相談窓口を設置したりしています。これは通院時や体調不良時などに安心して休暇を取得できるようにすることを目的としています。

オフィス環境に関する取り組み

ヤフー社はオフィス環境にも力を入れています。特に特徴的なのは以下のような施設です。どれも一般的な企業ではあまり見かけない施設です。

  • 休養室
  • マッサージ室
  • 仮眠スペース
  • 運動スペース

上記以外にも、キャップス検診クリニック紀尾井町と連携した定期健康診断などもあり、病気にならず、パフォーマンスを上げて働くための制度が整っています。

データの活用方法

最後に、今回の事例でのデータの活用方法についてです。ヤフー社はインターネット企業ということもあり、データを用いた施策も活用しています。
その一例が、上述の社内レストラン & カフェ(BASE & CAMP)です。ここで食事をすると摂取した栄養素がデータとして可視化され、それぞれの健康上の課題に応じてメニューを改善するなどの対策も取られているようです。

 

まとめ

今回は健康経営の事例として、ヤフー社の健康宣言の概要や健康経営の目的、3つの観点からの具体的な施策、データの活用方法などを紹介してきました。優良事例を参考にして、自社の従業員の健康について改めて考えてみてはいかがでしょうか。

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