厚生労働省では、職業経験の不足などから就職が困難な求職者を一定期間試行雇用する企業に対し、助成金を支給する「トライアル雇用奨励金」を設けています。
企業はトライアル雇用を活用することで、労働者の適性や能力を確認したうえで常用雇用へ移行できることから、採用時のミスマッチを防ぐことが可能となります。
今回は、トライアル雇用奨励金の内容や要件について解説します。
目次
トライアル雇用奨励金は、職業経験や技能、知識等の不足などの理由から安定的な就職が困難な求職者について、ハローワーク等の紹介により一定期間試行雇用(トライアル雇用)した企業に対して、国から支給される助成金です。
トライアル雇用奨励金は、企業と求職者の相互理解を促進すること等を通じて、雇用機会の創出や早期就職の実現を図ることを目的としています。
企業はトライアル雇用を活用することで、トライアル雇用奨励金を受給できるとともに、労動者の適性や能力を確認したうえで常用雇用へ移行することができることから、採用時のミスマッチを防ぎながら人材を確保することが可能となります。
トライアル雇用では、企業とトライアル雇用対象者との間で原則3ヶ月間の有期雇用契約が結ばれます。この期間中は労働基準法等の法律が適用され、トライアル雇用対象者に対して賃金が支払われます。
トライアル雇用の期間が終了したら、企業はトライアル雇用対象者について常用雇用契約へ移行するかどうかを判断し、移行する場合は常用雇用契約を締結します。
トライアル雇用終了後の常用雇用率は約8割であり、トライアル雇用は企業の採用にとって有益であるということが分かります。
トライアル雇用奨励金の受給要件は、30項目以上と多岐にわたります。下記では、特に重要な受給要件を紹介します。
トライアル雇用奨励金の受給のためには、受給要件のすべてを満たすことが必要です。その他の要件については、厚生労働省のホームページで確認するようにしてください。
トライアル雇用奨励金の支給額は、原則として対象者1人あたり月額4万円です。なお、対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父である場合や、若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の対象者に対してトライアル雇用を実施する場合は、1人につき月額5万円が支給されます。
トライアル雇用奨励金は、対象者の雇入れの日から1ヶ月単位で最長3ヶ月間の支給対象期間を対象に助成が行われ、支給対象期間中の月額の合計額がまとめて1回で支給されます。ただし、対象者が支給対象期間の途中で離職した場合や、支給対象期間の途中で常用雇用へ移行した場合などは、実際の就労日数に応じて月額が計算されます。
トライアル雇用奨励金の受給にあたっては、下記の4つの手続きを行うことが必要です。
まずは、事前に「トライアル雇用求人」をハローワーク、地方運輸局、職業紹介事業者に提出することが必要です。トライアル雇用奨励金は、ハローワーク等の紹介により対象者をトライアル雇用した場合のみ受給することができます。
ハローワーク等からトライアル雇用対象者の紹介を受けたら、選考を実施します。なお、この選考は、書類ではなく面接で行わなければならないこととされています。
実際にトライアル雇用を実施することになったら、トライアル雇用開始日から2週間以内に「トライアル雇用実施計画書」を作成し、対象者を紹介したハローワーク等に提出することが必要です。
トライアル雇用実施計画書は、企業と対象者が共同で作成します。この際、両者間で、トライアル雇用期間終了時の常用雇用移行要件の確認を行うことが必要です。
また、トライアル雇用実施計画書をハローワーク等に提出する際には、雇用契約書など労働条件が確認できる書類も併せて提出することが必要です。
トライアル雇用の期間が終了したら、トライアル雇用終了日の翌日から起算して2ヶ月以内に、事業所を管轄するハローワークまたは労働局に対してトライアル雇用奨励金の支給申請書を提出することが必要です。
なお、トライアル雇用の途中で対象者が離職した場合や、常用雇用へ移行した場合は、紹介を受けたハローワークに速やかに連絡しなければなりません。
トライアル雇用を活用することで、トライアル雇用奨励金が受給できるとともに、採用時のミスマッチを防ぎながら人材を確保することが可能となります。
労働力不足にお悩みの企業や適材適所の人材を求めている企業においては、ぜひこの制度を活用してみてはいかがでしょうか。
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