総務・人事担当者にオススメの資格とは?必要期間や費用など徹底解説

総務・人事の仕事は業務範囲が幅広く、さまざまな能力・資格が必要です。社員の労務管理の重要性が叫ばれる今だからこそ、効率よく仕事を進めたいところ。

最近では、マイナンバーといった新制度に対応できる知識を問う資格や、社員のメンタルヘルスへの配慮ができる能力を問う資格の人気が高まっているという傾向も。総務・人事担当者が、今だからこそとるべきオススメの資格を厳選して紹介します。

総務担当者にオススメの資格とその必要性

総務担当者の仕事は社員が働きやすい環境を整えることです。そのためには経営に関する知識から、快適な職場環境づくりのアイデアの提案能力、法律やコンプライアンスの知識、労務管理まで、幅広いスキルが求められます。

これらの能力は日々の業務の中でも身につくものですが、知識を体系的に整理するには資格を取得するのもひとつの方法です。

一方で資格の取得だけが目的になってしまうと勉強時間や費用のコストがかかり他の業務に悪影響を及ぼしかねません。自分の企業で総務担当者が必要としている業務範囲を把握した上で、適切な資格を選ぶようにしましょう。

人事・労務・法務・総務の広い知識が必要:働き方改革検定

2017年に「働き方改革実行計画」が発表され、2019年に「働き方改革関連法」が施行されました。それに伴い各企業で「働き方改革」に取り組む動きが加速しており、労働環境が大きく変化していく最中にいると言えるでしょう。しかし、働き方改革において対処すべき課題は非正規労働者の待遇格差改善や長時間労働の是正、多様な働き方を可能にする環境づくりなど多岐にわたるため、すべてを理解するのは難しい現状です。働き方改革検定は広範囲の働き方改革に関する知識を適切に身につけられるよう、以下の7つの試験を用意しています。

  • 働き方マスター試験
  • 働き方マネージャー認定試験
  • 労働法務士認定試験
  • ストレスチェック検定
  • 認定ハラスメント相談員Ⅰ種試験
  • ハラスメントマネージャーⅠ種試験
  • 女性活躍マスター試験

これらの中でも、働き方マネージャー認定試験は働き方改革に関する労働法の重要な基礎を扱った上級試験です。試験内容には働き方マスター試験の内容も含まれており、企業が働き方改革を進める際のリーダーの育成に効果的な試験となっています。

検定名 働き方マネージャー認定試験
お役立ち度 ★★★★☆
受験料 10,000円(税別)
取得までの期間の目安 3か月~半年
取得にかかる金額の目安 約25,000円(通信講座を受講した場合)

マイナンバー管理のルールをマスター:マイナンバー実務検定(2級)

2016年1月から開始されたマイナンバー制度。まだ始まってから日が浅いこともあり、総務担当者であっても制度についての理解が不十分な人も多いようです。それだけに、しっかりとした知識を持った人材の価値は高くなっています。

企業での活用を考える場合は、2級以上を取得するのがオススメ。試験内容は知識を問うものが中心で、実技はありません。仕事と両立しての受験勉強や独学での受験も十分に可能です。

資格名 マイナンバー実務検定(2級)
お役立ち度 ★★★☆☆
受験料 8,000円(税別)
取得までの期間の目安 3か月~半年
取得にかかる金額の目安 約40,000円(通信講座を受講した場合)

 

総務が最初に狙う資格としてオススメ:衛生管理者

気持ちよく働くには、職場が清潔で安全な環境であるのはもちろんのこと、会社全体が風通しの良い雰囲気であることも大事ですよね。そんな職場環境を整えるための具体的な知識を得られるのが、衛生管理者の資格です。

衛生管理者は常時50人以上の従業員がいるような事業者には、配置が義務付けられており、この資格取得はコロナ禍において重要性が高まっています。厚生労働省は、感染防止対策の検討にあたって、安全衛生委員会や産業医、衛生管理者を交えた組織を有効活用するよう勧めています。

試験で問われるのは、照明や空調などが健康管理に最適な設定になっているかを管理する方法や、社員の健康管理を効果的に行う方法など、日々の仕事ですぐに役立つことばかり。正答率6割以上で合格と難易度も低めなので、最初に狙う資格としてもオススメです。

資格名 衛生管理者
お役立ち度 ★★★☆☆
受験料 6,800円(第一種・第二種とも/税込)
取得までの期間の目安 3か月~半年
取得にかかる金額の目安 約40,000円(通信講座を受講した場合)

 

部門長クラス向けの資格:ビジネスキャリア検定(1級)

総務担当者は会社全体をマネジメントする立場と言っても過言ではありません。また、管理職の立場にある人から相談を受けることもあるでしょう。

そんな場面にもしっかりと対応できる力をつけるために役立つのが、ビジネスキャリア検定の資格です。2016年から人事・人材開発・労務管理分野での出題が再開されたこともあり、総務担当者の間での注目度も高まっている資格です。

試験形式は選択式ではなく論述形式なので、学んだ知識を噛み砕いてしっかりと自分のものにしておくことが必要です。等級はBASIC級、3級、2級、1級とありますが、部門長を狙う人には1級がオススメです。

資格名 ビジネスキャリア検定(1級)
お役立ち度 ★★★☆☆
受験料 10,000円(1級/税込)
取得までの期間の目安 3か月~半年
取得にかかる金額の目安 約20,000円(通信講座を受講した場合)

 

いずれは狙いたい資格:中小企業診断士(経営)

キャリアが長くなると、総務担当者が経営に携わる場面も出てきます。そんなときに効果的なコンサルティング力を養うのが、中小企業診断士の資格。国家資格だということもあり、企業からの評価も高い資格です。

合格率は例年20~30%とやや低め。試験はマークシート方式の一次試験と筆記の二次試験があり難易度も高いので、通信講座などを利用して賢く学習を進めましょう。

資格名 中小企業診断士(経営)
お役立ち度 ★★★★★
受験料 一次/13,000円   

 

二次/17,200円(いずれも税込)

取得までの期間の目安 1年~2年
取得にかかる金額の目安 約10万円(通信講座を受講した場合)

 

 

人事担当者にオススメの資格

社員のメンタルヘルス管理の必要性が叫ばれる現代、企業においても人事・労務担当者の業務範囲や求められる知識の幅は年々広がってきています。今人事・労務担当者にオススメしたいのは、そんな細かいニーズにも応えられるスキルが身につく資格。年金や医療・雇用保険などの基本的な知識が身につく資格と合わせて取得を検討してみましょう。

2016年から国家資格に:キャリアコンサルタント

社員として長年仕事をしていても、自分に合ったキャリアプランの立て方が分からずに悩んでいる人は多いもの。そんなときに1人ひとりの課題や悩みに合ったアドバイスを行い、ビジョンを明確にして仕事に取り組めるように手助けするのが、キャリアコンサルタントの資格です。

2016年に国家資格となったこともあり資格への信頼度も右肩上がり。学科試験のほか実技試験も課されるので、独学よりはスクールなどでしっかりと対面指導を受けたほうが安心かもしれません。

資格名 キャリアコンサルタント
お役立ち度 ★★★★☆
受験料 学科試験:8,900円   

 

実技試験:29,900円(いずれも税込)

取得までの期間の目安 半年~1年
取得にかかる金額の目安 30~40万円(スクールを受講した場合)

 

ストレス社会で活躍できる資格:メンタルヘルス・マネジメント検定(Ⅱ種)

ストレス社会の今、社員のメンタルヘルス管理は、人事労務担当者の大事な仕事。ナイーブな問題だけに、適切な対処の仕方をしなければなりません。そんなときに必要な知識を学べるのが、メンタルヘルス・マネジメント検定の資格です。

試験問題はすべてマークシート形式、70%以上の正解率で合格と決して難易度は高くないので、独学や通信講座でも無理なく取得できます。

Ⅱ種は、部門内、上司としての部下のメンタルヘルス対策の推進を行うための資格です。メンタルヘルスに関する基礎知識や、部下からの話の聞き方、助言の方法などが含まれます。ストレスチェック制度が義務化された今、受験者が増えることが予想される資格です。

関連記事:
ストレスチェック制度の導入で総務部がやるべきこと【チェックリストつき】

資格名 メンタルヘルス・マネジメント検定(Ⅱ種)
お役立ち度 ★★★★☆
受験料 6,480円(税込)
取得までの期間の目安 3か月~半年
取得にかかる金額の目安 約30,000円(通信講座を受講した場合)

 

独立するなら欠かせない資格:社会保険労務士

社会保険労務士は、人事・労務管理、年金の専門家として年金・医療・雇用保険などさまざまな分野で活躍できる人気資格。幅広い知識が身につくので、将来の独立開業を見据えて取得する人も多い国家資格です。

それだけに試験の難易度は高く、合格率は例年6%前後という難関。試験範囲もかなり広くポイントをしぼった学習が求められるので、スクールを利用して受験対策を行うのが安心です。

資格名 社会保険労務士
お役立ち度 ★★★★★
受験料 9,000円(税込)
取得までの期間の目安 半年~1年
取得にかかる金額の目安 80,000円~10万円程度

 

人事総務を体系的に学べる資格:人事総務検定

本腰を入れて資格勉強をする余裕はないけれど、キャリアアップはしたいという人にオススメなのが人事総務検定。社会保険労務士と同様、人事・労務管理・年金などにまつわる総合的な知識を習得できるのですが、この人事総務検定は認定講座を修了するだけで資格が取得できるのが魅力です(3級・2級に限る)。

資格取得後は一般社団法人人事総務スキルアップ検定協会に会員登録し、協会が主催する研修会やイベントに参加することも可能です。

お役立ち度 ★★★★☆
受験料 3級:43,200円(税込)   

 

2級:17万2,800円(税込)

(講座1回につき受講料21,600円、3級は2回、2級は4回の通学が必要)

取得までの期間の目安 3か月~半年
取得にかかる金額の目安 受験料と同じ。協会への会員登録には登録料10,000円が別途必要

 

まとめ

資格を選ぶときに何より大事なのは、自分の現在の仕事や将来のキャリアプランに合っているかどうかです。一方で、仕事と勉強を両立できそうか、取得にかかる費用を無理なく出せるかも念頭に入れましょう。

総務・人事分野でのキャリアアップは、資格取得も一つのきっかけになるはずです。

※情報は2016年8月のものです。資格に関する最新の情報はホームページなどでご覧ください。

※情報は2020年7月のものです。資格に関する最新の情報はホームページなどでご覧ください。
リンク一覧:
・働き方マネージャー認定資格:https://www.work.or.jp/wsc/
・マイナンバー実務検定:http://www.my-number.or.jp/
・衛生管理者:http://www.exam.or.jp/index.htm
・ビジネスキャリア検定:http://www.javada.or.jp/jigyou/gino/business/
・中小企業診断士:https://www.j-smeca.jp/index.html
・キャリアコンサルタント:https://www.career-kentei.org/
・メンタルヘルス・マネジメント検定(Ⅱ種):http://www.mental-health.ne.jp/
・社会保険労務士:http://www.sharosi-siken.or.jp/
・人事総務検定:http://jinji-soumu.akibare.ne.jp/

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