取引先の企業との関係を良好に保ち続けるために、贈答品は有効な手段のひとつです。今回は贈答品を送る時期や、送り状の書き方などのビジネスマナーについて解説していきます。
取引先の企業に対する日頃の感謝を目に見える形で伝える方法のひとつに、贈答品の進呈があります。一口に贈答品といっても、お年賀やお中元、お歳暮、結婚祝い、出産祝いなど様々な種類がありますが、この中で特にビジネス上の付き合いにふさわしい贈答品は、お中元とお歳暮です。
取引先への贈答品の品を選ぶ際に最も大事なことは、通常の贈り物の場合と同じく、相手に対する思いやりの気持ちです。どのようなものを贈れば先方に喜んでもらえるかということを軸に品物を選びましょう。そのためにも、相手の好みを常日頃からリサーチしておく必要があります。
担当部署宛に贈る場合は、部署の人数を考慮に入れて贈答品を選ばなくてはなりません。小分けされたお菓子など、そこで働いている人で分けることができるものが無難ですが、受け取った人がすぐに持って帰るとは限らないため、可能な限り日持ちをするものを選ぶとよいでしょう。
取引先の企業宛に贈答品を送る場合、送り主も自身の企業名義となるので、どのような贈答品がふさわしいかは、上司と相談をした上で決定する必要があります。毎年同じものを贈れば、自社と贈答品を結び付けて覚えてもらえるかもしれません。
また、マナーとしてお中元を贈った年にはお歳暮も贈るようにするとよいでしょう。
お中元は、お盆に日頃お世話になっている人への贈り物をする習慣ですが、実はお中元を贈るのに適切とされる時期は、地域ごとに異なります。これは旧暦から新暦へ移行してからお盆の開催時期に地域差が出たことに起因します。大まかにいえば、関東では7月初旬から7月15日までに、関西では7月下旬から8月15日までに、お中元を贈るのが正しいとされています。他にも地域による細かな違いがありますが、旧暦に従ってお盆を行う沖縄は毎年時期が異なるため、特に注意が必要です。あらかじめ宛先の住所をよく確認しておきましょう。
万が一お中元を贈る時期を過ぎてしまった場合には、立秋のころまでであれば「書中御見舞い」または「暑中御伺い」、立秋以降には「残暑御見舞い」または「残暑御伺い」として送りましょう。
お歳暮の贈答品もお中元と同様、日頃の感謝の気持ちを伝えるものですが、年末に贈られることから、「今後も変わらぬお付き合いを」という意味合いが加わります。
お歳暮は、正式にはお正月をお祝いする準備を始める「正月事始め」の日である12月13日から12月20日までに送るものでしたが、現在は関東では12月初旬から12月31日、関西では12月13日から12月31日までに送ればよいとされています。しかし年の暮れが差し迫ると忙しくなるため、20日くらいまでを目安に送るとよいでしょう。特に最近では忙しい時期を避けるために11月下旬から送る人も多くなってきています。なお、12月26日以降に送るのであれば、「お歳暮」を「御年賀」や「寒中御見舞い」または「寒中御伺い」とするのが正式なマナーになります。
もし送る時期を過ぎてしまった場合、関東地方では1月7日(松の内)までに、関西地方では1月15日までに、表書きを「御年賀」として送りましょう。さらに遅れてしまった場合には、1月7日(松の内)が過ぎてから立春の2月4日ごろまでに「寒中御見舞い」または「寒中御伺い」として送りましょう。
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ビジネス上の付き合いがある相手に贈答品を送る場合、あらかじめ送り状を送っておくことがマナーになります。もし送り状を送らず贈答品を送った場合、無理やり送りつけたような印象を与えてしまうかもしれません。そのような印象を与えないためにも、贈答品が送り先に届く3日ほど前に送り状が届くように手配する必要があります。
送り状の記入内容としては、「頭語」「時候の挨拶」「取引への感謝」「贈答品について」「相手の健康や成功を願う言葉」「結語」が一般的な構成です。特に注意したいのは会社の名前、担当者の名前、役職、肩書などすべての情報が正しく記載されているかということです。相手への礼儀を失しないよう、繰り返し確認するようにしましょう。また送り状は手紙で送るのが最も正式なものとされています。そのため、手書きで書いた後、自分でもしっかり確認し、上司に最終的な確認をしてもらうとよいでしょう。
贈答品を送ることは、取引先の企業に日頃の感謝の気持ちを形にして伝えられる方法のひとつです。特にビジネスシーンにおいて用いられるものに、お盆の時期に送るお中元と年の暮れに送るお歳暮があります。贈答品の品物は、送る相手のことを十分に考えて、喜んでいただけるものを選ぶようにしましょう。また贈答品のみ送ると不躾な印象を与えてしまいかねないため、手書きの送り状をあらかじめ送っておくとよいでしょう。
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