「モラールサーベイ(従業員意識調査)」は、社員の満足度などの意識について、科学的に調査分析する手法です。一般に従業員満足度(ES)は会社の生産性に直結すると認識されており、その現状を把握することは、将来的な会社の生産性向上につながります。今回は、モラールサーベイを実施して得られる効果や注意点について、実際の活用事例と共に解説します。
目次
モラールサーベイとは、職場内の社員がどれほど満足しているかなどの意識を、産業心理学や統計学などの科学的手法を用いて、調査、分析する調査手法です。「意識調査」や「従業員意識調査」、「社員満足度調査」とも呼ばれています。
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モラールサーベイにはウェブやインターネットを使う方法やインタビュー、そして紙媒体で行うものなど、いくつかの形式があります。
NRK方式で対象となるのは大企業です。調査の範囲は「労働条件」、「人間関係」、「管理」、「行動」、「自我」と、働く意欲に関わる5つの要因で、また各会社の要望に合わせ、オプションが用意されています。
反対に、中小企業を対象とするものを厚生労働省方式といい、社員意識調査(NRCS)とも呼ばれます。「仕事」「給料」「上司」など会社全般に関わる、社員の潜在的意見を調査するものです。
モラールサーベイによって社員の意識を調査することで、職場としては以下のような効果を得ることができます。
実際にモラールサーベイを活用して、様々な効果を得た以下のような事例があります。
モラールサーベイを実施した企業Aでは、コミュニケーション不足と情報共有の方法に不満が多く集まりました。これを解決するため、情報共有の仕方が見直しされ、連絡事項に関しては上司だけで解決するのではなく、部下も含め議論を進めるようにすることでコミュニケーション不足の解消を図ることとしました。また、紙媒体やメールを使うなど情報共有手段を増やした結果、職場のコミュニケーションが活発になり、情報の共有漏れが減ったといいます。
モラールサーベイを実施した企業Bでは、成果型の賃金体系と残業時間に対して不満が多く集まりました。若年層には年功賃金制が必要であることと、無駄な作業が多いことが指摘されましたが、労務部や経理部の人は現場から離れているため、この問題に気づくことが難しかったといいます。しかし、このような指摘により、若年層への年功賃金制の導入と業務内容の見直しを行うことが可能になり、結果として従業員の会社への満足度が高まり、生産性の向上につながりました。
モラールサーベイを実施する際、社員の潜在的意見や本音を聞き出すためには以下の点に注意するとよいでしょう。
モラールサーベイは、会社の抱える問題点を改善し、従業員満足度を向上させる機会になりえます。社員同士のコミュニケーションが少ない、離職者が増えているなどの問題がある場合は、本記事で解説した注意点を意識してモラールサーベイを実施してみてはいかがでしょうか。
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