もにす認定制度とは?認定企業の基準やメリットを詳しく解説します

もにす認定制度とは、中小企業の障害者雇用に関する取り組み状況に応じて、厚生労働省が認定する制度のことをいいます。障害者雇用に積極的に取り組む企業に対してインセンティブを与えることで、中小企業の障害者雇用を促進することを目的としています。今回はもにす認定制度の内容、認定基準、認定のメリット、認定取得企業の取組事例、について詳しく解説します。

もにす認定制度を活用しよう

もにす認定制度とは

もにす認定制度とは、障害者雇用の促進や雇用の安定に関する取組みの実施状況が優良な中小事業主に対し、厚生労働大臣が認定する制度です。正式名称は「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度」で、令和2年からスタートしました。現在までに認定基準を満たす企業が数多く誕生しています。また、「もにす」という名前は「共に進む(ともにすすむ)」という言葉が由来になっており、企業と障害者が共に明るい未来や社会に進んでいくことに期待して名付けられました。

認定の基準

もにす認定制度で認定されるためには以下の基準を満たす必要があります。それぞれの条件を満たして、もにす認定制度の認定を目指しましょう。

  • 障害者雇用への「取組・取組の成果・情報開示」の3項目について、各項目の合格最低点に達し、合計で50点中20点(特例子会社は35点)以上を獲得すること
  • 雇用率制度の対象障害者を法定雇用障害者数以上雇用していること
  • 指定就労支援A型の利用者を除き、雇用率制度の対象障害者を1名以上雇用していること
  • 過去に認定を取り消された場合、取消しの日から起算して3年以上経過していること
  • 暴力団関係事業主でないこと
  • 風俗営業などの関係事業主でないこと
  • 雇用関係助成金の不支給措置を受けていないこと
  • 重大な労働関係法令違反を行っていないこと

なお、障害者雇用への取り組みに対する点数の考え方については、事業主向け認定申請マニュアルでご確認ください。

申請を行える企業

もにす認定制度に申請できるのは、雇用する労働者の数が常時300人以下である企業に限定されています。なお、令和3年3月から、民間企業の法定雇用率は2.2%から2.3%になりました。そのため、障害者を雇用しなければならない民間企業は43.5人以上の労働者を抱える企業です。ただし、労働者数が43.5人未満(つまり法定雇用障害者数が0人)の企業でも、もにす認定制度への申請は可能です。株式会社以外の社会福祉法人などの法人や個人事業主であっても申請は行えるので、積極的に活用しましょう。

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もにす認定制度のメリット

障害者雇用を推進できる

もにす認定制度の認定基準を満たすためには、障害者雇用の必要性を理解し、積極的に推進する姿勢が大切です。障害者雇用への「取組・取組の成果・情報開示」という3つの視点から一定の評価を得られなければ認定は受けられません。ほかの中小企業のお手本となるような障害者雇用への取り組みは、日本社会を明るく変える力になるでしょう。

認定マークを表示できる

もにす認定制度に認定されれば、専用の認定マーク(愛称:もにす)を表示できます。認定マークがあることで、サービスや商品を通して、自社の障害者雇用への取り組みをアピールすることができます。認定マークには以下の用途が認められているので参考にしてください。

  • 商品や商品パッケージ
  • 商品・役務・事業主の広告
  • 商品や役務の取引に用いる書類
  • 営業所・事務所・そのほかの事業場での掲示
  • インターネットで公衆に提供する情報
  • 労働者を募集するための広告や文書

社会的な認知度が上がる

厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークによる周知広報の対象となることで社会的な認知度もアップします。例えばハローワークでは、もにす認定された企業の求人票に認定マークを表示し、認定事業主に限定した合同面接会も開催されるなど、もにす認定を社外に周知できる機会を積極的に増やしています。障害者雇用を通じて社会貢献に取り組む姿勢をアピールして、お客様や入職希望者からの印象をアップさせましょう。

低利融資対象になる

株式会社日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」における低利融資の対象となります。この制度を活用することで、障害者雇用の取り組みに必要な設備資金や長期運転資金の調達が可能です。「働き方改革推進支援資金(国民生活事業)」では最大7,200万円、「働き方改革推進支援資金(中小企業事業)」では最大7億2,000万円の融資が受けられます。詳しい条件については株式会社日本政策金融公庫にお問い合わせください。

  

もにす認定制度の取組事例に学ぼう

OKBパートナーズ

OKBパートナーズは株式会社大垣共立銀行の特例子会社として設立された会社で、もにす認定制度に日本で初めて認定されました。事業内容は銀行帳票や物品類の発注管理・受発送業務・文書作成・印刷関係業務など、本業である銀行業務をサポートする役割を担っています。
また、OKBパートナーズでは障害を抱える従業員と担当業務のマッチングに力を入れているそうです。例えば、職場実習や支援機関との連携により個々の障害者の能力を正しく把握し、力を発揮できる業務を見極めています。さらに、障害者が活躍できる職務を常に検討・採用し、最近では新たに「スキャン業務」および「名刺印刷業務」を開始しました。成果としては100%を超える実雇用率、90%を超える1年以内定着率を実現しているとのことです。

株式会社スミセイハーモニー

株式会社スミセイハーモニーは、住友生命保険相互会社の特例子会社として2001年に設立されました。事業内容としては、生命保険手続書類の受付・イメージデータ化・契約内容の回答書類作成など、住友生命保険相互会社にとって重要な基幹業務を担っています。ステップアップを支援する教育制度や心のケアを中心とした支援体制の充実、職員自ら会社運営を考える各種委員会など、障害を抱える人の環境整備にも前向きに取り組んでいるそうです。実績としては100%を超える実雇用率、80%を超える1年後定着率を実現していると言います。

丸紅オフィスサポート株式会社

丸紅オフィスサポート株式会社は丸紅株式会社の特例子会社として設立され、丸紅グループ各社の業務を受託しています。オフィスには健康管理と就労定着支援を目的とした健康支援室が設置されており、障害を抱える人が働きやすい環境づくりが進められています。社会福祉士・精神保健福祉士・臨床心理士などが常駐し、勤務時間中はいつでも悩みや不安を相談できる体制を整備しました。さらに、環境サービス課・多摩センター課・ビジネスサービス課などを新設し、障害者それぞれが活躍できる業務を創出しています。成果としては、過去3年間に採用した障害者の就職1年後の定着率は98.2%を達成しました。さらに、勤続5年や10年以上で元気に働く従業員も数多く在籍しているそうです。

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まとめ

障害者雇用率が引き上げられたことにより、障害者雇用が義務付けられる企業数は大幅に増加しました。今後は、中小企業においても障害者雇用に向き合う姿勢が必要になるでしょう。障害を持つ人に生き生きと働いてもらうためには、企業によるサポート体制の構築や一定の費用負担が必要になるため、障害者雇用にポジティブな印象を持てない事業主も少なくありません。しかし、今回ご紹介したもにす認定制度や、障害者雇用調整金、報奨金など、事業運営にプラスとなる要素が多いのも事実です。なによりも、障害のあるなしに関係なく、従業員それぞれの個性や能力を活かした事業運営は、自社だけでなく社会を豊かにするでしょう。さまざまな制度の手を借りながら、障害者雇用を促進させていきましょう。

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