日本の企業の労働生産性は、主要先進国の中で最下位であることが近年指摘されていますが、単に労働時間を削減することが生産性の向上に繋がるわけでは必ずしもありません。とりわけ日本企業が効率化を急ぐべき項目としてしばしば取り上げられるのが、業務の中でも少なからぬ割合を占める会議の時間です。Appleなどのグローバル企業ではすでに先進的な会議の形態が取られています。今回は、労働生産性アップに繋がる会議効率化のテクニックを紹介します。
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会議をするからには、その会議を終えた後には何か成果が生まれていなくてはなりません。そのためには会議の1回1回に目標や意味を設定し、それらを達成することが必要となります。ここでは会議の時間を最大限に活用するための2つの方法を紹介します。
会議の資料や議題をあらかじめ配っておくことは、参加者が目的意識を持って会議に参加するという点で効果的です。会議の目的を共有せずに開始すると話が脱線しがちになり、議論の中身を薄くなることが懸念されます。事前の共有により、参加者全員が目的に向かって議論を進めることが期待できます。
また、資料を配布するタイミングによっては、資料に目を通す時間を確保できない参加者が出ることも考えられます。会議の前に資料に目を通し、議題に関する各自の考えをまとめるのに充分な時間を設ければ、そうした参加者が出ることを防ぐことができます。
会議の中での役割分担は混乱を防ぐことで無駄を省き、内容を濃くします。会議を始める前に決めるべき役割には、1. 司会進行役、2. 意思決定者、3. 各議題に対する責任者の3つが考えられます。それぞれが会議で果たす役割は以下の通りです。
会議を行うことに対して払われる代償は、参加者の時間です。複数の人が集まって行う会議だからこそ、無駄を省くことで参加者が他の仕事に充てられる時間を確保することができます。ここでは、参加者の時間を大切にする会議を作るための方策を3つ紹介します。
会議に大勢の人が参加したとしても、1度に話すことができるのは1人であるため、多くの人が聞き手に回ることに終始します。ただ話を聞くだけであれば、会議が終わってから出席者に概要を聞くだけで充分です。会議の人数を必要最低限に減らすことで、参加しない人の時間を浮かせると同時に、参加者も会議により集中する環境を作ることができます。
会議の時間をコンパクトにするには、制限時間を設けることが有効です。ただし、参加者全員が限られた時間の中で会議の目的を達成するという心構えを持っている必要があります。会議中は常に残り時間を意識できるよう、タイマーを大きなディスプレイに映し出すなどすれば効果的でしょう。会議に複数の議題がある場合は、議題ごとに時間制限を設けることで議論にメリハリをつけることができます。
そもそも会議が必要であるかどうかを吟味してみましょう。慣習化し、会議を開くことが目的になっているという例は少なくありません。会議自体はもちろん、その準備にも多くの時間が割かれることを考えると、むやみに会議を開くことは決して賢明とは言えません。情報やアイディアを交換する方法の例として、会議以外にも以下の2つを挙げることができます。
会議を開けば、その前後の準備やフォローアップにも時間を割かなければなりませんが、ここにも余計な手間を省く余地は存在します。具体例として、以下の2つの大胆なアプローチを紹介しましょう。
会議の内容を充実させるためには入念な準備が不可欠ですが、充分な準備をすることと良いスライドを作ってくることは異なります。身内だけの会議にもかかわらずパワーポイントなどのプレゼンテーションツールの出来を気にするあまり、肝心の問題を熟考できなかったなどということがあっては合理的とは言えません。会議の資料を必要最小限に抑えることは準備の負担を軽くするだけでなく、会議中に参加者が手元の資料に気を取られるのを防ぎ、有意義な議論が可能となるというメリットもあります。
会議の後に議事録を作成しないというのも、無駄を減らす1つの方法です。議事録を作成する代わりに会議で使ったホワイトボードなどを写真に撮って残しておき、その画像を必要に応じてメモなどとともに社内で共有すれば、詳細な議事録を作成する手間を省くことができます。
会議には、参加者全員の時間が割かれています。効率良く、短くて有意義な会議のあり方を構築し実践することは、参加者の時間を守ることやプロジェクトの成功につながります。是非、実践してみてはいかがでしょうか。
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