【2024年10月更新】すべての人が働きやすい職場づくりに向けた、LGBTQ対応ガイドライン

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公開日:2019.4.15

誰もが働きやすい職場づくりの一環として、企業のLGBTQ対応が重要視されています。LGBTQとは性的マイノリティを示す言葉で、人口のおよそ9.7%を占めるとも言われています。企業がLGBTQ施策を進めるに当たって、社内規程にLGBTQ対応を明文化したり、社員研修を行ったりする必要があります。今回は、企業が取るべきLGBTQ施策や、その評価指標であるPRIDE指標について解説していきます。

LGBTQについて

LGBTQとは、女性の同性愛者を指す「Lesbian」、男性の同性愛者を指す「Gay」、両性愛者を指す「Bisexual」、出生時に診断された性と自認する性が一致しない人を指す「Transgender」、恋愛・性愛感情を抱く相手の性が分からない人を指す「Questioning」の頭文字を取った、性的マイノリティ一般を総称する言葉です。広告会社大手の電通の一組織である電通ダイバーシティ・ラボが2023年に行なった調査によると、日本の20~59歳でLGBTQに該当する人は約9.7%であるという結果も出ており、LGBTQの方々の権利を守ることは無視できない社会的な課題となっています。

最近ではLGBTQに対応する取り組みを進めている自治体が増えています。例えば、東京都渋谷区などでは、同性のカップルに対して結婚に相当する関係を認める同性パートナーシップ制度が導入されています。また、東京都国立市では、個人の性的指向などに関して本人の同意を得ずに第三者が勝手に公表するアウティングの行為を禁じる条例が施行されています。

今後はさらに、LGBTQの権利を守るためにも、行政だけでなく企業におけるLGBTQへの対応も求められるようになっていくでしょう。

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企業が取ることができるLGBTQ施策

社内でLGBTQの正しい理解を深める

まずは、LGBTQに関して正しい知識を社員がつける必要があります。悪意や偏見がなくてもLGBTQの方に対して過度に意識して接してしまうなど、適切な関わり方について誤解が生じやすいです。このようなすれ違いを減らすためにも、研修会を行なうなどして、社員のLGBTへの正しい理解を深めるようにしましょう。積水ハウスグループでは、全従業員対象の「ヒューマンリレーション研修」において、2014年よりLGBTQに関する啓発活動を継続的に行っています。

社内にアライを増やす

アライとは、LGBTQの理解者・支援者のことを言います。研修会などでLGBTQに関する理解を深め、社内にアライを増やすとLGBTQの方も働きやすくなります。社員がアライバッジを身につけることで、自身がアライであることを表明できるようにするなどの環境を整えると、企業の内部からLGBTQに関する意識変革を行なうことができるでしょう。

社内規程にLGBTQへの対応を明文化 する

企業としてLGBTQへの姿勢を社員や外部の方に示すためにも、LGBTQへの対応を社内規程に明文化すると良いでしょう。例えば、「性的指向や性同一性を理由とした差別やハラスメントを行なわない」といった内容を社内規程に追加するといったことが考えられます。

福利厚生の対象者に同性パートナーを含める

結婚祝い金や結婚休暇、育児休暇など、従来は異性間の結婚を前提に適用されてきた福利厚生の制度を、同性のパートナーでも適用できるようにするということを行なっている企業もあります。この施策によってLGBTQ当事者の不公平感が解消され、さらに企業への定着率が高まるといったメリットが望めます。

トランスジェンダーに配慮した施策を行う

職場には、トランスジェンダーの方が働きにくいと感じるような障壁がたくさんあります。例えば、男女別のトイレでどちらを使うべきか分からないといったことや、性別記入欄に男女の項目しかないといったことなどがあります。これらの障壁を取り除くだけでもトランスジェンダーの方は働きやすくなります。具体的には、だれでもトイレを設置する、性別記入欄を取り除くか「その他」の項目を追加する、性別適合手術のサポートを福利厚生に導入するといった施策が考えられます。

LGBTQ相談窓口の設置する

LGBTQに関する社員の悩みを聞いてあげるような相談窓口を用意すると良いです。相談する相手がいなくて困っているLGBTQの方もいます。相談窓口があれば、個人で抱え込んで孤立を深めることを予防できるでしょう。

相談窓口について、以下の記事にまとめています。より詳しく知りたい方は、参考にしてみてください。
社内相談窓口とは?設置が必要な理由や設置時のポイント

   

LGBTQ施策の評価指標であるPRIDE指標について

LGBTQ施策が適切なものであるかを評価する、PRIDE指標というものがあります。日本の企業におけるダイバーシティ・マネジメントを促進するwork with Pride という団体が作った指標で、PRIDE指標という名称は以下の5つの評価指標の頭文字から取られています。

PRIDE指標 P:Policy(行動宣言) 企業として、LGBTQへの方針を明文化して、社内及び社外に広く公開しているか。 R:Representation(当事者コミュニティ) LGBTQなど性的マイノリティに関して、社員が自分の意見を言う環境があるか。 アライを増やす取り組みをしているか。 I:Inspiration(啓蒙活動) 社員に対して性的マイノリティへの理解を深める取り組みを行っているか。 D:Development(人事制度、プログラム) 同性パートナーがいる社員に対しても福利厚生等の人事制度を適用しているか。 トランスジェンダーに配慮した施策を打っているか。 E:Engagement/Empowerment(社会貢献、渉外活動) LGBTQへの社会の理解を深めるための活動を行っているか。

以上がPRIDE指標となっています。ひとつの目安として、自身の企業の施策を評価することができます。足りない部分は先ほど紹介したLGBTQ施策などで補填するなどして、活用してみてください。

   

まとめ

今回は、企業がLGBTQに対応する施策をまとめてきました。以上で示してきたような施策を行なうことで、すべての人が働きやすい環境に近づくことになりますので、ぜひ検討してみてください。また、注意点として、LGBTQ対応は施策のバランス感覚が大事です。過度な施策とならないよう、正しい知識を身につけることが最重要です。

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