エフィカシーとは?高め方の秘訣や自己肯定感との違いを解説

エフィカシーとは、現代学習理論の根幹をつくったアルバート・バンデューラが提唱した言葉で、自己効力感や自尊心を意味します。自己効力感とは、自分なら目標を達成できるという自信であり、物事を成功に導く重要な要因です。変化が激しい現代社会においてエフィカシーは注目を集めており、ビジネスシーンにおいても重要視されるようになりました。今回は、エフィカシーの概要やエフィカシーと自己肯定感の違い、エフィカシーの高め方について詳しく解説します。

エフィカシーを高めて仕事を成功させよう

エフィカシーとは

バンデューラは著書の中でエフィカシーを「非常に困難な問題を解決しなければならないという状況下にあっても積極的に取り組もうという意欲」と説明しています。例えば「自分の能力では目標を達成できない」「自分がこの課題を解決するのは難しい」と考える人はエフィカシーが高くありません。「自分には目標を達成できるだけの能力がある」「自分なら困難な課題も解決できる」など、エフィカシーとは「ある状況において必要な行動を遂行する能力を自分は有しているのか」という認知を指します。

自己肯定感との違い

エフィカシーは自己肯定感と混同されることが多い言葉ですが、両者の意味は異なります。自己肯定感とは自身の在り方を評価するもので、過去から現在の自分が対象です。対してエフィカシーは、行動の結果を予測するにあたり、自らの能力を評価するもので、未来の自分が対象になります。つまり、自己肯定感とは違い、エフィカシーは未来の自分を肯定する感情です。

エフィカシーが注目される背景

VUCA(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)の時代と呼ばれる程に、私たちの周囲は歴史的な変化を遂げつつあります。そんな未来を見通すことが難しい時代には、変化へ上手く対応できることが必須です。また、高度経済成長期のように拡大再生産を繰り返すだけでは企業は生き残ることが難しい時代でもあります。それぞれの企業は今までにない挑戦に組織として取り組むことが必要になってきており、社員にもそういった挑戦の機会が多く訪れることでしょう。その中で、高いエフィカシーを持ち、自身の能力を信じて未来を切り拓くことのできる人材が求められています。

    

エフィカシーの3つのタイプ

社会的自己効力感

社会的自己効力感は対人関係におけるエフィカシーの形です。これは乳児期から児童期にかけて最も発達するとされています。社会的自己効力感が強い人物は、コミュニケーション能力等の人間関係を構築する力に対する自信を強く持っており、他者に共感して寄り添うことができます。

自己統制的自己効力感

自己統制的自己効力感は最もスタンダードなエフィカシーの形であり、自分の能力に対する自己評価の表れです。このエフィカシーが高いと、前例のない出来事にも自信をもって立ち向かうことができます。エフィカシーという言葉を目にした際には、概ね自己統制的自己効力感を指していると考えていいでしょう。

学業的自己効力感

学業的自己効力感は学習に対するエフィカシーの形になります。高い学力を持つ人物ほど学業的自己効力感が高い傾向にあり、両者には相関関係があるとされています。このエフィカシーが高い人物は学習することに対してモチベーションを保つことが可能で、新しいスキルやノウハウの習得において力を発揮します。

    

エフィカシーを高める方法

コーチングを実施する

新人や部下に対しては1on1等の定期面談を通してコーチングを行うことが効果的です。面談で彼らの悩みや不安、問題点を共有してもらい、それらをともに解決することでエフィカシーの高まりを後押ししましょう。この時に上司が一から十まで解決してしまっては部下の成功体験にはなりません。できる限り手助けに留めることがポイントです。

成功体験を重ねる

エフィカシーを向上させるには、成功体験の積み重ねが重要な要素です。自分の能力に対する自信が深まり、エフィカシーの強化に繋がります。苦手な事柄を乗り越えた体験や、努力が報われた結果は印象深い成功体験となってエフィカシーが一層高まりますが、小さな成功体験を積むことでもエフィカシーを高めることができます。新人など大きな成功を経験させることが難しい場合は、小さな目標を継続的に達成させることが効果的です。また、仕事の内容が難解で成功体験を積むことが難しい場合は、複数のタスクにブレイクダウンすると良いでしょう。エフィカシーを高める為には小さなことでも成功体験を積み重ねることが重要です。

ポジティブなアクションを行う

声掛けや評価などでポジティブな働きかけを行うことで、ポジティブになっても良いという安心感が生まれます。それによって、成功体験に向けてがんばるためのモチベーションを保つことができるでしょう。また、部下が目標を達成できなかった際に「目標は達成できなかったけど、スキルは高めることができた」などとポジティブな評価をすることで、目標を達成できなかった失敗も小さな成功体験に変換することが可能です。ただし、こういった声掛けや評価は互いの信頼関係が良くなければ、あまり効果がありません。日頃からチーム内での信頼感を育むことを心がけてください。

エフィカシーが高い人材と関わる

エフィカシーが低い人は、エフィカシーが高い人の考え方などをイメージすることができず、それによってエフィカシーを高められずにいることがあります。そうした際にはエフィカシーの高い人物と関わるのが良いでしょう。そうすることでエフィカシーの高い状態を知ることができるだけではなく、自分の状況と照らし合わせることで具体的な目標としてエフィカシーを高めていくことができます。具体的な目標とするためには身近な存在であればあるほど良いので、可能であれば同僚や先輩などから見繕うとより効果的です。

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まとめ

エフィカシーは自分を信じて突き進む原動力になり得ます。変化の激しい現代にエフィカシーの高い人材は必須だと言えるでしょう。しかし、エフィカシーを高めるためには地道に成功体験を積むことが必要です。日頃から社員のエフィカシーを高めるための努力を行い、彼らとともに積極的に新たな事柄に挑戦をすることで未来を切り拓きましょう。

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