ナレッジシェアとは、組織内の知識やノウハウを共有することで業務効率や生産性の向上を図る取り組みです。中小企業においては、限られた人員で業務を行っているため、ナレッジシェアが重要になります。ナレッジシェアによって、従業員の培ってきた経験や技術が企業全体で共有され、業務品質の向上につながります。また、新規事業に取り組む場合や業務改善のためのアイデアを出す際にも、ナレッジシェアが役立ちます。今回は、ナレッジシェアの意義や導入方法、ツールの活用方法、ナレッジシェアの成功事例について解説します。
目次
ナレッジシェアとは、知識の共有という意味の言葉です。ビジネスにおいては企業が保持している情報や従業員が持っている知識を集約して、広い範囲で共有することを指します。例えば、業務を遂行する手順・従業員の経験・独自のノウハウなどがナレッジに含まれます。そうしたナレッジを共有することで、組織全体の生産性の向上や業務効率化につながり、企業の競争力を高めるために有効な方法といえるでしょう。
現代社会は急速な情報化と技術革新が進んでいます。企業や組織においても常に新しい知識や技術の習得が求められています。従業員を育成して組織としての成長を促進させるためにも、ナレッジシェアは欠かせません。組織内でのナレッジシェアは、生産性向上や競争力の強化に直結する重要な要素となっているのです。
また、組織内では従業員の離職や人事異動によっても知識が引き継がれず、知識の喪失となるケースが多くあります。業務上の大きな損失となるため、ナレッジシェアを導入する企業が増えています。
ナレッジシェアの導入における、代表的なメリットは以下のとおりです。
ナレッジシェアを導入すれば、組織内での情報やアイデアの共有がスムーズに行われるようになります。業務の効率化や生産性の向上だけでなく、新しいイノベーションの促進も期待できるでしょう。また、コミュニケーション強化によるチームワークの向上、スキルアップ・キャリアアップにもつながり、企業にとっては多数のメリットがうまれます。
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WordやExcel、Googleドキュメントなどを活用することで手軽にナレッジシェアを開始できます。利用方法もシンプルで簡単なため、多くの企業で実践が可能です。
例えば、WordやExcelを例に、流れを見ていきましょう。まず、ナレッジシェアに必要な情報を収集します。次に、WordやExcelを活用してマニュアルやドキュメントなどを作成します。そして、作成したマニュアルやドキュメントを、社内ネットワークやクラウドストレージなどに保存して共有すれば、ナレッジシェアの完了です。
インターネット環境があり、Word・Excel・Googleドキュメントなどを利用できるのであれば、誰でもナレッジシェアを始められます。
専門性に優れているナレッジシェアツールを導入するケースも目立ちます。ナレッジシェアツールとは企業が業務を通じて蓄積した知識や経験を、社内外に効率的に共有するためのツールです。ナレッジシェアツールに備わっている代表的な機能は、以下のとおりです。
ナレッジシェアツールは、ナレッジの共有をスムーズに行えるのはもちろん、ナレッジの検索機能など、必要な情報を探しやすい機能が豊富です。収集したナレッジにカテゴリーやタグなどの情報を付与できるため、分かりやすく情報整理できます。また、ナレッジを閲覧したら評価やコメントを残せる機能もあります。コミュニケーション機能ではログを残せるので、後から確認することも可能です。
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社では、国内において早期からナレッジシェアに取り組んできました。ナレッジシェアは「何でも相談センター」とよばれる、営業からの問い合わせに返答するためのヘルプデスクに活かされています。社内からよせられる質問と回答はカテゴリーごとに共有のデータベースに蓄積され、すべての従業員がいつでも閲覧可能です。日々蓄積されるナレッジにより、情報共有がスムーズに進み業務効率化が推進されています。
株式会社再春館製薬所では、コールセンターの業務にナレッジシェアを導入し、業務改善を実現しています。以前は膨大な資料から商品情報などを探し出すことに時間を要し、業務における大きな課題となっていました。解決策として企業内の情報を検索できるナレッジシェアツールを導入した結果、必要な情報を素早く引き出せるようになり業務改善につながりました。また、在宅勤務との相性も良く、現在ではナレッジシェアツールは従業員必須のツールとなっています。
東日本電信電話株式会社法人営業本部では、ナレッジシェアを推進するためにオフラインとオンラインの両方で環境が整備されました。
オフラインでは、フリーアドレスの導入やドリンクコーナーを常備したリフレッシュゾーンの設置など、コミュニケーションを活発にし、ナレッジシェアに取り組みやすい環境を実現しました。オンラインでは、営業本部に所属する全員が個人のホームページを持つことで、他の従業員へのナレッジシェアするシステムを実現しました。こうした取り組みの成果もあり、従業員同士のインタラクティブな関係構築が可能となり、社内にナレッジシェアの文化が醸成されています。
情報化が進んだ現代に企業において、ナレッジシェアの重要性が増しています。特に昨今ではテレワークに代表される多様な働き方が一般的になったこともあり、ナレッジシェアをスムーズに行える環境が必要とされています。
企業でナレッジシェアが行われていないと、業務効率化や生産性向上の妨げになりかねません。少しの工夫や労力でナレッジシェアはスタートできるので、企業にとって最適なナレッジシェアの方法を検討してみてはいかがでしょうか。
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