「いよいよ花粉症の季節か……」3月上旬から下旬にかけて、日本各地でスギ花粉飛散量はピークを迎えます。毎年多くの人が花粉症対策に悩んでいるのではないでしょうか。
今回は、花粉症が日本の労働力にどれくらい影響を及ぼしているのかを考え、オフィスでの効果的な予防・緩和策を紹介していきます。
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日本の花粉症罹患(りかん)者について正確な数字はないのが現状ですが、厚生労働省「花粉症Q&A集」で紹介されている2008年(1~4月)の鼻アレルギー全国疫学調査によると、花粉症を有する人の割合が29・8%と報告されています。
推定3000万人以上、国民の4人に1人が、日本でポピュラーなスギ花粉症にかかっているようです。目のかゆみ、鼻水、くしゃみ、予防薬の副作用として襲ってくる睡魔……。こうした諸症状のせいで仕事に集中できず、生産性は下がるばかり。
コンタック総研『花粉症から取り戻したいものに関する意識調査』によると、花粉症による損失のダントツ一位は、「仕事の効率が落ちることによる生産性の低下」(72・5%)です。
また、雑誌『アレルギーの臨床』によると、2001年当時で、生産性低下による労働損失は275億円、医療費・薬代などの費用と合計するとその損失額は2860億円を突破しました。花粉症患者が増える現在では、合計額は3000億円を超えていると推定されます。もはや、日本の国民病とも呼べる花粉症対策、待ったなしという状況です。
花粉症の具体的な予防・緩和策を紹介しましょう。室内でも室外でも花粉が飛散する中、個人としてだけでなく会社全体で取り組むことで、高い予防・緩和効果を得られるはずです。
花粉がオフィスに入りこむのを防ぐことが第一。「上着や帽子は玄関で必ず脱ぐ」「洋服ブラシや粘着カーペットクリーナー(通称コロコロ)を使って服についた花粉をできるだけ払い落とす」といったルールをつくり、社内に呼びかけましょう。
さらにちょっとしたポスターを手作りし、エントランス付近に貼っておくと、来客者にも協力してもらえる可能性が高まります。
エアコンのスイッチを入れると、床に落ちている花粉がまき散らされるだけでなく、エアコン内部に入り込んだ花粉が送風ファンから吹き出してしまいます。
エアコンのフィルターが花粉やホコリを吸着してくれますが、こまめに掃除をしないと目詰まりして吸着力が弱くなり、暖房効率も下がってしまいます。月に1回はフィルターの掃除をするとよいでしょう。
空気中に飛散した花粉を、加湿器や空気清浄器で湿らせて床に落とすと、それだけで花粉が飛ぶのを減らす効果が見込めます。
また、花粉を室内に入れないようにできるだけ窓を閉めておくことが必要ですが、それでは空気がよどんでしまいます。
そこで、数時間に一度は窓を開けて空気の入れ替えを行い、加湿器や空気清浄器で室内の空気をきれいにするのがおすすめです。
花粉症罹患(りかん)者は、ティッシュやマスクなどの消耗品費、花粉対策メガネ購入費、通院費、薬代など、少しでも症状を緩和するために大きな経済的負担を強いられます。
その費用を一部負担あるいは対策グッズを現物支給する「花粉症手当」を思い切って導入してみてはいかがでしょう?
例えば、アプリ開発を主軸にする株式会社バンク・オブ・イノベーションでは、上質ティッシュ、マスク、目薬などを随時支給し、通院費用も年1回分は会社が負担しているそうです。
最近ではファッショナブルな花粉症対策メガネが登場していますが、花粉症にかかっている社員全員が購入するには、少し敷居が高いですよね。
そこで、会社の福利厚生として購入費を負担するという解決策があります。例えば、株式会社アイルでは、社員の目の疲れを軽減するために「PCメガネ支給制度」を福利厚生として導入しています。
これは目の疲れの軽減をめざすものですが、同様に花粉症対策のメガネを支給することで、生産性も社員の働く意欲も高まっていくのではないでしょうか。
「花粉症のピークの時期だけ、沖縄などに住んで花粉症の諸症状から解放されたい!」そのような切なる願いに応える秘策が、テレワークです。
在宅ワークを導入する企業は増加傾向にあります。カスタマイズECの『tmix(ティーミックス)』などを運営するspice lifeは、その好例です。
同社のリモートライフ制度を使えば、好きな時期に好きな場所を勤務地に選ぶことができ、制度を活用中の社員からは「パフォーマンスが上がった」と好評のようです。なかなか敷居が高いですが、職種によっては思い切って導入を検討してもよいのではないでしょうか。
花粉症の症状が和らぐことで精神的なゆとりが生まれ、オフィス全体の雰囲気も良くなれば、働く人のモチベーションも向上し生産性アップが見込めます。
対策を自己管理に委ねるのではなく、総務など会社が率先して、福利厚生などの面から花粉症対策の支援をするメリットは大きいのではないでしょうか。
会社が福利厚生の一環として、花粉症対策に注力する動きは今後増えていくはずです。あなたのオフィスでも、今すぐにでもできることから始めてみませんか。
参照:
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