多様性を活かす、インクルージョンとは?

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公開日:2018.12.25

ビジネスにおけるインクルージョンとは、人材や考え方の多様性を尊重し、それぞれの能力や知識を活かす機会を創出できる社内環境のことです。インクルージョンは社員の定着度を上げる企業風土作りに繋がる重要な概念であるため、ダイバーシティに続く考え方として取り入れると良いでしょう。今回は、インクルージョンとダイバーシティの違いや実現のために必要な事項について紹介していきます。

インクルージョンとは?

インクルージョン(inclusion)とは、直訳すると「包括、包含、包摂」といった意味の英単語であり、近年ビジネス用語としても注目を浴びてきている言葉です。元々、身体に障がいをもつ子供たちが健常な子供たちと身体的な理由で区別されることなく、一人ひとりにあった教育を平等に受けるという考え方を指す言葉として、社会福祉の分野でよく用いられていました。

インクルージョンがもつ根本的な概念には社会的な一体性という考えがあり、それが近年では、どのような性質をもった人でもそれぞれにあったやり方で参加していける企業を作るために、ビジネス用語としても使われています。

 

インクルージョンとダイバーシティの違い

「多様性」を意味するダイバーシティという言葉が人口に膾炙して久しいですが、インクルージョンの「一体性」は、ダイバーシティの考え方からさらに一歩踏み込んだものと捉えることができます。

もう少しそれぞれの言葉の中身を詳しく見てみると、ダイバーシティでは、性別・年齢・国籍などにとらわれずに多種多様な文化的背景や個人的性質をもった人材を広く登用して、多様性のある社会づくりを目指そうという考え方がなされています。しかしダイバーシティの考え方では、多様な人材が文化的背景や個人的属性に関係なく社会に参加できた時点で目標が達成されてしまっていて、その後個々人が自身の能力を活かして活躍できるかどうかは、たいてい別問題となってしまっています。

他方のインクルージョンでは、多様な人材を広く登用するだけでなく、個々人が適したかたちで活躍できるような社会づくりを目指そうという考え方がなされています。インクルージョンを掲げた企業では、一人ひとりの考え方や価値観を認めて活用していく風潮が見られます。

インクルージョンとダイバーシティの違いが表れる具体例

例えば、ある企業がダイバーシティを掲げて新しく外国人労働者を雇用した場合に、その外国人労働者が不慣れな環境の中で次第に労働意欲を失い、最終的に辞めてしまうということがあるかもしれません。しかし、インクルージョンを掲げる企業であれば、社内でその外国人労働者へのサポート体制を整えたり、外国語を話せる能力を活かした仕事を割り振ったりすることで、外国人労働者は自身の能力を活かした活躍がしやすくなるでしょう。

 

インクルージョンの実現のために必要な要素

お互いに尊重し合う関係性

ダイバーシティだけでなくインクルージョンの状態を目指すためには、労働者一人ひとりが活躍できなくてはなりません。しかし多様な人々がそれぞれに見合ったやり方で活躍できる状態を実現することは、なかなか難しいでしょう。職場において、互いの働き方や価値観を尊重し合う関係性が構築されていなければ、その職場で働くすべての人が活躍したいと思える雰囲気を作り出せないからです。

例えば、女性の労働者が産休をとることや、育児と並行して働きたいという要望から在宅勤務をすることに対して、ほかの労働者からの理解がなければ、その女性の働き方に合わせた新たな労働環境の整備はなされません。結果として、その女性労働者は職場に居づらくなってしまうでしょう。こういった状況を生じさせないためにも、お互いの価値観や働き方、また、その人自身を尊重し合うことが必要となります。

労働者が満足できる環境づくり

インクルージョンでは、すべての労働者が活躍できる企業を目指しているため、各労働者が活躍できる環境を整備するためには、企業は労働者の適正をきちんと見極めなければなりません。さらに、企業としての一体性を目指すためには、企業側が各労働者の適正を見極めたうえで、個々人が活躍できそうな仕事を平等に与えることも重要なことです。能力に見合った労働機会を各労働者に対して平等に与えていけば、各労働者の労働意欲の向上につながり、企業そしてひいては社会の一体性の創出につながります。

労働者間や企業と労働者間の対話

お互いの価値観を認め、尊重し合うこと、労働者が満足できる環境をきちんと整備し、平等に与えていくことの重要性はすでに述べました。これらの実現には、労働者間や企業と労働者間で十分に対話を重ねることが肝心です。あまり対話のない企業では、個人間で相互理解ができないために、意見を主張してもなかなか実現されにくいといった事態を招きかねません。労働者が自由に意見を主張でき、それが理解され、労働環境に反映されることにより、企業としての一体性が形成されます。

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まとめ

これまで注目を浴びてきたダイバーシティと近年注目を浴びてきているインクルージョンの違いから、インクルージョンを実現するために必要な事項を説明してきました。インクルージョンではみなが一体化し活躍できる社会を作ることを目標にした考え方がなされているので、その意識を強くもって行動することが重要です。

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