ご存知の通り、2019年4月より、働き方改革関連法が順次施行されていきます。しかし、肝心の実務面での取り組みには未だ不明点も多く、企業側は何をするべきか判然としないことも多いかと思われます。そこで今回は、早期から労働生産性やコスト効率、風土などに課題を感じていた日本マイクロソフト株式会社が、Office 365を用いて働き方改革を行なった事例を交えながら、働き方改革関連法実施に向けて企業が行うべき取り組みについてまとめていきます。
目次
働き方改革関連法とは、労働基準法をはじめとする一連の労働法の法改正の総称です。厚生労働省は、働く人が個々の事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会を実現するため、総合的に長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を進めるとしています。
法改正の中心軸は以下の2つとされています。
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法改正に伴い新たに見直された内容のなかでも重要なポイントは、下記の9項目に分けられます。本記事では詳述しませんが、この他にも、非正規雇用労働者に待遇理由などを求められた場合の説明義務化、行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備などがあります。
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今でこそ働き方改革の先駆者と目される日本マイクロソフト株式会社は、過去数年、地道な試行錯誤を重ねていました。2007年には在宅勤務制度を導入しましたが、当時の在宅勤務制度は主に育児や介護といった事由がある社員のみが活用するという限定的な傾向になっていました。働き方改革において大きなターニングポイントとなったのは、2011年2月の東京都内のオフィス統合・本社移転でした。これを機に、経営方針の一つとして、全社規模で働き方改革を推進する取り組みを開始しました。その結果、5 年間で事業生産性が26%向上しました。働き方改革関連法の改正された今、こうした日本マイクロソフト株式会社の成功から学べることがあります。
ひとつの場に従業員が集まって仕事を行うことは非効率的ですが、オフィスにとらわれない働き方の導入は、管理職などにとって心理的な抵抗がありました。しかし、経営幹部からの号令や、実際にオンライン会議を活用してテレワークでも成果を出せることを経験するなどして、徐々に浸透していきました。現在は、Office 365も活用し、社外のどこでもクラウド上でつながり、PCがなくてもモバイル端末などから仕事ができる他、会議は会議室からでもオンラインからでも参加できるようになっています。副次的に旅費や離職率も低減できたと言います。
働き方改革以前は、会議のたびに大量の資料を集め、データを整理して形にするために、多くの時間を割く必要がありました。それにもかかわらず、実際の会議ではその大部分がほぼ使用されないことが珍しくなく、更にその場で意志決定できないといった問題も生じていました。そこで、対話型データ視覚化ツールPower BI Proを活用し、会議中にその場で最新データのみを参照、分析できるようにし、Microsoft Teamsを通じて現場に聞くことで、迅速かつ無駄のない会議運営、そしてペーパーレス化を実現できるようになりました。
業務やシステムの改善もさることながら、日々大量のメールをやり取りすることに時間をとられ、生産性が低下しているということも問題になっていました。この状況を是正すべく、MyAnalyticsを活用して実際にメールがどの程度読まれているのを視覚化したところ、いかにメールが読まれていないかが周知され、コミュニケーションの在り方を見直す機会になりました。Office 365や
Microsoft Teams を活用してオンラインと対面を組み合わせることでコミュニケーションが円滑になり、生産性向上につながったと言います。
まずは、何を変えず何を変えなければいけないのかを把握することが重要です。特に、自社に関係あることについては熟知しておくべきです。上で述べた9項目のうち特に注意が必要なのは、罰則などもある、残業の上限、同一労働同一賃金、割増賃金率の固定、労働時間の把握などです。加えて、フレックスタイム制や高度プロフェッショナル制度も、ワークライフバランスが注目を浴びる現在、対応が必要になる可能性が高いので、できる限り対処しておきましょう。
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働き方改革関連法の改正に伴い、企業は大幅な変更と対応を迫られることになります。罰則を科される可能性もあるため、施行されてから対応を始めるのでは手遅れです。早いうちから新体制を整えておくことが重要と言えます。
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