女性の活躍を応援!両立支援等助成金の「女性活躍加速化コース」とは

女性が職業生活において自らの希望に応じて充分に力を発揮し活躍して行けるような社会を目指し、2015年に女性活躍推進法が国会で制定されました。世界的にも女性の活躍が重要視されている中、この新しい法律に基づいて「女性活躍加速化助成金」が設置されました。。2020年現在では、両立支援等助成金の「女性活躍加速化コース」として同様の役割を担っています。意外と知られていないこの助成金について、支給要件を解説します。

女性活躍推進法について

女性活躍推進法とは

女性活躍推進法は、女性が社会で活躍して行くにあたって必要な環境を整理するために制定され、平成28年4月より施行されました。この法律により、従業員301人以上の企業は

  • 自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
  • その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表
  • 自社の女性の活躍に関する情報の公表

を行うことが義務付けられました。ただし、従業員が300人以下の中小企業に関しては努力義務となっております。

制定の背景

リーマンショック以降、日本の完全失業率は低い水準で推移していますが、実際の雇用形態を見てみると、不安定な雇用である非正規雇用が全体の4割を占め、女性のみに限ると半数を超えます。さらに団塊世代の退職や少子高齢化の進行により、日本の労働力不足は大きな課題となっております。そこで、労働力不足を補い「女性が活躍出来る社会」を作っていくために、この法律が制定されました。ただ女性の出世を一様に促すのではなく、あくまで個々の女性の意思に基づいた幅広い働き方やワークライフバランスの達成を推進するのが、この法律の目的です。

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両立支援等助成金の「女性活躍加速化コース」について

女性活躍加速化コースとは

両立支援等助成金の「女性活躍加速化コース」とは、女性活躍推進法に基づいて、女性活躍を推進する中小事業主に助成金を給付し、支援するコースになります。自社の女性活躍に関わる行動計画の策定において「数値目標」とその達成に向けた「取組目標」を明記し、計画に沿って取り組みを実施して取組目標を達成した事業主及び数値目標を達成した事業主が支給対象となります。なお行動計画の中には、数値目標の達成に向けた取組とは別に、長時間労働の解消に向けた取組も盛り込まなくてはなりません。

この助成金のポイント

女性活躍加速化コースの助成金は書類の提出と審査、制度の導入があるため、誰でも助成金を受け取れるわけではありませんが、助成金は借入金と違って一度支給されれば返済の義務がないというのが一番のポイントです。助成金を得るのに必要な取り組みは労働者や事業主自身のためにもなります。また、行動計画や目標の達成状況が「女性の活躍推進企業データベース」で公表され、自社の魅力を外部へアピールできることもこの助成金のポイントです。

助成金の支給要件と支給額

「女性活躍加速化コース」は目標達成の段階に応じて支給額が決定し、加速化Aコースと加速化Nコースという2つのコースがあります。

加速化Aコースは、数値目標の達成に向けた2つ以上の取組目標を計画期間内に達成した場合に、雇用する労働者が300人以下の中小事業主を対象に38万円が支給されます(1企業につき1回限り)。目標を達成したばかりでなく、以下の要件を満たした企業には割増され、48万円が支給されます。

  • 直近の会計年度における生産性が6%以上伸びていること
  • 直近の会計年度における生産性が1%以上伸びており、金融機関から一定の事業性評価を得ていること

他方の加速化Nコースは、数値目標の達成に向けた取組目標を達成した上で、それから3年以内に数値目標を達成した場合に、雇用する労働者が300人以下の中小事業主を対象に28万5千円が支給されます(1企業につき1回限り)。こちらのコースは、生産性要件を満たした企業には36万円が支給されます。また、数値目標の達成に加えて、取組の結果として女性管理職比率が15%以上に上昇した企業に対しては、従業員数が300人以下であれば支給額が47万5千円となっています。さらに生産性要件をクリアしている場合、支給額は60万円になります。
事業主は行動計画を労働局へ届け出た後、取組目標ないし数値目標を達成した時点で支給を申請することができ、助成金が得られます。また、雇用する労働者が300人以下の事業主については両方のコースに申請することができ、2回で最大108万円の助成金が得られます。

支給申請の期限

加速化Aコースまたは加速化Nコースを達成した日の翌日から起算して2ヶ月以内に、管轄の労働局雇用均等室に申請書及び添付書類を提出する必要があります。申請可能な期間を逃さないようにしましょう。

目標の具体例

例えば女性の積極採用を課題とする企業であれば、どのような数値目標と取組目標がありうるのでしょうか。仮にこの企業が数値目標を、「ある採用区分に関して、男女全体の応募者に占める女性の採用者の割合を3%から10%に引き上げる」と設定したとします。その際、取組目標としては「女性に少ない職種に多くの女性応募者が集まるよう、女子大学等と連携した就活セミナーの実施」や、「男女関係なく選考できるガイドラインの策定や採用担当者向けの研修の実施」といったものが考えられます

助成金の支給対象外

取組目標を達成しても、支給の対象外となるケースがあります。1つ目は研修の実施に関して、研修時間が対象労働者ひとり当たり3時間未満の場合などです。2つ目は継続就業に関してで、法定を上回る育児休業等の両立支援制度を実施する場合などがあります。支給要領は年ごとにマイナーチェンジが加えられるので、対象外となるケースをしっかり把握した上で、取組目標等に取り掛かりましょう。

 

女性活躍推進の優良企業

優良企業について

上記のような行動計画の策定や数値目標及び取組目標を達成することは、企業にとって一筋縄では行きません。しかし、女性活躍推進にしっかり取り組んだ企業に対しては、女性活躍推進法に基づいて優良企業に認定されることはご存知でしょうか。認定された企業には、「えるぼし」というマークが授与されます。

えるぼしとは

えるぼしは1つ星から3つ星まであり、3つ星が最も優良な企業とされます。えるぼしが授与された企業は、日本政策金融金庫からの低金利の融資、公共調達での加点評価という2つの優遇措置を受けることができます。なお、令和2年3月31日時点で3つ星の評価を受けている企業は日本全国で685社となっております。さらに、より水準の高い「プラチナえるぼし」認定が2020年6月にスタートとなりました。

 

まとめ

女性活躍加速化助成金の支給に向けて取り組むことは、助成金の獲得以外にも企業内の活性化や企業のイメージアップなど様々なメリットがあります。少子高齢化が進む現在の日本では、育児などを理由に職場を離れてしまう女性のワークライフバランスを向上させ、不足していく労働力を補う必要性があります。企業と社会の双方にメリットがありますので、是非助成金に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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