労働者代表とは? 役割と選出の注意点を解説します!

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公開日:2019.5.7

36協定などの労使協定は、事業場ごとに締結する義務があり、会社と労働者の間で結ばれます。労働者側の締結者は過半数で構成された労働組合か、それがない場合は労働者の過半数を代表する労働者代表になります。労働者代表は会社側の意向で選ぶことはできず、選出の際にはいくつかの注意点が存在します。今回は、労働者代表の意味と役割、選出の注意点について解説していきます。

36協定とは

36協定は、正式名称を「時間外・休日労働に関する協定届」といい、労働基準法第36条がその根拠になっていることから36協定と呼ばれています。労働基準法において、労働者が法定労働時間を超えて働いたり、法定休日に働いたりすることは原則として禁止されています。残業や休日出勤は、労働基準法においてはあくまで例外的な措置でしかありませんが、実際には残業や休日出勤がなくてもいいという職場は少なく、このような例外を法的に認めるために必要なのが36協定となります。
それにもかかわらず、少なくない会社において36協定が結ばれていません。しかしながら、働き方改革が進み、労務管理に対する社会の視線が厳しくなっていく中で、36協定をはじめとした労使協定を適切に結んでいく必要性は今後高まっていくでしょう。

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労働者代表とは

この時間外労働や休日労働協定を定めた36協定を締結するには、労働者と使用者の合意が必要です。この使用者と協定締結を行う労働者の代表を設定する方法は以下のいずれかとなります。

  • 労働者の過半数を代表する労働組合がある場合その労働組合が代表となって使用者と間に協定を締結する方法
  • 上記のような労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する人を選出し、その選出された代表者と使用者の間で協定を締結する方法

この記事では、上記のうち後者のパターンについて解説します。

 

労働者代表になれる人

労働者代表は、労働基準法で定める管理監督者であってはなりません。管理監督者に一意的な定義はありませんが、一般的には、使用者と一体的な立場において職務を遂行する労働者を指します。例えば強い人事権を持つ部長や工場長などは労働者代表になることはできません。その一方で、部長や工場長といった肩書きが与えられていたとしても、部下の採用や配置、賃金その他労働条件の決定などを行う権限を持っておらず、その結果に対する責任も担っていないような場合は管理監督者に該当せず、36協定の労働者代表となることができます。
なお、「管理職」と「管理監督者」は必ずしも一致しません。労働基準法上においては使用者が労働者に対し守らなければならない労働時間、休憩、休日についての規則が定められています。しかし、管理監督者にこれらを適用する義務はありません。社内で管理職とされている人にこれらを適用する義務がある場合、彼らは管理監督者ではありません。

 

労働者代表の選出方法

過半数代表を選ぶ方法は選挙である必要はなく、労働者の話し合いや持ち回りの決議で決定しても問題ありません。重要なのは、労働者の過半数がその人を支持していることが明確になるような手続きを踏んでいるかどうかという点です。選出においては、36協定に関わる正社員だけでなくパートやアルバイトも手続きに参加できなければなりません。
なお、この選出は36協定締結のための労働者代表の選出であることを明確にした上で行われなければなりません。その他の労使協定の労働者代表や社員の懇親会幹事などと労働者代表が一緒であること自体は問題ありませんが、それとは別に36協定締結のための労働者代表を選出するための手続きを行う必要があります。

 

労働者代表の選出における注意点

会社の代表者が古株の社員にとりあえず署名捺印をさせて、労働者代表にしてしまうというのはよくあることです。選出のプロセスを取ると手間がかかり、さらに立候補を募ってもこのような面倒な立場に労働者自身が自発的に立候補するケースはそう多くないでしょう。こうした事態は、コンプライアンスをそこまで気にしない小さな会社ではよく起こるものと考えられます。しかしこれでは、労働者代表が社員の過半数によって選ばれていることが明確ではありません。
労働基準監督署の査察が入れば、使用者側は妥当な手続きを踏んでいるか確認されることとなります。また、労働者代表の選出方法に問題があり36協定を適切に結んでいなかった場合、労働者から時間外労働には応じないなどと主張されることもあり得ますし、労働者に労働基準監督署に通告すると脅される可能性もあります。そのようなことを防ぐためにも、適切な手続きを取り、適法性を客観的に示せるように努めましょう。

 

まとめ

36協定などの労使協定には労働者代表が必要ですが、この労働者代表の選出におけるルールを正確に把握しておくことが重要です。働き方改革によって労働者の立場が見直される中、適切な手続きを取り、適法性を第三者に客観的に示せるように努めることがますます重要になっていくでしょう。

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