危機管理マニュアルは作成していますか? 作成方法まとめ

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公開日:2018.6.18

東海地震の発生が切迫性のあるものとして予想されていますが、地震に限らず災害の可能性は常に存在します。企業は危機が起こったときに正しく対応できるよう、危機管理マニュアルを作成するなど、普段から備えておく必要があります。被害削減のための手段に社内の危機管理マニュアル作成があります。今回は危機管理マニュアルの目的や作成方法について解説していきます。

危機管理マニュアルの意義

大地震、ゲリラ豪雨による水害のような自然災害の危機や、製品のリコール、食中毒問題のような企業活動における危機など、企業が抱えている潜在的なリスクは多岐にわたって存在します。このような状況に対処するために、危機管理の有効な手段として危機管理マニュアルの作成があります。危機管理マニュアルには、以下のような意義があるとされています。

従業員に企業が持つ危機を認識させる

危機管理マニュアルの作成にあたって、企業の抱える危機が徹底的に分析されます。そのため、従業員が普段の業務を行っているだけでは考えつかない危機をも企業内に周知させることができます。従業員に危機意識を持たせることで、企業内での普段からの危機対策を促進することができます。

危機が起こった際に迅速な対応が行えるようにする

万が一潜在的な危機が現実のものとなってしまった際には、危機管理マニュアルに従って対応を行うことになります。そのため、企業のトップからの指示をその都度仰がなくてよいため、時間が短縮され迅速な危機対応が可能になります。

対応漏れのチェックができる

危機管理マニュアルは、危機対応のチェックリストとしての利用も可能です。危機が起こってからチェックリストを作成していては、落ち着いた判断ができずに対応漏れが生じかねません。事前に危機管理マニュアルを作成しておくことで、こうした可能性を減らすことができます。

従業員の臨機応変な対応が行えるようになる

危機管理マニュアルを行動指針とすれば、基本的にはその行動指針に合わせた行動をとればよいことになります。これによって、従業員が行動指針との整合性から判断し、臨機応変な対応を行うようになることが考えられます。

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危機管理マニュアルの作成方法

以上から、危機管理マニュアルの必要性はご理解いただけたかと思います。実際に作成するにあたって、以下に示した手順をたどれば緻密な危機管理マニュアルを作ることができます。

潜在的な危機の洗い出し

まずは、企業にとってどのような危機が起こりうるかを洗い出す必要があります。過去に自社や同業他社に生じた危機、または今後新たに起こると予測されている危機について、文献や新聞、インターネットなどで情報収集します。
起こりうる危機をリストアップすることができたら、現状の危機対策の中でどの程度の被害が起こるのかを予測する必要があります。このときに様々な場合を想定するとよいでしょう。これをもとに被害の度合いなどから優先順位を決め、優先順位の高いものから危機管理計画を作成していきます。

危機管理計画の作成

危機管理計画を作成するにあたっては、想定される危機ごとに危機管理チームを編成すると効率が良いでしょう。危機管理計画は、平時と危機発生時、復旧時の3段階に分けて、それぞれ以下のようなことを決めていきます。

  • 平時の危機管理
    設備・備品の充実、避難訓練、定期的な危機管理マニュアルの見直し
  • 危機発生時の危機管理
    基本的な行動指針の決定、危機発生時の各部署の役割の決定、情報管理方法の決定
  • 復旧時の危機管理
    電気・ガスなどの生活インフラの復旧方法の見直し、資金管理者の決定

これらの項目に関して、予算・資源などを考慮しながら危機管理計画を策定します。危機管理計画作成にあたってのポイントとしては、自社の利益はもちろんですが社会的な目線を気にすること、危機発生時の情報開示についてはできる限り迅速に行える体制を築くことなどがあります。

危機管理マニュアルの作成

危機管理計画を練ることができたら、危機管理マニュアルを作成する段階に入ります。以下に危機管理マニュアルの目次の例を示しました。危機管理マニュアルに記載すべき内容は企業によって異なりますが、最低限記載すべき内容は以下の例を参考にしてみてください。

内容面でのポイントとしては、危機発生後の対応の中で、緊急連絡網の作成などによって情報共有できる体制を構築することがあります。危機発生時の情報共有は非常に重要です。情報の錯そうを防ぐために、企業の上部層に情報を上げる際のルールなども作るとなお良いでしょう。

構成面でのポイントとしては、第1部と第2部に分けることが挙げられます。これには、危機管理マニュアルを読むターゲットを分けることができたり、必要な情報の参照が容易であったりと、多くのメリットがあります。読むターゲットを分ける理由は、必要な情報を確実に共有するためです。

以下、危機管理マニュアル(例)

  • 第1部(全員が読むべきもの)

1.はじめに
・場所別の安全行動原則
・危機レベルの設定および被害予測

2.危機発生後の対応
・危機レベル別の経過時間ごとに行うべき主要業務
・危機管理本部・危機管理委員会の設置
・安否確認・緊急連絡網(災害時)・報告のルール

3.復旧への取り組み
・役割ごとの復旧作業
・地域支援について(災害時)

4.危機対策として
・事前準備として行うこと

  • 第2部(各責任者が読むべきもの)

1.危機発生時の業務指示項目

2.顧客連絡先一覧

 

まとめ

今回は、危機管理マニュアルの作成について解説してきました。マニュアルの作成では危機が発生してからの対応を中心に扱うことになりますが、作成後には、危機が起こらないためにどうすればよいかというリスク管理という観点からもぜひ考えてみてください。

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