業績に応じて給与が変動する、歩合給制度とは?

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公開日:2019.5.20

社員の業績によって給与額が変化する制度のことを、歩合給制度といいます。歩合給制度では業績を上げれば上げるほど給与が高くなるので、社員のやる気を引き出し、生産性の向上につながります。一方で、歩合給制度の導入の際の注意点として、社員の給与を完全歩合給制にすることは違法であることや、残業代を計算するのが難しいといった点が挙げられます。今回は、歩合給制度の意味とメリットやデメリット、導入の際の注意点について解説していきます。

歩合給制度とは

歩合給制度の意味

歩合給制度とは、個人が働くことによって生み出された成果や売り上げなどに応じて給与が支払われる仕組みを指します。企業の募集要項などに記載されている「出来高払制」、「インセンティブ給制」などは、どれも歩合給制度のことを意味しています。
例えば、ある社員が月に1,000万円の売り上げを上げたとします。歩合給制度の場合、企業によって仕組みは様々ですが、仮に個人の売り上げの5%が歩合給として還元されるとすると、その社員は50万円の給与を得ることができます。その一方で、もしも売り上げが500万円のであった場合には、その月の給与は500万円の5%で25万円となります。
また、歩合給制度と対をなすのが固定給制度です。固定給制度の場合は常に給与額は一定ですので、個人の売り上げが1,000万円の月も500万円の月も、社員は同じ額の給与を受け取ることになります。
このように、成果によって受け取る給与額が変化するというのが歩合給制度の特徴です。

歩合給制度の種類

歩合給制度には、「完全歩合制」と「固定給+歩合制」の大きく2種類が存在します。両者の違いは、成果にかかわらず必ずもらえる給与があるかないか、という点です。
前者の完全歩合制とは、固定給が一切なく歩合給のみが支払われます。そのため、極端な例として、どんなに働いたとしても全く成果がなかった場合、社員に対して給与が支払われないということもあり得ます。「フルコミッション制」と呼ばれるものも、完全歩合制のことを指しています。
他方、後者の固定給+歩合制とは、一定の固定給に、成果に応じて変動する歩合給が加算されるというものです。決められた時間働くことで一定の固定給は必ず支払われ、それにプラスする形で成果に応じた金額が支払われます。

 

歩合給制度のメリット

社員のモチベーションが向上する

歩合給制度を導入することのメリットのひとつとして、社員のモチベーションが向上するという点が挙げられます。自分自身の実績や成果によって給与が変動するため、その分業務にも高いモチベーションを持って取り組むことが期待されます。特に、目標達成まであと少しというときに、目標を達成した際の給与面でのインセンティブがあるかないかではモチベーションも大きく変わってきます。そのようにして社員のモチベーションが向上することで、より効率的に質の高い業務が行われ、その結果として企業全体の業績の向上に繋がると考えられます。

給与への不公平感が減少する

歩合給制度を導入することの第二のメリットは、社員の給与に対する不公平感が減少するという点です。入社年次や役職などによって一律に給与が定められている場合、どんなに成果を出そうとも、そうでない人と比べて自身の給与が同じ、または低いということも考えられ、このような状況に対して不満を覚える社員も多いでしょう。歩合給制度の導入によって個々の社員の成果に応じた給与を設定することで、給与額に関する不公平感を減少させることが期待できます。

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歩合給制度のデメリット

歩合給制度をネガティブに捉えられる可能性がある

一方で、歩合給制度を導入することのデメリットとして、歩合給制度に対して不満を感じる社員がいる可能性があるという点が挙げられます。先述の通り、歩合給制度では給与が成果によって変動します。そのため、家庭がある社員や安定志向の社員はネガティブなイメージを持ってしまうかもしれません。また、常に一定の給与が得られるわけではないため、ローンを組む際などの資金繰りが難しくなるということも考えられます。

社員同士の関係性が悪化する可能性がある

そして2点目に挙げられるのが、歩合給制度によって社員間の関係性が悪化する可能性があるという点です。というのも、歩合給制度は個人の成果が基となり給与が決定するため、例えば後輩の指導など、自分自身の成果に直接的に関係しない業務には力を入れず、個人主義に走る社員が増えてしまう可能性があります。そのため、歩合給制度を導入する際には制度設計や導入後の運用をしっかりと検討する必要があります。

 

歩合給制度の導入の際の注意点

最低賃金の保障

1点目は、歩合給といえども最低賃金は保障する必要があるという点です。固定給と歩合給の合計額を総労働時間で割った値が、各都道府県の最低賃金を上回っていなければなりません。また、法律解釈として、平均賃金の60%以上を保障することが適当とされており、歩合給であるからといって不当に低い給与で社員を働かせることはできません。

残業代等の支給

2点目は、歩合給であっても残業代等の各種手当は支給しなければならないという点です。「通常の労働時間の賃金と、残業代部分が明確に区別できること」という条件を満たしている場合を除き、歩合給の中に残業代を含めることはできないとされています。
その際に支払うべき残業代の割増率としては、固定給部分は時間単価の1.25倍なのに対し、歩合給部分は時間単価の0.25倍となります。これは、歩合給の場合は、時間を延長して働いたことで成果につながっているという側面があり、時間単価に相当する部分はすでに通常の歩合給の中に含まれていると考えることができるためです。
また、上述の保障給は社員が就業しなかった場合には適用されませんが、企業の事情で社員を休ませた場合などには休業手当を支払う必要があります。

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まとめ

今回は、歩合給制度の意味やメリット・デメリット、導入の際の注意点などを解説してきました。歩合給制度にはデメリットもありますが、その分メリットがあることも確かです。自社の業態などを考慮した上で、歩合給制度の導入が適切かどうか、一度検討してみてはいかがでしょうか。

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