中小企業の生産性を向上させるための国の取り組みとして、業務改善助成金があります。業務改善助成金とは、企業が生産性向上のために設備投資を行い、事業場内の最低賃金を引き上げた場合に助成金を受け取ることができる制度です。生産性向上と助成金の受給が同時に行えるため、企業の成長にとって非常に有用なものとなっています。今回は、業務改善助成金を受給する要件や設備投資の実例などについて解説していきます。
業務改善助成金は、厚生労働省が中小企業の生産性向上および最低賃金の引き上げを支援する制度です。生産性向上のために設備投資やサービス導入などを行うと同時に、最低賃金を一定額以上引き上げた企業を対象に、生産性向上のためにかかった費用の一部が助成されます。
業務改善助成金を利用するメリットはいくつも挙げられます。まず、生産性を向上させることによって企業の成長が望めます。また、最低賃金が上昇することによって労働者のモチベーションを向上させ、より優秀な人材を確保することにも繋がると考えられます。
業務改善助成金を受給できるのは、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内かつ、事業場規模が100人以下の中小企業・小規模事業者です。
業務改善助成金では事業場内での最低賃金を一定額引き上げると、引上げ額と引き上げる労働者の数に応じて助成内容が変わります。コース区分は25円、30円、60円、90円の4つの種類があり、最低賃金を引き上げる労働者の数と助成率や助成上限額の対応は以下のようになっています。
● 引上げ額 | 引き上げる ● 労働者の数 | ● 助成上限額 | ● 助成率 |
● 25円以上 | ● 1人 | ● 25万円 | 事業場内最低賃金が850円未満の事業場で 4/5 生産性要件を満たした場合 ● 9/10 |
● 2〜3人 | ● 40万円 | ||
● 4〜6人 | ● 60万円 | ||
● 7人以上 | ● 80万円 |
引上げ額 | 引き上げる 労働者の数 | 助成上限額 | 助成率 |
30円以上 | 1人 | 30万円 | 【事業場内最低賃金が850円未満の事業場】 4/5 生産性要件を満たした場合 9/10
【事業場内最低賃金が850円以上の事業場】 3/4 生産性要件を満たした場合 4/5 |
2〜3人 | 50万円 | ||
4〜6人 | 70万円 | ||
7人以上 | 100万円 |
引上げ額 | 引き上げる 労働者の数 | 助成上限額 | 助成率 |
60円以上 | 1人 | 60万円 | 【事業場内最低賃金が850円未満の事業場】 4/5 生産性要件を満たした場合 9/10
【事業場内最低賃金が850円以上の事業場】 3/4 生産性要件を満たした場合 4/5 |
2〜3人 | 90万円 | ||
4〜6人 | 150万円 | ||
7人以上 | 230万円 |
引上げ額 | 引き上げる 労働者の数 | 助成上限額 | 助成率 |
90円以上 | 1人 | 90万円 | 【事業場内最低賃金が850円未満の事業場】 4/5 生産性要件を満たした場合 9/10
【事業場内最低賃金が850円以上の事業場】 3/4 生産性要件を満たした場合 4/5 |
2〜3人 | 150万円 | ||
4〜6人 | 270万円 | ||
7人以上 | 450万円 |
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受給するためには以下の要件を満たす必要があります。
以下では、生産性向上のために実際に行われた施策の具体例を2つ紹介します。施策以前の課題と施策後の効果も合わせて記載してありますので、参考にしてみてください。
レジでお客様と取引した際に顧客情報を一括して管理することができるPOSレジを導入して生産性向上を実現した事例があります。
従来よりも高性能である新型機械を導入することによって生産性向上を実現した事例があります。
今回は、業務改善助成金について説明してきました。業務改善助成金制度を利用すれば、生産性向上によって企業が利益を伸ばすことが期待できる上に、設備投資にかかる費用を最大で90%も助成してくれるので、とても大きなメリットがあるといえます。生産性向上施策例などを参考にして、ぜひ助成金の利用を検討してみてください。
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