【用語説明】
働いた時間ではなく成果で報酬を決める、新たな労働時間制度。2015年4月に閣議決定された労働基準法の改正案の柱として注目されたが、導入はいったん見送りとなった。賃金が成果に連動して支払われ、労働時間に全く連動しない点が、これまでの裁量労働制やフレックスタイムと異なっている。対象となるのは、一定以上の年収(現時点では1075万円)のある、アナリスト、金融商品のディーラー、コンサルタントといった特定の専門職に従事する、などの条件に当てはまり、かつ導入に同意する者のみとされている。
<対象業務>
- 全金融商品の開発
- 金融商品のディーリング業務
- アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)
- コンサルタント業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務)
- 研究開発業務 等
<対象労働者>
- 書面による合意に基づく職務の範囲内で労働する者
- 平均給与額の3倍を相当程度上回ること(具体的な年収額は「1075万円」を目安)
【解説】
「ホワイトカラー」の労働者の中には働き方に裁量性が高く、労働時間の長さと成果が必ずしも比例しないケースがあります。このため、「労働時間に対して賃金を支払うのではなく、成果に対して賃金を支払う仕組みが必要」というのが要旨です。
しかし、一方で「残業代ゼロ制度」とも呼ばれる通り、現行の労働基準法にある長時間労働の抑制が利かなくなり、過重労働に繋がるとの批判の声も上がっています。今回は導入が見送られたものの、近い将来導入されると見られており、年収要件の引き下げや、対象となる適用職種が拡大する可能性にも注意しながら、今後の動向を見守る必要がありそうです。
※情報は2016年3月時点のものです。
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