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リモートハラスメントは企業の責任?効果的な対策を紹介します

新型コロナウイルスによってリモートワークが急速に進む中、業務を逸脱したプライベートへの干渉をするリモハラに注目が集まっています。リモートワークの実態把握は困難となりますが、対応を放置すると賠償請求をされることがあるため、従業員からハラスメントの申告があった場合、速やかに適切な対応をする必要があります。今回はリモートハラスメントの具体例や原因、リスク、企業の実態把握方法、対応策について解説します。

リモートハラスメントについて

リモートハラスメントとは

リモートワークが増えたことにより、会議や連絡は、Web会議や、オンラインチャットを利用して行われるようになりました。このような中、リモートハラスメントが問題になっています。リモートハラスメントとは、リモートワーク中に受けるセクハラ・パワハラに該当する行為のことをいいます。ハラスメント行為は、行った本人に悪気はなくても、相手が不快に思えば該当するので注意が必要です。また、リモート特有の距離感やコミュニケーションの取り方の難しさから、普段オフィスでは気を付けているという人でも、意図せずリモハラを行っている可能性があります。

リモートハラスメントの原因

リモートハラスメントが起こる原因の一つに、新しい働き方であるリモートワークに上司側が慣れていないということが挙げられます。新型コロナウイルスの感染防止対策として、十分な準備のないままリモートワークが始まった企業が多いため、オンラインでの適度な距離の取り方や連絡頻度などに慣れていない従業員は少なくないでしょう。また、在宅勤務では仕事と日常生活の境界が曖昧になりやすいため、自宅にいることで気が緩み、オフィスでは意識して控えていた言動が出てしまったという場合もあるでしょう。

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リモートハラスメントの具体例

プライベートへの侵害

リモートワークでは、Web会議などで背景に部屋の様子が映ってしまうことがありますが、その部屋の様子を話題にしたり、自宅での服装やメイクについて話題にしたり、子どもの声など生活環境に関して話題にしたりして不快感を与えることなど、プライベートへの侵害はリモートハラスメントに該当します。また、業務に関係のない連絡を頻繁に行ったり、不必要な1対1のWeb会議やオンライン飲み会に誘ったりすることも、ハラスメントとみなされる可能性があります。

人間関係からの切離し

集団で一人を無視するなどして孤立させることもハラスメント行為にあたります。同じオフィス内にいる場合、露骨な無視や仲間外れをする人は少ないかもしれません。しかし、リモートワークでは、特定の人物をWeb会議に呼ばない、チャットグループに招待しない、返信しない、などの行為が、オンライン環境などを言い訳に行われやすくなります。このような行為も重大なハラスメントであることを認識しましょう。

精神的な攻撃

現代では、相手の人格を否定するような言動が重大なパワハラ行為であるという認識が広まり、発言に気を付けている人も多いでしょう。しかし、リモートワークにおいては、コミュニケーション不足や、働く様子がお互いに見えにくいため、つい相手を疑ったり、不審に思ったりする傾向があります。そのため、「見えないところでサボっているのではないか」などと発言したり、常にWebカメラをオンにしておくように指示したりするケースが増えています。このような発言や指示は、一生懸命働いている従業員に精神的なダメージを与える可能性があります。

 

リモートハラスメントの企業へのリスク

職場の雰囲気が悪化する

ハラスメントが発生しやすい職場では、上司と部下のコミュニケーションが不足していたり、失敗が許されない雰囲気が強かったりするといわれています。特に、雇用継続や人事査定において上司の評価が大きく影響する職場では、ハラスメントが起こった場合にも被害者が声をあげにくく、そばにいる同僚も何もできないという場合があります。リモートの環境下では、物理的な距離もあるため、このような傾向はさらに強くなるでしょう。結果的に、職場全体にハラスメントへの抑止力がなくなり、職場の雰囲気は非常に悪くなります。

労働意欲が低下する

リモートハラスメントを受けた本人は、仕事に対する意欲が低下するだけでなく、ストレスから心身の体調を崩し、通院や服薬が必要になる場合もあります。また、職場の雰囲気や環境が悪くなることによって、本人だけではなく職場全体の労働意欲も低下してします。従業員の労働意欲の低下は、企業の生産性の低下にもつながります。

裁判に発展するケースもある

ハラスメント行為に対し、企業が何も対策を講じずに放置した場合、企業が責任を問われる場合もあります。被害者からの申し立てにより、労働局長による助言・指導、紛争調整委員会によるあっせんなどを経ても解決しない場合は、訴訟に発展するケースもあります。また、ハラスメント行為の事実確認には証拠が重要になりますが、リモートハラスメントの場合、記録が残りやすいため、ハラスメント行為として認定されやすくなることが考えられます。

 

リモートハラスメントの把握方法

オフィス内と違い、リモートハラスメントは、当事者だけの空間で起こることが多いため、企業側も把握しづらい傾向があります。リモートハラスメントの実態を把握するのに効果的な方法の一つに、従業員へのアンケートがあります。アンケートは、匿名で行うことが望ましいでしょう。また、上司や部下、正規従業員、非正規従業員など回答者に偏りのないように行うことが肝心です。方法は紙や電子ファイルを使用する方法がありますが、人数の少ない事業所では、匿名であっても誰が書いたか推察できてしまう場合があります。そのような場合は、インターネット上にあるアンケート作成ツールなどを活用して、匿名性を担保することも検討しましょう。アンケートを行う際には、アンケートの主旨や重要性を説明するとともに、社内外における相談窓口の連絡先などを周知すると良いでしょう。
また、アンケートのほかにも、安全管理者や産業医によるヒアリングや、個人面談なども併用すると、より正確に状況を把握することができます。

 

リモートハラスメントへの対応策

2020年6月1日に行われた労働施策総合推進法の改正により、パワーハラスメント防止措置が事業主の義務となりました。中小企業は2022年4月1日から義務化となります。事業主が行うべきとされるハラスメント防止措置には以下のようなものがあります

ハラスメント防止の方針策定

企業がハラスメント行為を許さないという方針を明確にし、従業員に周知、啓発することが重要です。また、ハラスメントを行った者には厳正な対処を行う方針と、その対処の内容も、就業規則などの文書に規定し、従業員に周知します。

相談窓口の設定

ハラスメント行為に対処するための相談窓口を設置し、従業員に周知します。相談窓口については、形だけのものではなく全てのハラスメント行為に対し、公平に、適正な対処を行える機関にしなければなりません。また、相談者の意見を鵜呑みにするのではなく、両者の意見を公平に聴取し、客観的視点に基づいて判断し、対策を講じます。このとき、両者のプライバシーにも十分配慮することが大切です。

リモートハラスメント対応への体制整備

リモートハラスメントへの対応は、基本的にはほかのハラスメント行為と同様に行われる必要があります。しかし、オフィスで行われるハラスメントに比べ、リモートハラスメントについては従業員の認識が弱い場合もあるため、リモートハラスメントの原因となりやすい事柄に関して、あらかじめルールを作成すると良いでしょう。例えば、働き方については、進捗報告の頻度や方法、緊急時の連絡方法、私用で離席する際の申請方法などがあります。また、リモートワークのマナーとして、なるべく業務以外の会話をしない、過度に連絡をしない、Web会議などの際には服装や部屋の映り込みなどに配慮することなども周知しましょう。

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まとめ

一昔前では許容されていた発言が、現代のオフィスではセクハラやパワハラなどに該当するなど、ハラスメント行為に対する意識は高まりつつあります。リモートハラスメントにおいても、一昔前のセクハラ・パワハラと同じように、行う側は軽い気持ちで行っていることが多いようです。しかし、相手が不快に感じる行為は、ハラスメントに該当し、それはリモートハラスメントでも同様です。企業はリモートハラスメントの防止策を講じ、従業員が安心してリモートワークに取り組めるような環境作りをしましょう。

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