冬を迎えるに向けて、新型コロナウイルスやインフルエンザの感染拡大が懸念されています。これまでの感染症拡大を経て、多くの企業がオフィスでの感染症対策を実施していると思われますが、季節によって対策法が変わってくることもあるため、取り組むべき事項について再確認しましょう。今回は、冬に感染症が拡大しやすい理由を踏まえつつ、オフィスにおける感染症対策の基本方針や講じるべき具体策、冬ならではの対策について解説していきます。
冬は気温と湿度が下がることから、低温・低湿度を好むウイルスが長く生存し感染力が強くなるため、感染症が拡大しやすい傾向があります。また、外気の乾燥に加え、夏場よりも積極的に水分を摂取しなくなることから、のどや気管支の粘膜が乾燥して傷みやすくなるのも理由の一つです。さらに、湿度が低いと咳やくしゃみによる飛沫が素早く乾燥し小さくなるため、飛沫に含まれるウイルスがより長く空中に浮遊し、感染範囲も拡大します。冬の寒さや外気の乾燥、体内水分量の減少によって免疫力が低下した状態では感染症を防ぎにくいため、冬は特に対策を講じる必要があるでしょう。
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飛沫感染とは、感染者のくしゃみや咳、つばなどの飛沫と一緒に放出されたウイルスを他の人が口や鼻から吸い込むことによって引き起こされる感染です。飛沫感染に対してオフィスで講じることのできる対策としては、以下のようなものが挙げられます。
このように、従業員に感染症対策の基本方針を周知し、オフィス全体だけでなく個人単位でも対策を講じるように感染症対策への意識を高めることが重要です。
感染者がくしゃみや咳を押さえた手で物に触れると、物にウイルスが付着します。接触感染とは、他の人がその物を触った後に手や目、口、鼻を触って粘膜からウイルスを吸収して引き起こされる感染です。接触感染に対してオフィスで講じることのできる対策としては、以下のようなものが挙げられます。
飛沫感染と同様に接触感染対策を徹底し、従業員に正しい手洗い方法やこまめな手洗い、目や口、鼻を触らないことを周知しましょう。
その他の対策として、オフィスにウイルスを持ち込まない、密集する場所を改善するといった対策が挙げられます。ウイルスを持ち込ませないためには、従業員に出社前の体温測定を徹底し、風邪症状や発熱があれば「出勤しない・させない」ことが重要です。また、感染症らしき症状が出た場合の最寄りの相談先も従業員全員に周知しておきましょう。さらに、多くの人が密集する場所を改善することも重要です。具体的には、在宅勤務・テレワークの推進、時差通勤の活用、インターネットを活用した会議の実施などが挙げられます。オフィスに集まる人の数を極力少なくして十分なフィジカルディスタンスを保てるようにしましょう。
前述のとおり、空気が乾燥するとのどの粘膜の防御機能が低下して感染症にかかりやすくなるため、加湿器などを使って室内を十分な湿度(50~60%)に保ちましょう。日本では、事務所衛生基準規則(事務所則)におけるオフィスの環境基準によって、室温が17度以上28度以下、および湿度が40%以上70%以下になるよう義務付けられています(空気調和設備を設けている場合)。しかし、適切な温湿度の認知度が低く、冬季に関しては多くのオフィスにおいて40%以上の基準を満たしていないのが現状です。感染症対策のためにも、適切な温湿度を保てるように目立つ位置に温湿度計を設置して、こまめに温湿度の確認・調節をしましょう。
密閉空間にしないようにこまめな換気も行いましょう。具体的には、風の流れができるように2方向の窓を1回あたり数分間程度全開にします。換気回数は毎時2回以上が効果的です。窓が1つしかない場合は入口のドアを開ける、扇風機や換気扇を併用するなどすれば効果的な換気ができます。機械換気がある場合でも、より有効な感染症対策をするために窓やドアを開けたり、一部屋当たりの人数を減らしたりして換気量を増やすようにしましょう。
免疫力が低下すると感染しやすくなることに加え、感染時に症状が重くなってしまう危険性もあります。免疫力を高めるためにも普段から十分な睡眠とバランスの良い食事を心がけることが重要です。また、インフルエンザのようにワクチンがある感染症であれば流行前にワクチンを接種しましょう。なお、インフルエンザの流行シーズン前は毎年12月上旬頃にあたりますが、今年は新型コロナウイルスの影響もあってワクチン不足のため、事前に病院に問い合わせておく必要があります。
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ここまでオフィスの感染症対策や冬ならではの対策についてご紹介しました。飛沫感染や接触感染の対策として、マスクの着用やこまめな手洗いが効果的です。冬は気温の低下や乾燥によって免疫力が低下することから、適切な温湿度を保つ必要があります。オフィスでの対策を徹底したうえで、従業員個人単位での感染症対策も促しましょう。
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