要員計画とは企業が事業計画を進めるために、必要な人員数や人件費を予測・計画することを指します。要員計画には、「人材をどこに何人配置するか」だけでなく、能力要件の定義や、人材の確保・教育方法といった具体的なプロセスも含みます。少子高齢化による労働人口の減少を解決するためにも、人材の最適化は必要不可欠であり、そのためにも、要員計画は重要です。要員計画の手順は、現状把握、要員調査、要員調整、要員計画の策定・運用の4ステップから成ります。
目次
要員計画について整理しよう
要員計画とは
要員計画とは企業が将来の事業計画を達成するために、必要な人員の数を予測し、人材の採用・配置・育成などを計画的に行うことを指す言葉です。この要員計画では事業計画の遂行が最大の目的であり、どの程度の人材が必要になるか具体的な計画をします。加えて、人材の能力要件の定義や確保するための方法、教育プランについても考えるべき大切な項目です。このように多岐にわたる内容について策定するため、要員計画は企業の人材に関するロードマップとして欠かせない役割を果たします。
事業計画との違い
事業計画とは企業が将来の一定期間中に達成したい目標を具体的に定めて、策定した目標達成のための具体的な事業活動についてまとめたものです。具体的な内容としては、既存事業の拡大・製品開発・新規事業の立ち上げ・市場開拓など、企業全体の活動が網羅されています。一方、要員計画は事業計画に基づいて策定され、計画された目標を達成するためにどのような人材が必要かを明確に定義するものです。2つの言葉は関係性の深い言葉ですが、正しく使い分けるようにしましょう。
採用計画との違い
採用計画とは事業計画を軸として、人材採用のために立案される計画のことです。自社の人材のパフォーマンスを高めていくために、求める人物像・採用人数・要件・スケジュールなどを明確に定めて計画を立てます。一方、要員計画では採用だけではなく、事業計画を遂行するために必要な企業の幅広い人材についてのプランです。どちらも人材に関する計画である点は共通していますが、範囲や目的が異なるので注意しましょう。
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要員計画の必要性
中長期的な人材育成
中長期的な人材育成を成功させるために、要員計画は重要な役割を担っています。企業が持続的に成長していくためには、単に人材を増やすだけでは機能しません。組織の戦略にマッチする人材を育成して、組織の中核を担えるように成長を促す必要があります。そうした際に要員計画では中長期のスパンで戦略を練るので、人材開発や育成など実施に時間がかかる施策も進めることが可能です。要員計画によって育成に時間をかけられるようになれば、より専門的な人材を生み出すこともできます。
採用計画の合理化
採用計画の合理化のためにも要員計画は欠かせません。要員計画では事業計画を柱に考えて、各部門に必要な人員数を明確にします。これにより、場当たり的に人員を補充するのではなく、将来の事業展開を見据えた適切な人数を採用できます。また、各職務に必要なスキルや経験についても詳細に分析を実施できるので、人材のミスマッチを防止して早期の戦力化を目指すことも可能です。無駄をなくして合理的な採用プランを立案するためにも綿密な準備を進めましょう。
適材適所の人員配置
要員計画によって適材適所の人員配置を実現できます。社内の各部署が求める人材の過不足を把握できれば、リソースの最適な分配が可能です。例えば、専門スキルを持つ人材を適切なポジションに配置したり、離職防止のために働きがいのある部門に異動させたり、過剰人員を防いだりすることができます。要員計画によって現場が求める人材を適材適所に配置して、企業の生産性を高めて人材の定着率を向上させる取り組みが求められているのです。
要員計画の策定の手順
現状把握
まずは、現状把握を行いましょう。具体的には部署ごとの在籍人数や年度増減人数を把握します。加えて、従業員の年齢・役職・給与額・婚姻状況などの情報も併せて把握できれば、中長期的な人材の需給予測に役立てることが可能です。さらに、在籍している従業員の保有スキルについても調査できると、より精度の高いプランを立案できます。
要員調査
次に、要員調査を実施します。要員調査とは社内で必要な人材の要件を明確にするための工程です。例えば、以下のような項目について調査を進めましょう。
- 業務量に対する人員の過不足
- 来期に向けて求められる人員数
- 求める人材の具体的なスキル
- 労働市場面の変化
- 長期的な事業計画の進捗
企業側だけでなく職場ごとの要員ニーズについて調べる姿勢が大切です。人材不足や人材余剰にならないためにも、しっかりと要員調査を実施しましょう。
要員調整
続いて、要員調整を進めましょう。要員調整とは要員調査で算出した人材をどのように確保するのかを考えるステップです。具体的には以下のような方法で、求められている人材を確保します。
- 新卒採用を実施する
- 中途採用を行う
- 既存の従業員のスキルアップを目指す
- 配置転換する
- 外部リソースを活用する
常に変化する経営環境に対応して、企業が成長を続けるために要員調整は必要な工程です。従業員のモチベーション維持にも配慮しながら、組織全体の最適化を目指しましょう。
要員計画の策定・運用
最後に要員計画を策定して、実際に運用を開始します。まず、策定した要員計画を基にして、人員不足を解消するための採用計画、スキル向上を実現するための育成計画、従業員の要望にマッチする配置転換などを計画しましょう。次に、運用では策定した計画を実行に移すだけでなく、定期的に改善していく姿勢が大切です。事業計画や市場環境の変化に合わせて、最適な要員計画になるように見直しましょう。
まとめ
人材は企業が日々の活動を続けて、継続した成長を実現するために欠かすことができないリソースです。もし、無計画に人材を採用や配置したとしても、思ったような効果を得ることはできません。人材の力を最大限に発揮させて過不足のない従業員を確保するためには、綿密な計画の立案が重要です。要員計画について検討を行って、人材に関連するプランを明確にしてみてはいかがでしょうか。