多くの企業が4月1日から3月31日を1事業年度とする「3月期決算」を採用していますが、実は一口に決算と言っても、毎月末に行われる月次決算や、事業年度の中間月で行われる中間決算など、様々な種類があります。これらは決算日が異なるのみでなく、作成する目的も様々で、経理担当者はそれぞれの性質を正確に把握することが求められます。今回は様々な決算について、それぞれの特徴と目的について解説します。
決算には様々な種類があります。以下では、期間の違いに着目して、各種決算の特徴と目的を紹介します。
本決算は株主総会における会社の成果報告、与信管理、税気申告のため、1事業年度の決算をまとめたものです。1事業年度とは決算日翌日から次の決算日までの1年間のことを指します。事業年度の開始日は会社が任意に決められますが、多くの企業が4月1日から3月31日を1事業年度としています。この場合、3月末日の決算日の翌日から決算書の作成が始まり、通常4月下旬から5月中旬にかけて本決算が発表されます。
本決算において発表される決算報告書には、主なものとして以下の3つがあります。
本決算の決算書は税金の申告にも使用されるため、帳簿の中身をよく確認し、不備がないかしっかりと確認を行う必要があります。
事業年度が半年を経過したときに作成される決算です。事業年度の中間地点での財務状況を内外に向けて明らかにして現状を把握し、経営に関する問題点や改善点を洗い出すために行われます。仕入れの見直しなど、経営に関して適切な修正を早めに行うことができます。また、納める税金についてもあらかじめ予測できるので、資金繰り等の戦略が立てやすくなり、本決済の作業負担軽減にもつながります。上場企業は法律で中間決算が義務付けられています。中小企業が中間決算を行うかは任意ですが、融資を受けている銀行や取引先の会社から報告書の提出を求められることもあります。
具体的手順としては、まず半年間の損益予測を出し、その後納税額や資金繰りをチェックします。前年度の法人税納付額が20万円を超えている場合、中間決算日の2ヶ月後までに半年分の法人税を納付する必要があります。
社内外に対して3ヶ月毎の業績を報告するために作成します。1Q(クオーター)と表記することもあり、申告は伴いません。事業年度の初めの3ヶ月を第1四半期決算、次の3ヶ月までの半年間を中間決算(第2四半期決算)、その次の3ヶ月までの9か月間を第3四半期決算、1年間の決算を本決算(第4四半期決算)と呼びます。
上場企業は四半期ごとに業績を開示することを義務付けられています。中間決算同様、定期的に業績を報告することで利益予測をしたり、経営に関する問題点や改善点を洗い出したりなど、経営に関して適切な修正を早めに行うために作成されます。
申告の必要はありませんが、社内で月単位の業績を把握するために作成されます。四半期決算より短い期間で決算することによって、会社の業績の見直しによりスピード感を持つことが可能となり、問題点や改善点の洗い出し、利益予測などを行って今後の経営に活かしていくことができます。
月次決算は任意ですが、大企業など多額の税金を支払う会社や取引の多い会社にとっては、財務状況をきめ細かに把握することで、資金繰りなど経営戦略に反映することができます。逆に、減価償却資産を所有していなかったり少額であったりする会社や、繰延資産償却をしない会社、あるいは決算賞与の支給がない会社や消費税の納付がない会社は、月次決算を行う必要性は低いものと考えられます。
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次に計算方法の違いに着目して、各種決算の特徴と目的を紹介します。
会社1社について行われる、個別の会社としての業績を示すための決算で、中小企業はこの単独決算を行うことが多いです。子会社を持つ会社がこの単独決算を行うと、親会社と子会社の間の取引までもが別会社との通常の取引と同様に計上されてしまうので、決算に不透明な部分が多くなります。これを利用して売上高を多く見せたり、親会社の決算を子会社で帳尻合わせをしたりする会社も出てくるという問題点があります。
親会社を中心として、子会社や関連会社の業績もまとめて行う決算のことです。単独決算で生じてしまうグループ企業の決算の不透明性を解消し、グループとしての業績を明確に示すために行われます。親会社の支配を受けているとみなされる会社は、子会社としてすべての数字が連結されます。親会社の強い影響下にあるとみなされる会社は、関連会社として持ち分法により数字が計上されます。
具体的な計算方法としては、まず親会社と子会社で個別に財務諸表を作成し、それを合算します。その後、親会社の投資額、子会社の資本金、棚卸資産に含まれる未実現利益やグループ間の債権、債務、取引高を差し引きます。この作業を連結調整作業と言います。そして連結財務諸表を作成します。
なお、上場企業には連結決算での決算作成が義務付けられています。その他の企業に関しても、グループ企業の企業価値や特徴を調べる際に、同業他社との比較がしやすいことから、近年ますます連結決算が重視されるようになってきています。
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決算の種類は様々ありますが、それぞれ作成の目的が異なるため、対象とする期間が異なったり、計算方法が異なったりという特徴があります。各々の目的に合わせ、その特徴に基づいた適切な決算を作成するようにしましょう。
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