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タイムカードの改ざんを見つけたときの対処法とは!?

一向になくなる気配のない過重労働問題ですが、近年は従業員やその上司によるタイムカードの改ざんが多く報告されています。タイムカードの改ざんは労働基準法を始めとした労働関連法において違法となり、悪質な場合には懲戒解雇が命じられることもあります。今回はタイムカード改ざんの代表的手口を取り上げ、見つけた場合の対処法を解説します。

 

改ざんの事例

従業員による改ざん

  • 自らは出勤せず、同僚に打刻させて給与を不正に受け取っていた。
  • タイムレコーダーを不正に操作し、退勤時刻を遅めて記録していた。
  • 退勤時にタイムカードの記録を意図的に忘れ、後日手書きで実際よりも遅い時間を記入していた。
  • 遅刻して出勤した際にタイムカードの記録を意図的に忘れ、後程手書きで定時の出勤時刻を記入していた。
  • 外出時に打刻をせず、職場を離れている間の給与を不正に受け取っていた。

上司による改ざん

  • 従業員の残業時間を偽って記録していた。
  • タイムカードを打刻してからサービス残業を行うよう指示していた。

以上に挙げた行為を意図的に行うか、あるいは忠告を受けたにも関わらず続けていると、犯罪となります。勤務記録を偽造して本来よりも多くの賃金を不正に受け取っていた場合は「人を欺いて財物を交付させた」として詐欺罪に当たり、また、勤務記録を偽造して労働時間に相当する賃金を支払わなかった場合は労働基準法違反となります。

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タイムカード改ざんへの対処法

不正を未然に防ぐ

まずは不正をさせない仕組みを作ることが何よりも重要です。上記の事例も、不正を防止するためのシステム導入で十分に対応できる可能性があります。

  • 不正を働くことができないようにする
    最新の勤怠管理システムを用いれば、機械の不正操作をはじめとする詐欺を行うことが難しくなります。多種多様なシステムが開発されており、企業が発行しているICカードと連携するもの、個人のスマートフォンやタブレット端末からアプリを介して勤務時間を登録させるもの、生体認証で出勤・退勤を管理するもの等があります。このほかにも、職場で使用するパソコンと連動してログオン・ログオフを監視するシステムもあります。
  • 従業員の自制を促す
    システムをどれだけ強化しても、従業員がセキュリティの穴を掻い潜る可能性を完全に排除することはできません。不正を防止するためには、いざという時に企業側が使用することのできる物的証拠の存在を従業員に意識させることが有効です。例えば、監視カメラを職場に設置すれば、その映像が従業員の勤務の様子を克明に映した証拠となります。さらに、通勤ICカードを使えば従業員の公共交通機関の利用記録を調べることもできますし、駐車場に監視カメラや入退場記録システムを導入することもできるでしょう。

不正が発覚した際の対処

不正が発覚しているにもかかわらず、従業員に注意もせず対抗措置も取らない企業が多くあります。勤務記録の偽造が不正行為として厳重処罰の対象となり得ることを従業員に周知しておくことや、実際に不正が起きた際に忠告や勤務停止処分等の然るべき処罰を行うことが徹底されていない場合、企業が不正を行った従業員に対して出す懲戒解雇命令が、裁判において妥当とみなされない可能性があります。発覚した不正に対してしっかりとした処罰を行っておかないと、次の不正につながってしまうことも考えられます。以下のようなしっかりとした対処を講じ、不正は許さないという強い姿勢を企業内で徹底する必要があります。

  • 従業員と管理職の教育
    タイムカードの打刻し忘れが意図的に行われたものでない場合もあります。このようなミスが繰り返されて問題に発展しないためにも、タイムカードの手書きによる記入やタイムレコーダーの不必要な操作は社則違反であるということを従業員や管理職に教育しなければいけません。
  • 給与の返還請求
    従業員がはたらいた不正により企業が払い過ぎてしまった給与に関しては、不正が発覚すると同時に返還請求を行う必要があります。給与を容易にだまし取ることができる企業だという認識をさせないためにも、不正を行った従業員には返還請求その他の罰則を与えましょう。
  • 懲戒解雇
    従業員に不正をさせないための究極の手段が懲戒処分です。不正が発覚した従業員を懲戒解雇した前例を企業内で周知させておけば再発防止に役立つでしょう。前述のように、企業内で出勤・退勤の記録に関する規定が適切に運用されていて、なおかつ不正行為がなされた場合に当該の従業員に対する教育や然るべき処分を行っている企業において、意図的な不正が継続的に行われた場合は行為者に対する懲戒解雇が認められます。

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まとめ

今回はタイムカードの改ざんへの対処法について説明してきました。不正をさせないための仕組み作りと不正を許さない社風、不正を見つけた際の適切な対応のいずれもが重要です。現状不正が見逃されている場合は、速やかに社則や不正に対する処罰について周知し、不正に対する徹底した態度を明確にすることが必要です。その上で、不正を行った従業員には然るべき処罰を下すようにして、タイムカードの不正を防ぎましょう。

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