テレワーク中は勤務態度や勤務時間の把握が難しいため、人事評価が困難だという声が上がっています。ITツールを活用することでテレワーク中の勤怠管理が可能になり、適正な評価にもつながるでしょう。今回は、テレワークで生じる勤怠管理や人事評価の課題、テレワークに適した人事評価制度、テレワークで人事評価を適切に行うためのツールについて解説します。
目次
テレワーク導入の現状
総務省が公開している「テレワークの最新動向と総務省の政策展開」(2020年11月27日)によると、2020年3月以降の企業のテレワーク実施率は、17.6%(3月2日~8日)から56.4%(5月28日~6月9日)へ上昇しました。企業規模別の割合をみると、大企業は33.7%から83%へ、中小企業は14.1%から51.2%へとなっており、企業規模にかかわらず大幅に上昇したことがわかります。
一方、緊急事態宣言解除後には「テレワークを実施したもののとりやめた」という企業が多く、特に中小企業では実施をやめた企業がおよそ半数にのぼりました。その結果、2020年11月時点の本調査で「現在、実施している」を選択した大企業は55.2%、中小企業は26.2%となっています。
また、同じく総務省の公開している「令和元年通信利用動向調査」における、テレワークを導入している企業の業種別内訳は以下のとおりです。
業種 | テレワーク導入率 |
情報通信業 | 46.5% |
金融・保険業 | 40.7% |
不動産業 | 25.4% |
建設業 | 22.5% |
製造業 | 21.1% |
サービス業・その他 | 16.3% |
運送業・郵送業 | 11.7% |
テレワークの課題
このように、企業規模によってテレワークの実施率はそもそも異なり、また実施率は上昇後定着するとは限らず、情勢次第で変動することがわかります。さらに、業種によってもテレワークの導入有無に大きな違いがあるようです。
それでは、テレワーク実施率が相対的に低い中小企業や業種において、導入を阻む課題としてどのようなものがあるのでしょうか。以下では特に勤怠管理や人事評価に着目してみていきましょう。
勤務態度の評価が難しい
テレワーク実施時は、遠隔で働いている従業員の実際に働いている様子を、管理者が目視で確認できません。そのため、通常であれば勤務している姿や言動で判断できることであっても、業務上のやりとりなどからある程度推測せざるを得ず、勤務態度を正確に評価することが難しい傾向にあります。
テレワーカーを正当に評価するためには、企業がテレワーカーの評価方法を明確化し、本人にもあらかじめ評価項目を伝えておくことが重要です。そのほか、働いた時間に対する生産性も、勤務態度を評価するうえでのポイントです。
勤務時間の管理が難しい
勤務評価と同様に、現場で従業員の動きを直接確認できないテレワークでは、勤務時間の正確な管理も困難です。管理者が労働時間をきちんと管理しないと、「サボり」はもちろんのこと、成果を上げるために隠れて残業をして長時間労働に陥ってしまうリスクもあります。
労働時間を適切に管理するためには、勤怠管理システムを導入するのが有効です。併せて、始業・休憩・終業などの報告義務を課すなど、密なやりとりを仕組み化すると良いでしょう。
コミュニケーション不足に陥りやすい
現場であれば、ちょっとしたやりとりで業務上の問題を解消できたり、雑談をとおして信頼関係を構築できたりするものです。しかし、テレワークではこういったコミュニケーションの機会を持つことができず、業務上のやりづらさが生じる場合があります。また、従業員本人と直属の上司、人事担当者との間で密なやりとりができないことで、認識のずれが生じたり、評価プロセス自体が滞ってしまったりするリスクもあります。
こういった事態を避けるためには、電話やテレビ・Web会議ツールなどを活用して、テレワーク時のコミュニケーション量を担保することが重要です。
関連記事:
・【バックオフィス担当者必見】テレワーク導入・運用のいろは
・在宅勤務でのサボりを防止する方法まとめ
・労働時間の自己申告制はできない?テレワーク下での労働時間管理の方法を解説
・テレワークでの円滑なコミュニケーションに役立つ、おすすめツール5選!
テレワークに適した人事評価制度
目標管理制度(MBO)
従業員自身が目標設定・達成方法を考え、その成否を評価する制度です。自分で考えた目標や達成方法を上司に相談して、適宜サポートを受けます。評価する側は、事前に双方で合意している目標や達成方法をもとに評価を行うため、認識のずれが起きやすいテレワーク環境下であっても適正な評価をしやすくなります。
裁量労働制
勤務時間ではなく成果物で評価する制度で、業務プロセスや時間配分などを従業員自身が設定します。専門性が高い職種を対象とした「専門業務型裁量労働制」と、企画・立案・調査及び分析の業務に従事する従業員を対象とした「企画業務型裁量労働制」の2種類があり、実際の仕事ぶりを目で確かめることのできない環境でも、管理者は成果で従業員を評価できます。一方で、長時間労働やサービス残業のリスクも高まるため、定期的なヒアリングや健康診断など、従業員の心理的・身体的ケアにも気を配る必要があります。
テレワークで人事評価を適切に行うためのツール
勤怠管理システム「AKASHI」
ソニービズネットワークス株式会社が提供する勤怠管理システムです。AKASHIには、テレワーク環境に対応した機能が多数搭載されています。
例えば「テレワーク機能」では、従業員がマイページに打刻した当日の勤務状況を一つの画面で確認できます。また、労働時間をオンライン上で把握できるため、長時間残業などの迅速な対策も可能です。さらに、フレックスの進捗時間や直近の残業時間をグラフで表示させることにより、客観的な労働管理を容易に行えます。
そのほか「工数管理機能」によって、テレワークで把握しづらい業務の作業量や進捗の見える化も可能です。プロジェクト達成までの時間や人件費などから工数を算出し、「誰が」「どの仕事に」「どれくらい」携わっているのかを把握できるだけでなく、特定の従業員に偏りがちな業務を分散させ効率化を図れます。
さらにAKASHIは、他社のクラウドサービスとの連携も進めています。社内で既に使用しているツールと連携させれば、より利便性を高められるでしょう。
AKASHIの導入事例
飲食店の予約/顧客台帳サービスを運営する株式会社トレタでは、テレワークの導入に伴い、業務の見直しを行いました。それまで外注していた給与計算を内製化することになりましたが、その際に勤怠データの加工にトラブルが発生してしまいました。そこで、複数の勤怠管理システムを吟味した中、法改正への対応スピードや他社サービスとの連携の点からAKASHIをお選びいただきました。
労働条件の異なる従業員であっても勤怠の集計ができることや、打刻漏れなどのエラーがアラートによって削減できることによって、1ヶ月で約5時間もの工数削減につながったそうです。
まとめ
テレワークは勤怠管理や人事評価の面での難しさも抱えていますが、ニューノーマルの今の時代において柔軟な働き方を実現するためには、超えるべき壁だといえるでしょう。そのためには、従業員の意識を高めることと併せて、テレワークに適した評価制度やシステムを導入することが重要です。この記事を参考に、まずは自社に合う制度やツールの比較検討から始めてみてください。