2018年4月1日より、職場定着支援助成金や人事評価改善等助成金などが統合され、人材確保等支援助成金が設立されました。この制度は雇用管理の改善や生産性の向上といった取り組みにより、労働者の職場定着を促進することを目的としています。今回は、人材確保等支援助成金を構成する6つのコースの概要と、各コースの受給要件について解説していきます。
目次
厚生労働省は多様な人材の雇用が促進されるように、多様な人材を雇用する環境の整備を目指す事業者に対して助成金を支給しています。
これらの助成金のうち、2017年度までは「職場定着支援助成金」、「人事評価改善等助成金」、「建設労働者確保育成助成金」に分かれていた一部のコースが整理統合され、2018年度からは「人材確保等支援助成金」にまとめられました。支給の要件や金額などには、一部を除いて大きな変更はありません。この他、「設備改善等支援コース」がさらに創設されました。
この結果、2018年度からは様々な業種を対象にした6コースと、建設分野を対象にした3コースが設けられています。
2018年度から「人材確保等支援助成金」としていくつかの助成金が統合されたのに合わせて、支給基準にも大きく2つ変更がありました。
評価・処遇制度や研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度を整備する企業を支援する制度です。目標達成助成として57万円、生産性要件を満たせば72万円が支給されます。
介護労働者のために介護福祉機器の導入を行う企業を支援する制度です。助成対象となる介護福祉機器は立位補助機、非装着型移乗介助機器を含む移動・昇降用リフト、
装着型移乗介助機器、自動車用車いすリフト、エアーマット 、特殊浴槽、ストレッチャーです。非装着型移乗介助機器と装着型移乗介助機器は2018年度から新たに対象になりました。機器導入助成として支給対象経費の25%が、目標達成助成として20%(生産性要件を満たせば30%)が支給されます。ただし、どちらも150万円を上限とします。
介護労働者・保育労働者のための賃金制度の整備を行う企業を支援する制度です。職場定着支援助成金の「保育労働者雇用管理制度助成コース」と「介護労働者雇用管理制度助成コース」が統合されて設けられたコースです。制度整備助成として50万円が、目標達成助成として第1回に57万円、第2回に85.5万円(生産性要件を満たせば第1回72万円、第2回108万円)が支給されます。
事業主団体が中小企業の人材確保や労働者の職場定着を支援する制度です。人材確保や職場定着を目的に行った事業に要した経費の3分の2が支給されます。
生産性向上に資する人事評価制度と賃金制度を整備する企業への助成金制度です。制度整備助成として50万円が、目標達成助成として80万円が支給されます。
生産性向上に資する設備等を導入することにより、雇用管理改善(賃金アップ等)と生産性向上を図る企業を支援する制度です。「雇用管理改善計画期間1年タイプ」では
計画達成助成として50万円、上乗せ助成で80万円が支給され、「雇用管理改善計画期間3年タイプ」では計画達成助成として1回目に最大100万円、2回目に最大150万円が、目標達成時助成として最大200万円が支給されます。
建設分野に限定した人材確保等支援助成金は3コース用意されています。女性や若者が働きやすい環境を作ることを支援しているものがその中心です。
建設業の中小事業主が、雇用管理改善の導入・実施を通じて若年者及び女性の入職率に係る目標を達成すると支給される助成金です。また、事業者が雇用する登録基幹技能者の賃金テーブルもしくは資格手当を増額したりした場合にも支給されます。
建設業の事業主等が、若年及び女性労働者の入職や定着を図ることを目的とした事業を実施することを支援する助成金制度です。また女性や若者に対し建設工事における作業についての訓練を推進する活動を実施することも対象です。
建設業の中小事業主などが、東日本大震災被災地3県に所在する作業員宿舎、作業員施設、賃貸住宅を貸借する、もしくは自ら施工管理する建設工事現場に女性専用作業員施設を 貸借 するなど宿泊環境整備で支給される助成金です。
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職場定着支援助成金と人事評価改善等助成金は人材確保等支援助成金として統合されましたが、依然として多くのコースがあり、企業の状況によって利用できるコースは異なるので、しっかり要件を確認した上で助成金を有効活用するのが望ましいでしょう。
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