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職業能力評価基準を導入し、自社に合った人材を採用しましょう

少子高齢化による労働力不足が問題視されている昨今では、企業は自社のニーズに適合した職業能力を持つ人材を見極めることが重要です。そのための手段の1つとして、客観的な職業能力を測ることのできる職業能力評価基準の導入が挙げられます。今回は職業能力評価基準の概要と活用の方法について解説します。

職業能力評価基準の概要

職業能力評価基準とは

職業能力評価基準とは、国と業界団体の協力のもと制定された公的な職業能力の評価基準のことです。仕事をこなすために必要な「知識」と「技術・技能」に加えて、「成果につながる職務行動例(職務遂行能力)」が業種別、職種・職務別に整理され、客観的に職業能力を把握するのに有効な基準となっています。2002年の制度発足から、業種横断的な事務系職種のほか、電気機械器具製造業、ホテル業など、ものづくりからサービス業まで幅広い業種で職業能力評価基準が設けられています。その範囲は、2016年5月の時点で54業種275職種にまで広がっています。

このように幅広い業種・職種に対応した評価基準を国が制定することで、職業能力を測るための共通の尺度が成立しました。後に述べるように、企業はこの職業能力評価基準をさまざまな場面で活用することができます。また従業員にとっても、客観的な基準によって自らの能力を「見える化」することが可能となるため、自身のキャリア形成における指針として活用することができます。

職業能力評価基準の構成

職業能力評価基準では、仕事内容を「職種」→「職務」→「能力ユニット」→「能力細目」という順番で細分化します。

能力ユニットとは、効率的な業務遂行のために必要な職業能力を活動単位ごとにくくったものであり、当該の職種に共通して求められる能力に関する「共通能力ユニット」と、各職務の遂行のために固有に求められる能力である「選択能力ユニット」の2種類があります。能力ユニットの各単位は基本的に複数の能力細目から構成され、さらに能力細目の各項には、成果につながる具体的行動の例として「職務遂行のための基準」と、仕事をこなすために前提として求められる知識として「必要な知識」が設定されています。

企業において期待される責任・役割の範囲と難易度に応じて、職業能力評価基準ではレベル1から4までの能力段階を設定しています。このレベルごとに、能力ユニットの各単位における能力細目、職務遂行のための基準、および必要な知識の設定がなされています。後述する職業能力評価シートの表紙に記載されている各レベルの目安を参考に、被評価者がどのレベルに該当するのかを、本人と上司が相談して決定します。

 

職業能力評価基準の活用

職業能力評価基準は、さまざまな場面で活用することができます。以下では、4つの例をご紹介します。

人材育成/能力開発

企業内での人材育成制度の作成や改善に際して、職業能力評価基準を活用する事ができます。自社の従業員に身につけてもらいたい能力ユニットを絞り込めば、具体的にどのようなことができるようになり、どのような知識を得ればいいのかが自ずと明らかになるため、人材育成や能力開発における目標が明確化します。また既述のように、個々の従業員が自らの能力を伸ばす目的でも活用できます。

人事評価

企業内での人事制度の見直しや人事評価制度の整備において、評価および処遇決定の客観的な基準を設ける際に参考にすることができます。

採用

企業内で求められる人材像を職業能力評価基準に照らして明らかにすれば、自社の人材ニーズを職能要件として具体化し、人材戦略の計画と実施に活かすことが可能です。また採用において、求職活動や職業能力開発などで用いられるジョブ・カード制度を取り入れる場合に、職業能力評価基準を同制度における「モデル評価シート」として利用することができます。

検定試験

業界検定を構築する時や、検定のためのテキスト作成や講習を行う時に活用できます。実際に職業能力評価基準に準拠して制定された検定として、ビジネス・キャリア検定試験、スーパーマーケット検定、ホテル職業能力認定試験、ねじ製造技能検定試験棟などの例があります。

 

活用に際して利用できるツール

厚生労働省は、職業能力評価基準をもとに企業が人材育成に取り組むに当たって、より簡単に利用できるツールとして、「キャリアマップ」と「職業能力評価シート」を作成しています。両者をうまく使うことで、従業員に明確な目指すべきゴールを設定することができ、従業員の能力アップや育成によるモチベーションアップが期待できます。

  • キャリアマップ
    各業種の代表的な職種における能力開発の標準的な道筋を示したもので、キャリア形成の指針とすることができます。これを活用することで、企業は従業員に対してキャリアの方向性を示し、従業員はキャリアに関する目標意識を高めることができます。
  • 職業能力評価シート
    現在の能力レベルを把握するために作られたチェック形式の評価シートです。業務内容に応じた実践的な人材育成を行うことができます。従業員の現時点での能力を評価することで、現状の客観的な認識が可能となり、それに応じてOJTなどによる能力開発を行います。職業能力評価シートによる評価を定期的に行うことによって、従業員の能力を確実にステップアップさせていくことができます。

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まとめ

職業能力評価基準は、客観的に職業能力を評価する方法として国が制定している公的制度です。この基準に基づいたキャリアマップや職業能力評価シートを効果的に活用することで、企業は採用や人材育成をより客観的に行うことが可能となり、従業員自身も自分の職務能力を客観的に見つめ直し、今後のキャリア形成に役立てることができます。この機会に、ご利用を検討されてはいかがでしょうか。

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