法定外休暇である慶弔休暇は、従業員自身または親族の結婚や出産、葬式の際に特別に取得できる休暇のことを指します。慶弔休暇制度を導入する際には、ケース別に最大取得可能日数やお祝い金、慶弔見舞金などについて細かく言及しておく必要があります。今回は、慶弔休暇の概要と導入方法、一般的な日数、給料の有無、お祝い金や慶弔見舞金制度について解説していきます。
労働基準法では、年次有給休暇とともに産前産後休暇や介護・育児休暇、生理休暇、子供の看護休暇が定められています。したがって、これらの休暇は日本にある全ての企業に共通のものです。一方で、結婚式や、特に親族の葬式で休まなければならないことは多くあります。しかし、こうしたいわゆる「慶弔休暇」は法で定められておらず、各企業が就業規則等で規定しているのが現状です。
現在、正社員に対しては8割以上の企業が就業規則で慶弔休暇を認めていますが、パートタイム従業員を含めると未だ導入が充分に普及しているとは言えません。従業員が後ろめたい思いをせず、金銭的な損失を被ることもなく慶事、弔事に参加できるようにするためにも、就業規則での慶事休暇制度の導入は重要です。
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ほとんどの企業は就業規則において慶弔休暇制度を設けています。例えば厚生労働省のモデル就業規則では、以下のように記載されています。
第28条 労働者が申請した場合は、次のとおり慶弔休暇を与える。
このように、ケースごとによって休暇取得日数を分けることが多くなっています。また、この期間に無給とするか、有給とするか、さらにはお祝い金、見舞金等を設けるのかも、各企業によって異なってきます。以下では休暇日数の目安や給与、お祝い金や見舞金等についてそれぞれ詳しく説明します。
慶弔休暇は法的に定められたものではないため、各企業が自由に設定することが可能です。以下では例として、上記のモデル就業規則のケースごとの一般的な日数をご紹介します。
一般的にはこのような日数が多くなっています。また、企業によっては別途「遠縁の親族が死亡した場合」として1日程度の休暇を認めている場合もあります。
厚生労働省のモデル就業規則においては、「産前産後の休業期間、育児時間、生理休暇、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業期間、介護休業期間及び子の看護休暇期間、裁判員等のための休暇の期間、慶弔休暇、病気休暇、休職の期間を無給とするか有給とするかについては、各事業場において決め、就業規則に定めてください」との記載があります。つまり、慶弔休暇の際に無給とするか、有給とするかは各企業が就業規則で定める必要があります。
そして、モデル就業規則には「有給とする場合は、例えば『通常の賃金を支払う』、『基本給の○○%を支払う』とするなど、できるだけ具体的に定めてください」とも記されています。無給とする場合も含めて、こうした部分をしっかりと具体的に明文化しなければ後にトラブルのもととなることもありうるため、注意が必要です。
結婚の際のお祝い金や葬式の際のお見舞金もまた、各企業の裁量で決定する部分です。他の項目と同様に、就業規則での規定が必要となります。ここでは、休暇日数と同様に一般的なお祝い金・お見舞金の種類や金額について紹介します。
これはあくまで一般的なケースですが、このような種類と金額のお祝い金・お見舞金を支給している企業が多いようです。ただし、具体的な金額については就業規則等で明文化しないこともあるので、注意が必要です。
上でも述べたとおり、休暇日数はもちろんのこと、給与やお見舞金等についても具体的に設定してあることが必要となります。特に給与については具体的に設定しなかった場合トラブルのもとになる可能性もあります。また、制度が存在していても社内に周知できていなければ意味がありません。福利厚生の一環として、しっかりと社内周知を図る必要があります。
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慶弔休暇は、今や約8割もの企業が正社員に対して導入している制度です。もしこれから導入していく場合、上で述べたような項目について就業規則内で規定を設ける必要があるでしょう。従業員が慶事・弔事になく参加できるよう、今からでも導入されてみてはいかがでしょうか。
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