勤務間インターバル制度とは、勤務終了から次の勤務の開始時間まで一定の休息期間を設けるという制度です。従業員のライフワークバランスの改善はもちろん、その導入に取り組む中小企業には時間外労働改善助成金が支給されることからも注目を集めています。今回は、制度の概要と助成内容、助成を受ける方法について詳しく解説していきます。
勤務間インターバル制度とは、勤務終了時間から次の勤務開始時間までの間に、一定の連続的な休息時間を確保するというものです。一定の休息時間は、9時間以上が望ましいとされています。
たとえば企業が勤務間インターバルを11時間に設定したとしましょう。従業員が23時まで勤務をした場合、翌日の勤務は10時以降でなくては開始することができません。そうすることで、慢性的な長時間労働と残業による従業員の睡眠不足や、家に帰れない状態などを防止することができ、健康状態の改善やクオリティオブライフの向上にも効果があるとされています。また企業にとっても、勤務間インターバル制度の導入によって、社員を大切にするという自社の姿勢を従業員や外部へアピールできるというメリットがあります。
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勤務間インターバル制度を導入すると、厚生労働省から「時間外労働改善助成金」を受けることができます。交付申請の締め切りは、平成30年12月3日となっています。
この助成金は、中小企業・小規模事業主における過重労働防止や長時間労働防止のために、労働時間の設定の改善を推進することを目的としています。全5コースがあり、勤務間インターバル制度を導入した事業主には、その実施に要した費用の一部が助成されます。
たとえば、就業規則に「~時以降の残業および~時以前の始業を禁止する」という旨が記載されていれば勤務間インターバル制度を導入しているとみなされます。しかし、「~時以降の残業を禁止する」とだけ規定されているものなどは休息時間が確保されていないとされ、勤務間インターバル制度を導入しているとはみなされません。
次の3点を満たす事業主が支給対象となります。
時間外労働改善助成金は、勤務間インターバル制度の導入に要する諸費用を助成してくれます。具体的には、以下のような取り組みが支給の対象となります。
そのほかにもいくつかの取り組みが対象となります。
ここで具体例を1つ紹介すると、KDDI株式会社では勤怠管理システムの改修を行い、適切な休息時間が確保できていない従業員には警告メールが送られる仕組みにしました。このようなシステムの開発や導入に要する費用にも、この助成金を充てることができます。
前項に挙げた取り組みを行うにあたり、以下の3つのいずれかを目標として取り組むことが時間外労働改善助成金支給の条件とされています。
支給額は、基本的には対象となる取り組みに要した経費の合計額の4分の3になります。条件が揃うと5分の4の支給を受けることもできます。
ただし、以下のように勤務間インターバルの休息時間に応じた上限額が設定されており、上限を超えた場合は上限額の支給となります。
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今回は、勤務間インターバル制度について解説してきました。この制度を設けることで生産性の向上が期待されるので、企業にとってもメリットは大きいでしょう。助成金があるこの機会に、ぜひ勤務間インターバル制度の導入を検討してみてください。
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