企業は、在宅勤務の従業員に対しても安全配慮義務を負っています。出社している従業員と同様に、日々の健康状態を把握し、必要に応じて作業の転換、低減などの措置を講じなければなりません。今回は、安全配慮義務の概要や、在宅勤務者に対する安全配慮義務について解説します。また、在宅勤務者の健康・安全を管理するうえでのポイントやITツールを用いた健康管理方法を紹介します。
目次
安全配慮義務とは、従業員が安全かつ健康に労働できるようにするため、企業が負う義務のことです。労働契約法第5条には、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定められており、これが安全配慮義務の根拠とされています。労働者は、使用者の指定した場所において、使用者が用意した設備や道具を用いて労働に従事します。そのため、労働契約上の付随的義務として、使用者は労働者を業務上発生する危険から保護しなければならないと考えられているのです。
労働者がケガをしたり疾病にかかったりした場合、企業が安全配慮義務違反となるのはどのようなときでしょうか。安全配慮義務違反については、「従業員の心身の健康を害することを会社が予測できた可能性(予見可能性)」と、「それを会社として回避する義務を果たしたかどうか(結果回避義務)」について、効果的な対策を講じていたかどうかで判断されます。そのため、長時間労働や劣悪な環境の放置や、リスクを知りながら何も対策しないことは、重大な違法行為につながりかねないのです。
安全配慮義務で防止すべき危険な状況には、危険な作業や有害物質への対策のほか、メンタルヘルスの不調が発生する状況も含まれると解釈されています。メンタルヘルス不調はさまざまな事故の原因になるばかりか、最悪の場合従業員の自殺にもつながる可能性があります。企業は、従業員のメンタル状況を定期的に把握し、状況に応じた個別のケアをしなければなりません。具体的には、労働時間や業務負荷、人間関係によって、従業員が過度のストレスを抱えていないか常に気にかけることが大切です。また、急な休みや仕事のミスが増えるなど、気になる点が見られる従業員には、個別の面談を行ったり、休暇を取らせたりするなど、重症化する前に対策を講じる必要があります。
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企業の安全配慮義務は、従業員が在宅勤務中であっても免除される訳ではありません。しかし、在宅勤務では、企業が従業員の働いている様子を確認できません。そのため、在宅勤務中の従業員に対する安全配慮義務を果たすためには、ITツールを活用するなど工夫が必要です。
特に、在宅勤務は、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすいため、管理者が知らないうちに長時間労働になってしまうケースが少なくありません。労務管理システムを導入するなど、従業員の労働時間を管理する体制を構築しましょう。また、コミュニケーション不足や孤独感からメンタルヘルス不調に陥る場合も多いため、チャットツールなどを使って積極的に交流を図る必要があるでしょう。
在宅勤務中の従業員の健康管理は、ITツールが便利です。在宅勤務をしている従業員の健康状態が把握できる機能が搭載されているものが良いでしょう。おすすめのITツールを以下で紹介します。
AKASHIは、クラウドを利用した勤怠管理システムです。クラウド上の管理によって従業員の勤務状況がリアルタイムで把握できるため、在宅勤務時の労働量の調整も可能です。また、業務工数がグラフや表で表示されるため、特定の従業員に業務が偏る心配もありません。なお、AKSHIは、ユーザーの要望を受けたアップデートを定期的に行っています。他社ツールとの連携も進めており、社内ですでに使用しているツールとの併用も行えるようになるでしょう。
料金プランは3パターンあり、試験運用に適した最低限の機能が備わったプランや、必要機能をすべて取りそろえたプランまで用意されています。さらに、チャットや動画、オンラインマニュアルなどのサポートも充実しているため、導入前後に手間取る心配もありません。
somu-lier toolは、テレワーク中の従業員の健康状態を管理できる、無料のクラウド型勤務支援ツールです。コロナ禍において、従業員の健康状態を常に把握することは非常に重要で、体調が思わしくない従業員に声をかけたり、休暇を取らせたりといった判断が即時に行えます。
また、問診機能によってメンタルの不調についても把握できるため、テレワーク下においても、従業員が安心して心身ともに健康に働く環境づくりに役立ちます。
企業による法令遵守が重視される昨今、安全配慮義務について知らないという企業経営者はいないといっても過言ではないでしょう。しかし、それでも労働災害は完全に防げていません。特に、メンタルヘルスの不調など、外からは見えにくい病気は、重篤化するまで周囲の人も気付かない可能性があります。在宅勤務者が増加している現在、より一層の注意が必要です。従業員の健康的な働き方を実現するため、より良い職場環境を構築していきましょう。
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