事業の縮小・廃業・転換は、時として企業が生き残っていく上で避けては通れない転換点となります。これらに伴い30人以上の離職者が発生する場合、事業主には再就職援助計画を提出する義務があり、提出によって再就職援助と雇い入れの際の助成金申請が可能になります。今回は、再就職援助計画の手続きの概要と、再就職援助計画に関連した助成金について解説します。
再就職援助計画とは、厚生労働省による労働者の再就職支援のための制度の1つです。経済的な理由により、1つの事業所につき1ヵ月に30人以上の労働者を離職させざるをえない場合、最初の労働者が離職する日の1ヵ月前までに作成しなければなりません。また、離職者が30人未満の場合でも、再就職援助計画の書類は必要事項を記載した上で公共職業安定所(ハローワーク)の所長へ提出し、承認を受けることで任意で作成できます。労働者の再就職を支援する措置を行い、一定の要件を満たした場合は労働移動支援助成金の受給を申請することができます。助成金の支給額は適用されるコースにより異なります。
助成を受取る場合の計画作成が必須となる場合は以下の4ケースです。
ハローワークに提出すべき書類は、再就職援助計画、別紙1と呼ばれる事業規模の縮小等に関する資料、別紙2と呼ばれる計画対象労働者に関する一覧の3種類です。
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再就職援助計画を作成した場合は再就職援助コースを利用でき、また再就職援助計画の対象となる労働者を受け入れる場合は早期雇入れ支援コースと人材育成支援コースを利用できます。それでは以下、助成の種類をコース毎に説明していきます。
再就職援助計画の対象者を離職後3ヵ月以内に雇用し、かつその雇用が無期で持続的な場合、雇用から6ヵ月後に1人につき通常30万円が雇い入れた企業に給付されます。ある程度の成長性が見込まれる企業が、上述の特例対象者を雇用した場合、優遇助成として1人につき80万円に増額されます。さらに、優遇助成の条件を満たしてかつ雇用した日から1年後に対象者の賃金の2%以上上昇した場合、1人につき100万円に増額されます。
本来は、再就職援助計画の対象者を離職後1年以内に無期で雇用し訓練(Off-JTのみまたはOff-JTとOJT)を行った事業主に対して支給がなされるコースですが、平成30年3月31日をもって廃止されます。
再就職援助計画とよく似た性格の書類として、大量雇用変動届出があります。どちらも雇用対策法に基づき、1ヶ月以内に30人以上の離職者が見込まれる場合に作成が義務付けられ、提出先も同じです。両者の違いは、再就職援助計画が事業の縮小等の経済的理由によって離職者を出す場合に提出が求められるのに対し、大量雇用変動届出は離職者が出る理由を限定していないという点です。したがって、再就職援助計画の提出者は大量雇用変動届出を出した者と同等に扱われますが、その逆は成立しません。他にも、大量雇用変動届出は労働組合等の意見を必要としないなど細かい点での差異が存在しますが、最も重要な違いは、労働移動支援助成金が申請できるのは再就職援助計画を提出した事業主に限られるということです。
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再就職を巡る援助の制度には様々なものがありますが、そのなかでも再就職援助計画は条件が比較的易しく設定されているため、利用できる場面が多く存在する傾向にあります。知らずに損しないためにも、正確にその内容を把握しておくことが重要だと言えるでしょう。
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