玉突き人事とは?メリット・デメリットと、トラブルの対策を解説

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公開日:2023.7.5

玉突き人事とは、組織内で急な人事異動や配置転換が行われることを指します。このような人事の突発的な変動は、組織や従業員にさまざまな影響を及ぼすことがあります。メリットとしては、組織の柔軟性や即応性の向上、人材の能力開発の促進などが挙げられます。しかし、デメリットとしては、従業員の不安や不満の増加、業務の一時的な混乱などがあります。トラブルを避けるためには、玉突き人事の適切な計画とコミュニケーションが重要です。今回は、玉突き人事の原因、メリットとデメリット、トラブルの対策方法について解説します。

玉突き人事とは

組織内で急に行われる人事異動

玉突き人事とは、欠員となったポストに人材を補充するため、組織内で急に行われる人事異動や配置転換です。計画的・戦略的に人員配置を行っている会社であっても、従業員の急な退職や社会情勢の変化、深刻な人手不足などにより、やむを得ず玉突き人事が行われることもあることでしょう。計画的な戦略人事とは対極の、場当たり的な玉突き人事は、ネガティブに捉えられがちです。しかし、しっかりとした対策を行った上で実施すれば、労使双方にとって一定のメリットがあります。

玉突き人事の原因

そもそも玉突き人事とは、ビリヤードの玉のように、1つの玉が別の玉に次々とぶつかり移動していく様子から名付けられた人事手法です。空いたポストを埋めるため人事異動が行われ、さらに異動によって空いたポジションを埋めるために次々と人事異動が繰り返されます。玉突き人事が行われる最もポピュラーな原因は、会社が想定していない従業員の急な退職です。従業員の退職以外では、問題を抱えた部署・部門の廃止や再生、従業員の不正防止のために、あえて玉突き人事が行われる場合もあります。

ジョブローテーションとの違い

玉突き人事は、急な欠員や深刻な人手不足の影響で突発的に行われる人事異動です。通常の人事異動は、従業員の能力や適性、キャリアパス等を考慮し、計画的・戦略的に実施されます。また、似たような人事手法であるジョブローテーションは、あえて本来の業務とは関係のない部署・部門に異動させ、全社的な視点を身に付けさせるための戦略的な配置転換です。ジョブローテーションは人材育成に重きを置いており、場当たり的な玉突き人事とは全く異なる人事手法なので、混同しないようにしましょう。

   

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玉突き人事のメリット・デメリット

メリット

ネガティブに捉えられがちな玉突き人事ですが、一定のメリットも存在します。具体的には、迅速な人手不足の解消、業務の見直しや改善、従業員の不正防止などです。毎回新規採用によって欠員を補充していると、膨大なコストや時間がかかります。しかし、玉突き人事であれば経歴や人柄を把握した人材を低コスト・低リスクで人員補充可能です。また、急な玉突き人事では未経験のポストに配置されることも多いため、引き継ぎによって属人的な業務を見直し、改善を行うこともできます。さらに、玉突き人事によって社内の流動性が高まることで、従業員の不正を未然に防ぐことも可能です。

デメリット

一方、玉突き人事のデメリットは、従業員のモチベーション低下、離職率の増加、生産性の低下などです。玉突き人事は従業員のキャリアパスなどを考慮せず、会社の都合で場当たり的に行われるため、従業員のモチベーション低下につながりかねません。従業員の都合を考慮しない会社の姿勢は、対象者だけでなく他の従業員のモチベーションをも低下させ、離職率の増加につながります。さらに、玉突き人事によって経験のないポストに配置転換されることで、ミスマッチが生じて生産性が低下する恐れもあるでしょう。玉突き人事を行う場合は、このようなリスクに配慮することが重要です。

   

玉突き人事のトラブル対策方法

就業規則を確認する

玉突き人事を行う場合は、会社や職場のルールを定めた就業規則に人事異動について規定されていることを確認しましょう。人事異動に関する規定がある場合は、配属先の範囲もあわせて確認することが重要です。例えば、一般職は県内のみ異動可能、総合職は国内であれば異動可能などの規定がある場合は、それに従い適切に配置転換を行ってください。特に、転勤が伴う玉突き人事は離職リスクが高まるため、慎重な判断と十分な説明が必要です。

対象者のスキルや経験を考慮する

対象者のスキルや経験を考慮し、異動後の部署・部門で滞りなく業務を遂行できる人材を配置するようにしましょう。ただし、十分なスキルや経験を有していても、現在の部署・部門におけるキャリアプランが明確にあり、資格取得を始めとした自己研鑽を行っている人材を異動させてしまうと、本人のモチベーションが大きく低下する恐れがあります。玉突き人事を行う場合は対象者のキャリアプランを事前に把握し、本人の希望と乖離の少ないポストに配置することが重要です。

本人から理解を得られる説明をする

会社の都合で玉突き人事を行う場合は、本人の理解が得られるよう丁寧に説明する必要があります。十分な説明がないまま会社の都合のみで配置転換を行ってしまうと、本人の士気が低下し、後々何らかのトラブルに発展する恐れもあるでしょう。元の部署・部門には当該従業員を配置転換して問題がないか、異動先の部署・部門にはどのような経歴を持った人材が配置されるのかを事前に説明してください。経験のない部署・部門に配置転換する場合は、丁寧に人材育成することもあわせて確認しましょう。急な玉突き人事は、対象者だけでなく部署・部門間にも大きな負担となるため、しっかりと説明した上で進めることが重要です。

   

まとめ

今回は玉突き人事について解説しました。玉突き人事とは、欠員となったポストに人材を補充するため、組織内で急遽行われる人事異動や配置転換です。計画的・戦略的に人員配置を行っている会社でも、従業員の急な退職などによって行われるケースがあります。会社都合の場当たり的な玉突き人事は、ネガティブに捉えられることも多い人事手法ですが、対策を行った上で実施すれば一定のメリットがあるのも事実です。不慮の事態で玉突き人事を行わなければならないこともあるため、当記事でご紹介したトラブル対策方法などを参考に、急な玉突き人事に備えましょう。

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