ピアボーナスとは、従来のインセンティブとは異なり、社員同士がそれぞれの成果や功績に対し、ボーナスとして報酬や独自のポイントを送りあえる成果給システムのことを指します。ピアボーナスを導入することで、表面化しにくい些細な貢献も評価することができ、社員のモチベーションアップや人事評価制度の改善に繋がります。今回は、ピアボーナスを導入する意義や事例について紹介していきます。
目次
ピアボーナスとは、社員同士がそれぞれの成果や功績をお互いに評価しあって、その評価に基づいてボーナスとして報酬が支給される成果給システムのことです。従来のインセンティブと異なるのは、上司ではなく似たような立場の社員がお互いの仕事ぶりを評価したものに基づいて決定されることです。
ここでのボーナスは、必ずしも従来の給与体系の中での金銭的な報酬である必要はなく、独自のポイントを付与するというような形も考えられます。なお、ピアボーナスの「ピア」は、同僚や仲間を意味します。
チームでの作業の場合、その外にいる上司が個々のメンバーの貢献を測定し、それに基づいてインセンティブを付与することは容易ではありません。しかし、チームメンバーに互いに評価させることができれば、それぞれの評価をある程度明らかにすることができます。これに基づいたインセンティブを設定すれば、結果として個々人がチームに貢献するモチベーションを上げることができます。
ピアボーナスは互いの仕事への評価に基づくので、他人を評価することや自分が評価されるというプロセスの中で、同僚の仕事に関心を持つようになります。お互いの仕事について知ろうとすることから、結果として職場のコミュニュケーションが増加することが期待できます。このように、ピアボーナスは組織活性化にも有効です。
ピアボーナスのような新しい制度を導入していると、求職者には風通しのいい企業、働きやすい企業という印象を与えます。さらに、ピアボーナスのような多くの社員を主体的に巻き込む制度は、印象に残りやすいものとして転職口コミサイトにもコメントとして掲載されやすく、より広く求職者にアピールできる可能性が高くなります。
ピアボーナス導入においては、何を評価すればいいのかを社員に明確に示すことが重要です。評価の基準を明確にすることで、それぞれの社員が一定以上の客観性を持って同僚を評価することができ、評価された社員も納得感を持つことができます。
何を評価するかを設定するためには、その前に企業の行動指針をはっきりさせておく必要があります。その土台となるのは企業のビジョンや目指す姿であり、ピアボーナス導入を機会に、このような企業の根幹的な理念を改めて社員に十分理解してもらうようにしましょう。
インセンティブを金銭による報酬ではなく、ギフトカードやポイントなどによって付与する場合は十分な注意が必要です。というのは、ギフトカードやポイントは使われないまま放置され、使用期限を過ぎて無駄になってしまうことがよくあるからです。導入前に社員から幅広くヒアリングを行ってニーズを把握し、どのようなものならインセンティブとなるのかを明らかにしましょう。
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フリマアプリ大手のメルカリは、「mertip(メルチップ)」という名称でピアボーナスを導入しています。主体的な活躍によって組織のダイナミックさを支える社員に対して、リアルタイムで感謝を伝えるツールとして2017年9月から運用されています。
Fringe81社のUniposというサービスを利用し、社員1人あたり週に400ポイントを贈り合うことができます。必ずしも仕事に関する感謝である必要はなく、誕生日のお祝いにも使えるなど、単純なインセンティブとしてだけではなくコミュニュケーションツールとして幅広く使われるよう設計されています。
medibaは、モバイル業界において企業とユーザーをつなぐサービスを提供している企業で、同社の代表的サービスとしてはKDDIが提供するauスマートパスが知られています。medibaでは、2018年8月より新たな社内制度としてCREPOと呼ばれるピアボーナスを導入しました。全ての社員に1週間につき400ポイントが付与され、同社の理念に沿った行動を取った同僚に対して感謝の念を覚えた時にCREPOを送るように社内で定められています。1ポイントは3円に換算され、取得ポイントは翌月の給与に追加される形で支給されます。このようなピアボーナスによるポイントの取得によって、企業の行動指針やビジョンの共有が進むことが期待されます。
ピアボーナスは、チーム貢献へのモチベーション向上やコミュニュケーション機会の増加などのメリットが見込まれ、すでにいくつかの企業では導入されています。ピアボーナス導入のためには、制度の土台として企業のビジョンを見つめ直し、広げていくことも必要となり、導入は簡単ではありませんが、だからこそ大きな効果をもたらすと言えるでしょう。
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