課題先進国である日本で、嘱託社員の採用は現在ますます注目を浴びています。法律上、嘱託社員は契約社員等と同様の非正規雇用とされますが、一般的には定年後に待遇を変えて再雇用される社員を指します。日本の少子高齢化が進む中で、大企業を中心にこの制度の活用が拡大しています。今回の記事では嘱託社員について、他の雇用形態との違いや、契約で定めるべき待遇を解説していきます。
嘱託社員とは、有期の労働契約で雇用される非正規雇用の1形態です。明確な定義は存在しないため、同じ嘱託社員と言っても企業の採用条件や待遇によって大きく異なります。医師などの特別な技能を理由に仕事を依頼されることもありますが、多くの場合は定年退職後の再就職で有機雇用契約を交わした社員を指します。
契約社員と嘱託社員はともに法的な定義があるわけではありません。そのため、両者の使い分けは各企業が定める就業規則や雇用契約の内容によります。一般論として違う点があるとすれば、それは労働時間になります。契約社員が大抵の場合フルタイムであるのに比べ、嘱託社員は非常勤や臨時など比較的短い労働時間になることも多いです。
嘱託社員と聞くと、通常の正社員よりも給与の条件面ではるかに劣ると思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。それはひとえに契約の内容次第です。一般的に嘱託社員の基本給は正社員の基本給を基準にして何割と定められ、ボーナスが出る場合もあります。退職金は基本的にありませんが、それ以外の点では正社員とほぼ同様の条件で働けるというケースもあります。また、一定の雇用期間や労働時間の条件を満たせば、正社員と同様に社会保険に加入することもできます。
実際に嘱託社員を雇用する際には、以下のような労働条件上の原則に留意しておく必要があります。
2021年4月1日、高年齢者雇用安定法が改正されました。2021年の改正以前は、60歳未満の定年禁止に加え、定年を65歳未満に設定している企業は、以下のような措置を講ずる必要がありました。
その後、2021年の改正によってこれらの65歳までの雇用確保(義務)に加え、定年年齢を65歳以上70歳未満に定めている企業または、継続雇用制度を導入する企業は、以下のような措置を講ずる努力義務が新設されました。
継続雇用制度には、主に再雇用制度と勤務延長制度の二種類があり、それぞれ以下のような内容となります。
それぞれの相違点は契約内容にあり、再雇用では新たな雇用契約を結ぶため、これまでと異なる業務内容や労働時間で従事させることも可能です。
参考元:
高年齢者雇用安定法 改正の概要
関連記事:
・徹底解説!パートタイム労働法
・労働契約法改正!5年以上働くと無期労働契約が可能に
嘱託社員は給与面ではやや正社員には劣ることが多いですが、人によってはメリットもあります。
一般的に以下の2つのデメリットがあると言われています。
少子高齢化が進む日本では、今や人生100年時代とも言われています。嘱託社員は働きやすい環境で、なおかつ比較的いい条件で働くことが可能です。ただ、自分の考えていなかった環境ではなかったと後悔しないよう、雇用される前に雇用条件を確認することが重要です。定年後の方は、ぜひこの機会に嘱託社員としての再雇用を検討してみてはいかがでしょうか。
This website uses cookies.