中途採用等支援助成金とは、従業員の中途採用を行った企業に対して支給される助成金です。中途採用等支援助成金は支給条件が厳しくないことから、支給の対象となっている場合が多くあります。しかし、事業内容や施策によって2つのコースに分かれているため、どのコースに当てはまっているかの確認が必要です。今回は中途採用等支援助成金の内容、2つのコースや支給条件、支給を確実に受けるためのポイントについて解説します。
目次
中途採用等支援助成金とは、中途採用による雇用創出に対して支給される助成金です。日本では少子化高齢化の影響もあり、新卒での人材確保は年々難しくなっています。少しでも人手不足を解消しようと、中途採用を活用して雇用強化に取り組む企業が増えています。中途採用等支援助成金は、そうした中途採用の雇用を促進する中小企業のために創立された助成金制度なのです。
中途採用等支援助成金を活用するメリットには何があるでしょうか。主な魅力をまとめてみました。
中途採用の取り組みが助成対象として認められれば、一定の資金が得られるため事業を有利に進められます。優秀な中途採用の人材を確保するためには手間やコストがかかりますが、中途採用等支援助成金を活用すればハードルが下がります。既存サービスの補強や新規事業の拡大など、企業が前向きな取り組みを実施しやすくなるのです。
中途採用の考え方についても整理しておきましょう。中途採用とは、既に就業経験がある人材を企業が採用することを指します。採用対象の人材はキャリアを持った方、第二新卒、正社員経験がない方などさまざまです。中途採用を行う時期は決まっておらず、企業が必要とするタイミングで募集が始まります。企業としては人材不足などを解消するために、即戦力として中途採用を活用するケースが広がっています。
中途採用等支援助成金には2つのコースが用意されています。それぞれの助成内容や受給要件を確認して制度を活用しましょう。なお、生涯現役起業支援コースは令和4年3月31日で廃止されているのでご注意ください。
中途採用者の雇用管理制度を整備し、中途採用の拡大を図った場合に助成されるコースです。また、一定期間後に生産性の向上が認められる場合には追加で助成を受けられます。
1:対象となる労働者の要件
2:助成対象の取り組み
3:助成額
企業が実施した取り組みごとに以下の金額が助成されます。このほか、一定期間後に生産性が向上していた場合には割増助成も用意されています。
取り組み内容 | 助成額 |
中途採用率を20ポイント以上向上させた場合 | 50万円 (初めて中途採用を行う場合は10万円が追加) |
中途採用率を40ポイント以上向上させた場合 | 70万円 (初めて中途採用を行う場合は10万円が追加) |
45歳以上の方の初採用 | 60万円または70万円 (60歳以上の場合に70万円を支給) |
情報公表と中途採用者数の拡大 | 30万円 (対象者が1年定着した場合は更に20万円) |
なお、中途採用率の拡大のポイントは、「中途採用計画期間終了時の中途採用率」と「中途採用計画開始日の前日から過去3年間の中途採用率」から算出できます。詳しくは、厚生労働省のホームページを確認しましょう。
東京圏からの移住者を雇い入れた企業に対して、採用活動の経費の一部が助成されるコースです。
1:対象となる労働者の要件
2:助成の対象となる経費
3:助成額
上記の助成対象経費の合計額に、助成率を乗じた額が支給されます。
助成率 | 上限額 | |
中小企業 | 1/2 | 100万円 |
中小企業以外 | 1/3 | 100万円 |
中途採用等支援助成金を申請するための計画書は、丁寧に作成しましょう。計画書は助成金の判断基準となるだけでなく、企業で中途採用を行なっていくための行動指針でもあります。分かりやすく中途採用の計画が伝わるよう、具体的に記載しましょう。また、申請した計画書に修正が発生すると、変更理由や修正計画の確実性などが追及され手続きが煩雑になります。助成金の受給をスムーズに進めるためにも、最初に申請した計画書の完成度を高めましょう。
計画書を作成できたら、プランを達成できるように中途採用を進めましょう。計画書の内容と企業の活動の実態が一致していなければ、助成金は支給されません。計画書の作成だけで安心せずに、プランを実現させるための取り組みを行いましょう。また、計画書では中途採用の実施期間も定められています。スケジュールの把握や管理を徹底して、中途採用を進めていかなくてはなりません。掲げた目標を達成できるように、計画的に中途採用を実施しましょう。
中途採用等支援助成金の申請は手間のかかる作業です。既にお伝えしたように要件は細かく設定されているため、中途採用等支援助成金を申請できるのか判断に迷ってしまうケースも珍しくありません。また、業務が忙しく関連書類を作成する時間がなかなか確保できずに困っている企業も目立ちます。そうした際は社会保険労務士などの専門家の力を借りてみましょう。専門家に相談できれば、企業の現状を整理して適切なサポートを受けられます。さらに、中途採用等支援助成金だけでなく、関連する助成金についての総合的なアドバイスも聞けます。
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昔ながらの終身雇用という考え方は変わってきており、中途採用などを活用した人材の流動性は高まっています。働き方の多様性も尊重されており、自分らしく活躍できる職場を探している方も少なくありません。企業としても優秀な人材を確保して競争力を強化するためにも、中途採用を積極的に行うケースが増えています。人材の採用活動は時間も手間もかかりますが、中途採用等支援助成金を有効に利用できれば企業の負担を軽減できます。制度の仕組みや支給要件を正しく理解して、企業の中途採用を促進させましょう。
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