マネジメントサイクルとは、業務を効率的に行うための管理手法です。マネジメントサイクルを上手く回すことで組織のパフォーマンスが向上し、企業の成長につながります。PDCAサイクルは有名なので知っている方も多いかもしれませんが、それ以外にもさまざまな種類のマネジメントサイクルが存在します。また、マネジメントサイクルは汎用性が高く、業種や企業規模を問わず役に立ちます。今回は、マネジメントサイクルについて、6種類のサイクル、サイクルを回す際のポイント、そして有名企業の活用事例を解説します。
目次
マネジメントサイクルが企業で活用されている
マネジメントサイクルとは
マネジメントサイクルは、企業や組織が目的の達成に向けて業務を効率的に進めるための枠組みです。マネジメントサイクルの特徴として、計画を立てて実行し改善するという一連の流れが挙げられます。こうした活動は単発で実行するのではなく、長期的に継続することによって成果を発揮します。
マネジメントサイクルを上手に活用すると、サービスの品質や生産性の向上などさまざまな効果が見込めます。加えて、従業員のモチベーションアップも期待できるため、人材流出の防止策としても有効です。代表例としてPDCAサイクルが挙げられますが、ほかにも色々な種類のマネジメントサイクルがあります。
マネジメントサイクルを回す際のポイント
マネジメントサイクルを回す際、共通して大切にしたいポイントは以下の4つです。
- 目標を明確に設定する
そもそも目標が曖昧だと、内容が抽象的になってしまいマネジメントサイクルを上手に回せません。「数値化する」「期限を設定する」などの明確な目標設定を心がけましょう。 - 客観的な評価を行う
評価は主観的ではなく客観的に行うように意識しましょう。データに基づいて評価すると、客観的に物事を判断できます。 - 原因を突き止める
評価のステップでは原因に向き合いましょう。結果が生まれた原因をさまざまな角度から分析することで改善につなげられます。 - マネジメントサイクルを継続する
行動を改良して継続することが成功の近道です。1度の結果に左右されずに継続してマネジメントサイクルを回しましょう。
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代表的なマネジメントサイクルの種類
PDCAサイクル
PDCAサイクルはマネジメントサイクルで最も広く知られている手法です。PDCAサイクルでは以下の4つの工程を行います。
- Plan:計画
- Do:実行
- Check:評価
- Action:改善
PDCAサイクルは業務改善を目的として多くの企業で活用されています。4つの工程を順に繰り返し行うことで、継続的な業務改善を促せます。
OODAループ
OODAループはPDCAサイクルと比較すると計画の工程がなく、状況への即応性に優れる手法です。OODAループは以下の4つの工程を行います。
- Observe:観察
- Orient:判断
- Decide:意思決定
- Act:実行
変化の早い昨今のビジネス環境において、OODAループ好機を逃さないために重要な手法として広く活用されています。元々はアメリカ空軍で勝率を高めるために用いられていましたが、汎用性の高さからさまざまな企業で取り入れられるようになりました。
CAPDサイクル
CAPDサイクルはPDCAサイクルの順番を入れ替えた手法で、以下の4つの工程を行います。
- Check:評価
- Action:改善
- Plan:計画
- Do:実行
PlanではなくCheckの工程を行うことがCAPDサイクルの特徴です。まずやってみるという姿勢を重視する手法で、スピード感と計画性のバランスが求められます。
PDRサイクル
PDRサイクルはPDCAサイクルに比べて1回のスパンが短い手法で、以下の3つの工程を行います。
- Preparation:準備
- Do:実行
- Review:評価
計画に工数を割くのではなく、小さな実行を何度も繰り返し行います。スピード重視のマネジメントサイクルで、準備ができたらすぐに実行に移せる手法です。
PDSサイクル
PDSサイクルでは以下の3つの工程を行います。
- Plan:計画
- Do:実行
- See:評価と見直し
PDCAサイクルとの違いはCheckとActionの工程がSeeに集約されている点です。PDRサイクルと同様に短いスパンでサイクルを回せるので、短期的な目標やコンパクトな業務改善を行う際に適しています。
STPDサイクル
STPDサイクルでは以下の4つの工程を行います。
- See:現状把握
- Think:分析
- Plan:計画
- Do:実行
計画にたどり着くまでの過程に重きをおいたマネジメントサイクルです。長期的だったり投資金額が大きかったりするプロジェクトの実行に適しているとされています。生産管理・品質管理・プロジェクト管理などのさまざまな管理業務に用いられています。
マネジメントサイクルの活用事例
富士通株式会社
富士通株式会社は製品の品質改善運動としてQfinity運動に取り組んでおり、その具体的な手法として採用されているのがPDCAサイクルです。独自の取り組みとして、本来Pの一部である目標をより明確に意識するために、Target(目標)を加えたT-PDCAサイクルが導入されています。
まずPlanの工程では、できる条件を優先して考察し活動テーマとして設定します。次にDoの工程では、どうすれば前進できるかを優先して活動し完成度を高めます。そしてCheckで活動結果を現場・現物・現実の3現主義の観点で分析し、Actionで課題を絞って次の活動テーマを設定します。このように、成果を早く出して次の改善へと結びつける仕組みによってさまざまな業務の品質が改善されているのです。
株式会社良品計画
無印良品やMUJIブランドの企画開発や販売などを行っている株式会社良品計画では、独自のPDCAサイクルを取り入れています。PDCAサイクルだからといってPlanから始める必要はなく、危機的な状況の際には行動を重視するそうです。つまり、Doから始めてPDCAサイクルを回すのです。具体的には、まず目の前のやるべきタスクを処理してCheckやActionに進み、少し落ち着いたらPlanを行う流れでさまざまな業務改善を行っています。
ソフトバンクグループ株式会社
ソフトバンクグループ株式会社では働き方として超高速PDCAサイクルが採用されています。ソフトバンク独自のPDCAサイクルの特徴は以下のとおりです。
- 1ヶ月や毎日などの短期の目標がある
- 複数の製品・広告・アイデアを同時に実行して試す
- 毎日数字で結果を検証する
- 一番売れる製品に集中する
このように、入念な計画よりも考えられる方法を同時に試して結果を検証しています。検証のなかで数字からも実証された最善の方法を推進して業務を進めているのです。
まとめ
PDCAサイクルに代表されるマネジメントサイクルは、多くの企業で導入されさまざまな成果を出してきました。業務改善で頭を悩ます企業を助ける解決策として、マネジメントサイクルが幅広く採用されてきたのです。マネジメントサイクルには色々な手法があり、状況に応じて使い分けられます。ただし、どのような方法でも長期的に考えることが大切です。繰り返しマネジメントサイクルを行って、企業の業務改善を計画的に進めましょう。