事務用機械やIT関連機器等の資産を導入する際に利用されるリース取引は、初期費用を必要としない点や、経理業務の負担を軽減できる等の特徴があることから広く運用されています。しかしリース取引はその範囲に応じて会計処理方法が異なるため、リース取引をうまく活用するには、その特徴を捉える必要があります。今回は、リース取引の具体的な種類とメリット・デメリットや、会計処理方法について解説していきます。
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リース取引とは、リース会社(貸手)が、設備を導入したい会社(借手)の代わりに固定資産(リース物件)を購入し、その設備を賃貸する取引です。借手は合意された期間、合意された使用料を支払い、リース物件を使用する権利を得ることとなります。ただし、あくまでリース物件の所有権はリース会社のままであることが特徴です。
リース資産は、IT関連機器、事務用機械、産業・工作用機械、土木建設機械、車両など、様々な固定資産が扱われています。
リース取引は大きく「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」の2種類があり、「ファイナンス・リース取引」は更に2種類に分類されます。
経済的利益をほぼすべて享受できる一方で、中途解約ができず、故障した時の費用を借手がすべて負担するリース取引を、「ファイナンス・リース取引」と呼びます。リース期間が満了した後の所有権の移転先に応じて、以下の2種類に分類されます。
ファイナンス・リース取引以外のリース取引を指します。借手はリース期間を短めに設定し、将来的に中古市場でリース物件を売りに出すことを見込む場合が多々あります。そのため、将来の中古価値(残価)を貸手が負担し、その分リース料を安く借手にリースする仕組みとなっています。また、故障した場合は、貸手が負担することとなります。
2019年以降に開始した事業年度から、IFRS16号の新リース基準が強制適用されるようになりました。新たな基準では、上述した「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」の区別は撤廃され、原則としてすべてのリース取引がオンバランス処理(資産計上)の対象となります。新リース基準が適用されたことで、企業は次のような事項に注意する必要があります。
従来のリース取引では事業用設備の「所有権」に応じてリース取引であるかどうかの基準が設けられていましたが、新たな基準では「使用権」をもとに判断することが重要となります。従来ではリース取引に含まれなかった賃貸借契約においても、新基準では「リース資産を使用する権利の取得」と捉えられるためリース取引に含まれます。
従来は資産計上されなかったリース取引が新基準下ではオンバランス処理の対象となることがあるため、貸借対照表における処理が変わります。
また、従来のオペレーティング・リース取引に含まれていたリース取引が、新基準では減価償却費や支払利息に含まれることで損益計算書上での対応も変化することとなります。
リース期間が12ヶ月以内のリース取引や5,000ドル(50万円程度)以下の少額なリース取引においては、従来と同様に資産計上しないことが可能です。
一方で、常々リース取引のオフバランス効果は会計基準の「抜け道」であると問題視されてきたため、近年はリース会計基準が変更され、リース取引のオフバランス効果は薄まってきています。
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所有権移転ファイナンス・リース取引は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理され、リース資産とリース債務を財務諸表上に計上し、リース資産は通常の減価償却を通じて費用化されます。財務諸表への記録は、以下の方法によって行われます。
所有権移転外ファイナンス・リース取引は、以前は賃貸借処理で会計処理されていましたが、平成20年4月1日より所有権移転外ファイナンス・リース取引は基本的に売買処理に統一されたので、基本的に所有権移転ファインス・リース取引とほぼ会計処理方法を取ります。
一方で以下の2点において、所有権移転外ファイナンス・リース取引の会計処理方法は異なります。
a.リース料総額の現在価値
b.貸手の購入価額(貸手の購入価額が明らかでない場合は見積現金購入価額)
契約時の仕訳でリース資産、リース債務を計上せず、支払いリース料を費用として計上する賃貸借処理を行います。
しかし解約不能なオペレーティング・リース取引の場合、期間中の未経過リース料については、貸借対照表作成の基準日から1年以内・1年超のリース料に区分して、明記する必要があります。また、リース期間中の一部の期間を解約不能としているオペレーティング・リース取引の場合、解約不能にあたる期間中のリース料を明記する必要があります。
少々煩雑な会計処理が必要とされるリース取引ですが、初期投資が少ない点や費用の平準化など、様々な形でメリットを享受することができます。固定資産導入の必要がある場合は、是非利用してみてはいかがでしょうか。
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