春になると入社や退社、人事異動があります。人事の仕事の中で入社と退社に関連して行う手続きは数が多く、とても負担が大きい仕事になります。ミスのないように、入社日や退社日を迎えるため、入社と退社の際に一般的に必要となる手続きのポイントをまとめました。
目次
入社・退社の際は、雇用保険や社会保険などの法律に基づく手続きのほかに、社内の規則に沿った手続きが必要となります。経験がある人にとってはそれほど負担ではないことも、初めての人にとってはイメージがつかみにくく負担に感じやすいものです。
しかし、チェックリストを作ることで漏れをなくし、決められた方法で期限内に提出するなど、ポイントさえ押さえておけば手続きを問題なく終えることができます。
入社・退社のそれぞれについて「本人が行うこと」と「事業所の担当者が行うこと」があり、また、「法律に定められたもの」と「社内のルールに基づくもの」に分けることができます。バラバラに理解するよりも、一つのまとまりを作る方が理解しやすくなるでしょう。
新しく人を雇用したときには労働基準法をはじめ、雇用保険や健康保険などに関係した手続きが必要です。
労働基準法は労働契約や賃金、また、労働時間や就業規則などについて定めており、勤怠管理のうえでも極めて重要な法律です。
入社時に必要な書類と提出期日は就業規則で確認し、漏れのないように提出を依頼しましょう。
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労働安全衛生法により、正規労働者のみでなく、一定の条件を満たした短期労働者を含めて人を採用した場合には「雇入れ時健康診断」を実施する必要があります。しかし、3か月以内の健康診断書を提出すると省略が可能です。
労働保険には労働者災害補償保険法と雇用保険が含まれ、社会保険の主なものは健康保険と厚生年金保険です。このうち、一日のみのアルバイトを含めすべての労働者が加入する労災保険は労働者からの保険料徴収はなく、入退社時の手続きは特に必要がありません。
労災保険を除く、雇用保険、健康保険、厚生年金保険は一定の加入条件を満たす場合はそれぞれの「資格取得届」を提出する必要があります。手続きを進めるには「年金手帳(あるいは年金証書)」を提出してもらうことが必要です。基礎年金番号の確認後に年金手帳は返却するためコピーをとっておくとよいでしょう。前職がある場合は「雇用保険被保険者証」を回収し、被保険者番号を確認して退社時まで保管します。
なお、労働保険や社会保険の手続きは電子申請も可能なので利用するとよいでしょう。
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新しく人を採用し、業務を支障なく行えるようにするには法律に定められたもの以外に多くの準備が必要になります。多種にわたりますが、新入社員が気持ちよいスタートを切れるように歓迎の意味も込めてしっかり準備しましょう。
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退社の際にも法律に則った手続きや社内で決められた事項に基づいて行うことが数多くあります。また、退社の場合、退社した後に連絡が取りにくくなるケースも多く、返却や提出が必要になったときになかなか対応してもらえず担当者が困ることも少なくありません。この点が入社時と大きく異なる点です。退社前に済ませておくことを確認し、漏れのないようにしましょう。
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入社時の準備のところでも説明しましたが、労働基準法では雇入れや退職に関する書類の保管義務や期間を定めており、保管期間は「3年間」となっています。しかし、最低限度の保管期間で破棄してしまうと支障を来す可能性もあり、一方、むやみに長期間にするのはマイナンバーも含め個人情報を適正に管理するうえでは好ましくません。
厚生労働省は個人情報に関する指針の中で、継続した個人情報の安全管理や利用目的以外の利用禁止などの留意点を示しています。「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」などを参考にして個人情報管理について社内で検討しておく必要があるでしょう。
なお、民法の債務不履行で生じる損害賠償債務の時効を考慮した場合、10年間の保管が必要であろうといった指摘もあります。
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入社・退社それぞれの際に必要な書類、手続きのチェックリストを作成しました。是非リストを参考に、入社・退社時に必要な手続きを漏れなく行いましょう!
入社と退社のときには多くの手続きがあり、やや似たようなものもあるため混乱しやすい面があるでしょう。しかし、チェックリストを参考にして一つひとつ確実に行っていけばこなせる仕事ともいえます。
提出先が遠方などの場合、手続きに出向くことは負担が大きいものです。電子申請などの新しい手続き方法も活用し、労働者の入社・退社の手続きをスムーズに行いましょう。
引用元:
厚生労働省「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針について」
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