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逆求人とは? 学生が企業を選ぶ時代へ

現在の新卒の就職活動は、応募してきた学生の中から企業が選考するというスタイルが主流です。しかし、新たな就活スタイルとして、学生側が逆求人サイトなどに登録したデータを企業が吟味してアプローチする、逆求人が注目され始めています。新卒採用が難しくなっている現在では、企業はこうした手法を利用して多様な人材を獲得することができます。今回は、逆求人が向いている企業や逆求人を選択するメリット、方法について解説していきます。

逆求人とは

現在の日本は、少子化に伴う労働人口の減少と新卒の働き手不足が進んでいます。これを受けて新卒の労働市場は、就活生がこぞって企業に雇われようとするかつての状況が一転して、企業側が少ない人材を取り合うという様相を帯びてきました。こうした中で新たに注目を集めるシステムが、逆求人です。

概要

逆求人は、企業側が採用したい就活生にオファーをし、就活生が承諾か否かを決定するという形を取ります。そのため、企業側に採用決定権のあった従来の求人方法とは関係が逆転し、就活生の立場が強い採用制度となっています。

具体的なプロセスとしては、就活生が逆求人のイベントなりウェブサイトなりで自分についてアピールし、これに興味を持った企業が面接などを申込みます。就活生側はアプローチの来た企業の中から良いと思った何社かに承諾の意図を伝え、その後、個別に更なる交渉を重ねて雇用されるかどうかが決定されることになります。就活生にしてみれば、自分の能力を必要とする企業が向こうから来てくれる効率的な制度と言えますが、企業側にも様々なメリットがあります。

逆求人のメリット

  • 意欲のある就活生を採用できる
    逆求人のイベントやサイトに登録する就活生は、自らの能力に自信があり、自分を正当に評価してくれる企業に採用されることを望んでいる人が多いでしょう。よって、より意識の高い人材が多いことが見込めます。
  • 多様で優秀な社員を確保できる
    企業の業種等により、エントリーする就活生にも能力や経歴の偏りが生じることは避けられません。また、優秀な人は大企業に採られてしまう可能性があります。企業側から就活生に働きかける逆求人を活用すれば、従来はリーチできなかった範囲の人材を呼び込むことが可能になります。
  • 自社を知らなかった就活生などにもアプローチできる
    上記と同じ理由で、就活生からのエントリーを待つだけでは、そもそもの母数に含まれる人材が限定的になり、マッチしていれば採用していたはずの人材と繋がれない可能性があります。逆求人であれば、自社を知らず射程圏内ではなかった就活生にも手を伸ばすことができます。
  • 採用コストを削減できる
    不特定多数から募る従来の求人方法は、雇うつもりが無い人の分のエントリーシートにも目を通して面接を行う必要がありましたが、逆求人のシステムでは、始めから企業側の求める人材にのみアプローチすれば良くなります。対象を絞り込むことで、採用のプロセスがより効率的になると言えます。
  • 企業と就活生の間のミスマッチを防げる
    現在の新卒採用の制度的な問題点の1つに、高い離職率があります。せっかく手間をかけて採用しても、その内の約3割が、企業側の見込み違いもしくは就活生側の期待外れにより、3年以内に辞めてしまう状況にあります。逆求人のシステムでは、エントリーシートや面談では見えなかったお互いの本音や希望を交換することができるため、このようなミスマッチを減らすことが期待できます。

逆求人の向いている企業

  • 人材不足の中小企業
    知名度が低く、大企業にパイを奪われたり、地方圏に位置していたりして、応募人数が希望よりも集まらずにエントリーが定員割れしているような企業の場合、自ら積極的に就活生にアプローチすることで、呼び込む母数を増やすことができます。
  • 多様な社員を欲する企業
    就活生のエントリーを受け付けているだけでは、偏った分野からの応募が集まりがちです。企業内でのダイバーシティが重視され、様々なバックグラウンドを有する社員の需要が増している昨今、こうした状況を打開するために、逆求人のシステムに注目する企業が増えています。

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逆求人を行う方法

逆求人の方法は主に2通りあり、どちらも年々規模が拡大しています。現状では一般に普及しているとまでは言えませんが、このような試みは今後さらに増加し、活発化していくことが見込まれます。能力、学歴、個性など、企業が就活生に何を求めるかによって、どのようなサービスを利用するかを決めると良いでしょう。

イベントに参加する

逆求人のイベントでは、参加する就活生と企業側の人員が直接に顔を合わせて話をすることができます。それぞれ短い自己紹介なり名刺交換なりを行うか、始めから就活生に待機ブースが割り振ってあり、交渉したい就活生について企業側が何人か指定したりブースに足を運んだりすることになります。

こうした逆求人型の就活イベントの代表例として、「逆求人フェスティバル」が挙げられます。株式会社ジースタイラスが運営するこちらのイベントは、個性的で能力の高い学生と、主に中小企業の経営者などをマッチさせることを目的とし、就活生側のピーアール時間や企業側と就活生側の長い対談時間が特徴となっています。

サイトやアプリに登録する

逆求人専用のサイトやアプリに登録すれば、イベントのように日付と場所に囚われずに、インターネット上で就活生とやり取りすることができます。この場合は、就活生の自己紹介やアピールが閲覧でき、興味のある何人かに面談希望を申請することになります。代表的なものに次の2つのサービスがあり、徐々に大企業の参加も増えているようです。

  • Offer Box
    2018年卒の就活生の7人に1人が登録しているという人気と規模の大きさが強みとなっています。株式会社i-plugが運営しており、メール開封率95%、参加企業数4,000社を誇っています。
  • ニクリーチ
    株式会社ビズリーチの提供するマッチングアプリです。就活生が企業側の人員に食事をご馳走して貰える会が有名です。参加上位校が東大早慶であること、返信率が50%以上であることなどを長所としています。主にベンチャー企業を中心として登録しています。

 

まとめ

今後さらなる発展の見込める逆求人ですが、利用するかどうかは、企業の採用活動における目的次第で決めればよいでしょう。とは言え、縮小する労働市場で遅れを取ることを避けたいのであれば、導入を検討してみる価値もあるではないでしょうか。

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