HRMとは?その意味と実践例について徹底解説

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公開日:2024.7.17

HRMとは、Human Resource Managementの略で、日本語では人的資源管理の意味です。HRMは採用、教育や人材配置といった人材を有効活用するための全ての取り組みのことを指します。HRMの具体的な実践例として、多様性を重視した施策が挙げられます。近年の労働人口減少に伴い、外国人や高齢者といった多様な人材の活躍が求められています。そのため、多様な人材を積極的に採用し、従業員の多様性を尊重する施策が必要不可欠です。

     

HRMの取り組みが広がっている

HRMとは

HRMはHuman Resource Managementの略称で、日本語にすると人的資源管理と訳せます。より具体的には人材を単なる労働力ではなく経営資源として捉えて、有効活用するための仕組みを体系的に構築・運用することを指す言葉です。例えば、人材の採用・教育・人事評価・人材配置などのすべてがHRMに該当し、従業員の動機づけを通じてモチベーションを向上させる取り組みも含まれます。人材は経営における重要な資源であり、物やお金と同様に考えなければなりません。人材を最大限に活用するためにマネジメントするHRMという手法が日本でも広まりつつあるのです。

HRMが注目される背景

HRMが注目される主な背景としては以下が挙げられます。

  • 労働人口の減少
  • 価値観の多様化
  • グローバル化の進展

日本をはじめとした多くの先進国では少子高齢化の影響によって、労働人口の減少と高齢化が問題視されるようになりました。同時に従来の年功序列や終身雇用制度は崩壊してきており、個々の従業員の価値観やキャリア志向の多様化が進んでいます。こうした変化の激しい社会で海外企業との競争にも打ち勝っていくためには、限られた労働力を有効活用しなければなりません。そこで企業の競争力を維持するための取り組みとして、HRMが重要視されているのです。

PMとの違い

PMはPersonal Managementの略称で、日本語では人事労務管理と訳せます。企業が業績を上げるために人材をコストや労働力として捉えて、管理や統制を実施するための考え方です。具体的には人事制度や労働環境を整えて、それに基づいて人材を管理統制します。一方、HRMでは人材を経営資源として捉えて、個々の能力や可能性を最大限に引き出すことを重視する手法です。以前はPMに取り組む企業が主流でしたが、近年は人材を経営における重要な資源として考えるHRMへの移行が広がっています。

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HRMの代表的なモデル

ハーバードモデル

ハーバードモデルはアメリカのハーバード大学で行われた研究をベースに生まれたHRMの考え方の1つです。企業が従業員を一方的に管理するのではなく、協調的な労使関係を築くことをハーバードモデルでは重視します。ハーバードモデルの構成要素は、以下の4つです。

  • 職務システム
  • 報酬システム
  • 従業員の影響
  • 人的資源のフロー

ハーバードモデルは従業員がいてこそ企業が成り立っているという考えが根底にあります。個々の従業員の能力やモチベーションを最大限に引き出したいのであれば、ハーバードモデルを取り入れてみましょう。

ミシガンモデル

ミシガンモデルはアメリカのミシガンの大学で実施された研究データをベースに誕生したHRMの考え方の1つです。HRMは経営戦略との整合性を考慮しながら実施すべきという考え方が、ミシガンモデルのベースになっています。ミシガンモデルで重視されるHRMの基本機能は次の4つです。

  • 採用
  • 報酬
  • 人材評価
  • 人材開発

これらの4つの機能を循環させて、個々の従業員だけでなく企業全体のパフォーマンスの向上を目指すことが重要であるとミシガンモデルでは考えます。

タレントマネジメント

タレントマネジメントとは企業が持つ人材を戦略的に活用して、組織の成長につなげていくための手法です。個々の従業員の能力や可能性を最大限に引き出すための方法としてタレントマネジメントは誕生しました。採用・配置・評価・育成などの基本的な人事制度に加えて、個々の従業員のニーズやポテンシャルを把握して戦略的な人材育成やキャリア開発を行います。タレントマネジメントを効果的に推進できれば、企業は競争優位性を獲得できるだけでなく、持続的な成長を実現することが可能です。

     

HRMの実践例

雇用制度を見直す

現代の多様な働き方に対応できるように、雇用制度を見直してみましょう。以前は終身雇用で会社に出勤して勤務することが主流でしたが、近年は従業員それぞれの生活スタイルに合わせた働き方が一般的になりました。例えば、在宅勤務・時短勤務・副業・兼業など、さまざまな働き方が多くの企業で取り入れられています。従業員の能力を最大限に有効活用するためにも、企業には柔軟な対応が求められているのです。

人材育成に注力する

HRMでは従業員のスキルや能力を伸ばすための人材育成への注力も重要です。従業員の成長を促すための施策の例を以下にまとめてみました。

  • 研修
  • OJT
  • Off-JT
  • リスキリング
  • 1on1ミーティング
  • 360度評価

人材は最も重要な経営資源の1つであるので、人材育成に関連する取り組みは重要です。人材育成の具体策には、新しいスキルを身につけるためのリスキリングや、さまざまな立場の人の意見を募る360度評価など、さまざまな手法があるので実践してみましょう。

コンプライアンスの啓蒙活動を行う

コンプライアンスの遵守を徹底するための活動を行いましょう。コンプライアンスとは法令遵守のことであり、企業や個人が法令や社会的ルールを守ることを指す言葉です。代表的なコンプライアンス違反としては以下が挙げられます。

  • 労働災害
  • ハラスメント
  • 情報漏洩
  • 法令違反
  • 倫理違反

こうしたコンプライアンスの違反が発生してしまう職場は従業員のストレスが増す原因になるだけでなく、仕事の生産性も向上できません。さらには、企業イメージの低下につながる恐れもあるので、従業員がコンプライアンスをしっかり遵守できる取り組みを実施しましょう。

     

まとめ

人材を経営資源として捉えて雇用制度や育成方法を見直すなど、HRMに力を入れる企業が増えてきました。働き方や社会が大きく変化しているので、企業の人材に対する考え方も適応させていかなくてはなりません。そのためには人材の能力や可能性を最大限に引き出そうとするHRMの視点が大切です。変化の激しい社会で企業が成長を続けていくためにも、HRMの具体的な取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

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